「ユリゴコロ」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
沼田まほかるさんのミステリーの原作に、
吉高由里子さんと松坂桃李さん、
松山ケンイチさんという魅力的なキャストが顔を揃えた、
映画「ユリゴコロ」を見て来ました。
結構どぎついところもあるスリラーですが、
主役格3人の演技にはなかなか見応えはあります。
ただ、後半はかなりオヤオヤという感じになるので、
トータルにはあまり見て良かったという気持ちは残りませんでした。
B級映画と言って良いのですが、
その割にはキャストが豪華なので、
松山ケンイチさんの真面目な苦悩演技など、
結局どう見て良いのか当惑する感じになるのです。
これは先に原作は読みました。
湊かなえさんに似たスタイルで、
サイコスリラー的な雰囲気なのですが、
ミステリ―としての構成はあまり上手くはなく、
ディテールのグロテスクさや嫌やらしさが、
リーダビリティの中心となっています。
ニーリイのような、
登場人物の年齢を読者に誤認させるような技巧を、
一応使っているのですが、
全く成功はしていません。
殺人者の手記と現実の事件とが交錯していて、
面白いのは主に手記の部分ですが、
桐野夏生さんの「グロテスク」や、
湊かなえさんの諸作の焼き直し的な感じもします。
ただ、ラストはちょっと突き抜けたような感じがあって、
主人公2人の道行には余韻が残ります。
映画はほぼ原作通りの展開で、
特にほぼ忠実な手記の部分が面白いと思いました。
リストカットを繰り返すみつ子(佐津川愛美さん怪演)と、
吉高由里子さんとの血みどろ交流は、
原作でも一番生理的につらい部分ですが、
映画でも薄目で見るのがギリギリくらいの過激さを見せてくれます。
原作の病院を自宅に変えた趣向も、
成功をしていたと思いました。
松山ケンイチさんと吉高さんとの場面は、
昔の日活や東映のやさぐれ映画のような雰囲気を、
構図も色彩も上手く模倣していて、
古風で面白い感じを出していました。
日活と東映が制作している映画ですから、
これは明らかな狙いなのだと思います。
ただ、松坂桃李さんがメインの現実パートは、
原作自体かなり未整理でゴタゴタしているのですが、
それを整理したのが却って失敗していて、
特に原作の借金を抱えた駄目夫を、
映画では組織的なヤクザにしてしまっているので、
派手にしたかったという意図は分かりますが、
展開が現実離れしてしまって、
完全な失敗になっていました。
そこが全くの絵空事なので、
ラストに感動的な場面らしきものを持って来ても、
間抜けにしか思えない結果となっていたのです。
湊かなえさんに続いて、
沼田まほかるさんも映画化が続いていますが、
適度にどぎつくグロテスクで、
構成もゆるく出来ているところが、
もっとカッチリしたミステリーよりも、
映像化には向いているのかも知れません。
最後にこの作品の吉高さんの役作りはちょっと疑問で、
ラーメン屋さんを殺す時の顔などには、
明らかに「この野郎」みたいな感情が見えているのですが、
それではサイコパスではないので、
彼女の雰囲気でこの映画は成功している部分が大きいのですが、
本人はそのキャラクターを、
とても理解をしているようには思えませんでした。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
沼田まほかるさんのミステリーの原作に、
吉高由里子さんと松坂桃李さん、
松山ケンイチさんという魅力的なキャストが顔を揃えた、
映画「ユリゴコロ」を見て来ました。
結構どぎついところもあるスリラーですが、
主役格3人の演技にはなかなか見応えはあります。
ただ、後半はかなりオヤオヤという感じになるので、
トータルにはあまり見て良かったという気持ちは残りませんでした。
B級映画と言って良いのですが、
その割にはキャストが豪華なので、
松山ケンイチさんの真面目な苦悩演技など、
結局どう見て良いのか当惑する感じになるのです。
これは先に原作は読みました。
湊かなえさんに似たスタイルで、
サイコスリラー的な雰囲気なのですが、
ミステリ―としての構成はあまり上手くはなく、
ディテールのグロテスクさや嫌やらしさが、
リーダビリティの中心となっています。
ニーリイのような、
登場人物の年齢を読者に誤認させるような技巧を、
一応使っているのですが、
全く成功はしていません。
殺人者の手記と現実の事件とが交錯していて、
面白いのは主に手記の部分ですが、
桐野夏生さんの「グロテスク」や、
湊かなえさんの諸作の焼き直し的な感じもします。
ただ、ラストはちょっと突き抜けたような感じがあって、
主人公2人の道行には余韻が残ります。
映画はほぼ原作通りの展開で、
特にほぼ忠実な手記の部分が面白いと思いました。
リストカットを繰り返すみつ子(佐津川愛美さん怪演)と、
吉高由里子さんとの血みどろ交流は、
原作でも一番生理的につらい部分ですが、
映画でも薄目で見るのがギリギリくらいの過激さを見せてくれます。
原作の病院を自宅に変えた趣向も、
成功をしていたと思いました。
松山ケンイチさんと吉高さんとの場面は、
昔の日活や東映のやさぐれ映画のような雰囲気を、
構図も色彩も上手く模倣していて、
古風で面白い感じを出していました。
日活と東映が制作している映画ですから、
これは明らかな狙いなのだと思います。
ただ、松坂桃李さんがメインの現実パートは、
原作自体かなり未整理でゴタゴタしているのですが、
それを整理したのが却って失敗していて、
特に原作の借金を抱えた駄目夫を、
映画では組織的なヤクザにしてしまっているので、
派手にしたかったという意図は分かりますが、
展開が現実離れしてしまって、
完全な失敗になっていました。
そこが全くの絵空事なので、
ラストに感動的な場面らしきものを持って来ても、
間抜けにしか思えない結果となっていたのです。
湊かなえさんに続いて、
沼田まほかるさんも映画化が続いていますが、
適度にどぎつくグロテスクで、
構成もゆるく出来ているところが、
もっとカッチリしたミステリーよりも、
映像化には向いているのかも知れません。
最後にこの作品の吉高さんの役作りはちょっと疑問で、
ラーメン屋さんを殺す時の顔などには、
明らかに「この野郎」みたいな感情が見えているのですが、
それではサイコパスではないので、
彼女の雰囲気でこの映画は成功している部分が大きいのですが、
本人はそのキャラクターを、
とても理解をしているようには思えませんでした。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2017-10-08 08:59
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