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遺伝子検査はそれほど役に立たないこともある、という話 [身辺雑記]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームなどの診療には出掛ける予定です。

それでは今日の話題です。

今日はちょっとした雑談です。

数年前に風疹の若年層の流行が、
大きな問題になったことがありました。

その時に20代の女性で、
発熱と共に全身に米粒大の赤い皮疹が、
出現した患者さんが外来を受診されました。
場所は勿論今の品川ではありません。

頸部のリンパ節の腫脹も認められ、
風疹を疑って保健所に連絡を入れました。

通常全ての事例で個別に検査をしてくれる、
ということはないのですが、
たまたま風疹の流行が問題になっていた、
ということもあったのでしょう、
保健所の担当者の方がクリニックを訪れ、
風疹の遺伝子検査をして頂けることになりました。

同時に採血をして、
風疹の感染初期に上昇するIgM抗体と、
以前の感染の場合に上昇するIgG抗体を測定しました。

その結果…

血液検査ではIgM抗体、IgG抗体ともに陰性でした。

これは判断に迷う結果です。

そして、数日後に遺伝子検査の結果が判明しましたが、
その結果も陰性とのことでした。

要するに風疹はほぼ否定されたのです。

ただ、僕はどうも納得がいきませんでした。
患者さんは麻疹ははっきりした既往がありましたが、
風疹についてはそれはなく、
症状経過からも風疹が強く疑われたからです。

それで、
1か月後に再度検査をする機会があったので、
もう一度IgG抗体価を測定しました。

すると、
1280倍と明確な抗体価の上昇があり、
風疹であったことがほぼ確定しました。

それでは、遺伝子検査では何故陰性だったのでしょうか?

これは何とも言えませんが、
検体を採取するタイミングもあったと思いますし、
ウイルス量などの問題もあったのかも知れません。

いずれにしても、
遺伝子検査も万能ということではなく、
抗体価の測定や臨床症状などと、
適宜比較対照して、
その信頼性を高める必要があるのだと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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