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2013年の演劇を振り返る [演劇]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は大みそかで診療所は休診です。

今年も1年間拙いブログをお読み頂き、
ありがとうございました。

今日は今年1年の演劇を振り返ります。

今年のベスト3は、
①イキウメ「片鱗」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2013-11-23
②北村想「グッドバイ」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2013-12-14-1
③ケラ「SEX,LOVE&DEATH」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2013-10-26
の3本です。
再演や除いて、新作のみから選びました。

イキウメの前川知大さんは、
このところ試行錯誤の感があったのと思うのですが、
今年はまず7月の1人芝居「地下室の手記」が、
ドストエフスキーの原作を見事に脚色した面白い作品で、
年末の「片鱗」はモダンホラーの意匠の中に、
福島原発事故の暗喩を散りばめた意欲作で感銘を受けました。
円形劇場の空間の使い方も巧みで、
役者も皆好演で舞台を支えていました。
僕の中では間違いなく今年のベストで、
来年のスーパー歌舞伎への挑戦も楽しみです。

北村想さんの「グッドバイ」は、
如何にも北村さんらしい、
ほんわりとしたぬくもりのある台本で、
それを見事に活かした寺十吾さんの演出が秀逸です。
蒼井優さんを始めとする、
役者の競演も魅力でした。
演劇の魅力ここにあり、という充実した1本です。

ケラの作品は3本のオムニバスで、
一種の企画物ですが、
宝石箱のような素敵で緻密な舞台でした。
3本がそれぞれ別々のタッチの作品で、
演技のスタイルも演出もそれぞれ別に構成し、
スズナリの小空間に、
3つの異なるセットを転換させた力技にも魅せられました。
ケラは今年は「わが闇」の再演があり、
これは彼の代表作の1つで、
充実した舞台でしたが、
僕は個人的には今回のオムニバスのような軽いタッチのものに、
彼の本領が発揮されるというように思います。

再演の舞台では、
今回が最後と思われる、
僕の大好きはマクバーニーの「春琴」は、
矢張り素晴らしく、
蜷川幸雄は唐先生の2作品は、
作品への想いが強過ぎて、
やや空回りの感があったように思いますが、
「ムサシ」の再演は、
間違いなく初演より優れた舞台で、
良かったように思います。

野田秀樹の「MIWA」は、
かつての遊眠社を思わせるような、
前半がなかなか面白かったのですが、
ラストはかなり凡庸で、
モデルに媚びたような印象もありました。

三谷幸喜さんは作品は多かったのですが、
新作の「ホロヴィッツとの会話」と「おのれナポレオン」は、
中途半端に高尚で翻訳劇的な作品で、
どうも今後の方向性に迷いがあるように思いました。

トラッシュマスターズの「来訪者」は、
尖閣問題を真っ向から扱った問題作で、
上演された3月より今観ると更に怖ろしいという、
間違いなく今年一番の衝撃作ですが、
作品の出来自体は、
福島原発事故を扱った「背水の孤島」より、
かなり落ちるのでベストには入れませんでした。
ただ、来年はまた何をするのか、
楽しみな反面恐怖も感じます。

大好きなシベリア少女鉄道は今年は再演1本でしたが、
いつもながらの技巧的な楽しい舞台でした。

アマヤドリとか、ナカゴーの年末の舞台とか、
豊島公会堂のテラヤマプロジェクトとか、
観たかったのですが観られなかった舞台も多く残念でした。

それでは今日はこのくらいで。

今年も1年ありがとうございました。

来年も皆さんにとって良い年になりますように。

石原がお送りしました。
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コメント 3

まさる

初コメですが1年間有難うございました。
毎日為になるお話を聞かせて頂楽しんでいます。
又来年も楽しみにしておりますので宜しくお願い
致します。

では良いお年をお迎え下さい。
by まさる (2013-12-31 13:21) 

テツ

何回か質問させていただきました。
ありがとうございました。
毎日先生のブログを読んで勉強させてもらっています。
来年もよろしくお願いいたします。
by テツ (2013-12-31 19:26) 

akemi

毎日楽しみに拝見しておりました。
メールでの質問にもあたたかなご回答を
ありがとうございました。
何かと不穏な今年もあとわずか 
どうぞよいお年をお迎え下さいませ。


by akemi (2013-12-31 22:21) 

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