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「パオロ・ファナーレ 」テノール・リサイタル [コロラトゥーラ]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
パオロ・ファナーレ.jpg
イタリアの若手テノール、パオロ・ファナーレのリサイタルが、
先日紀尾井ホールで行われました。

パオロ・ファナーレは御覧の通り、
若手で美形のテノール歌手で、
最近その評価は高まっています。

確か来日のリサイタルは3回目になると思います。
毎回東京のリサイタルには足を運んでいますが、
伸長著しく、回を追う毎にその歌声の迫力と、
歌いまわしや情感の精度とスケールは、
どんどん増しているように思います。

今のところオペラでは、
「ファルスタッフ」のフェントンとか、
「ドン・ジョバンニ」のドン・アッターヴィオのような、
軽い声の役柄を持ち役にしていて、
今後ヘンデルやロッシーニのオペラのような、
コロラトゥーラの技巧を尽くしたような役柄も歌うのか、
それともヴェルディやプッチーニ、
ドニゼッティやベッリーニの、
比較的軽い声の諸役を歌うようになるのか、
どちらの道を歩むのかが、
まだ明確ではない段階にあるようです。

僕としては彼のような高音の軽いタッチが美しいテノールには、
コロラトゥーラの技巧的なアリアを極めて欲しいと思っているのですが、
何となく今回のリサイタルを聴いた印象としては、
ヴェルディやドニゼッティを主軸にしてゆく感じのようです。

今回のリサイタルの曲目は、
前半はトスティの歌曲のみを歌い、
後半はオペラアリアのみが並ぶ、
というスタイルで、
ロッシーニの「グリエルモ・テル」の技巧的なアリアや、
ハイC連発のドニゼッティの「連隊の娘」のアリア、
ベッリーニの「清教徒」のアリアと、
高音と技巧が必要な曲目が並んでいて、
非常に楽しみに当日を迎えました。

ただ、実際にはロッシーニは当日急遽歌うことを止め、
代わりにおそらくはアンコール用のヴェルディやプッチーニ、
前回も歌ったグノーを歌いました。
「連隊の娘」は順番を変えて、
どうにか歌ったことは歌ったのですが、
非常な短縮版の上に、
ハイCはかするくらいの歌い方で、
しっかりは出しませんでした。
ただ、ベッリーニは非常に良かったと思いますし、
高音もばっちりでした。
それで本人的にはきつい感じがあったのかも知れません。

前回も思ったのですが、
極め付けの美声で、
ピアニシモもとても綺麗で、
歌い回しは情感に溢れていて、
そうした点では素晴らしいのですが、
アジリタのような技巧はあまり得意ではないようです。
また、ハイCを超えるような高音は、
基本的には出さないようです。

当日はおそらく風邪をひいていたようで、
咽喉をしきりに鳴らして気にしていましたし、
慎重な歌い回しに終始していて、
あまり冒険はありませんでした。
絶好調であればロッシーニにもチャレンジしたのでしょうが、
それは難しいことだったようです。

以上はただ僕の推測で、
根拠のあるものではないので、
誤りがあればご指摘を頂きたいと思います。

前半のトスティは、
1曲毎に拍手が沸いていて、
これにはとてもガッカリしました。

歌曲は矢張り、
一連のものと考えて、
一区切りがついてから、
拍手をするべきではないでしょうか?

ただ、最近はこうしたリサイタルが多いように思います。

後半は客席もなかなか盛り上がっていて、
本人も嬉しそうだったのは何よりだと思いました。

素晴らしい素質のテノールだと思いますし、
ビジュアルにも恵まれているので、
是非その声を大切にして、
今回はややそうしたきらいがあったのですが、
不必要に声を張り上げたり、
無意味に伸ばして拍手を強要するような、
そうした悪いベテランのような歌は歌わないで欲しいな、
と思いました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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