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ミンコフスキ指揮「グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊」 [音楽]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療所は休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
ミンコフスキ.jpg
1982年にマルク・ミンコフスキによって結成された、
グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊の、
2009年に引き続いての、
2回目の来日リサイタルが、
先日行なわれました。

ミンコフスキは若干20歳で、
この古楽オーケストラを結成し、
多くの目の覚めるような上演や録音を行なった、
世界的な古楽のパイオニアですが、
最近は古楽のみならず、
近現代作品にまで、
その幅を広げています。

特に名盤と言われているのが、
1997年に発表された、
ヘンデルのオペラ「アリオダンテ」の全曲録音です。
それがこちら。
アリオダンテ.jpg

これは2005年に、
バイエルン国立歌劇場の来日公演があって、
そこで「アリオダンテ」が上演されたので、
その予習に購入して聴いたのですが、
バロック・オペラの楽しさが、
細部まで漲るような素晴らしい音で、
この実演が聴けると期待してホールに足を運んだところ、
大味で繊細さの欠片もなく、
歌手の技量も、
ミンコフスキの録音版の、
足元にも及ばないようなものだったので、
非常にガッカリした覚えがあります。

待望の初来日は2009年で、
オペラシティで別個のプログラムによる、
2回の公演が行なわれました。

僕は2回とも足を運びましたが、
バロックの楽しみを、
一旦解体して再構成したような、
非常に知的で繊細でありながら、
ユーモアに富み、
聴き手に緊張を感じさせることなく、
どんなレベルの観客をも、
同時に楽しませるという稀有の舞台で、
心の底から魅了されました。

今回は待望の再来日で、
1回限りの公演です。
アジアツアーの一環で、
日本はもうアジアの辺境になったのだなあ、
と思うと寂しい気がしますが、
仕方のないことなのかも知れません。

今回のプログラムは、
前半がシューベルトの「未完成交響曲」で、
後半がモーツァルトのこれも未完成のミサ曲ハ単調という、
未完成曲を組み合わせた、
如何にもミンコフスキらしいユニークなもので、
前菜として、
グルックの「アウリスのイフィゲニア」の序曲が付きます。

前半と後半にそれぞれアンコールが付き、
前半はシューベルトの別の交響曲のラストで、
後半は未完成ミサ曲の一部がリライトされています。

つまり、
天才の未完成の作品を、
その後の聴衆の反応と、
それに呼応したアンコールの演奏により、
それぞれライブとして「完成」させようという趣向です。

如何にもミンコフスキらしい、
知的で繊細でかつ遊び心に満ちた企画で、
実際の演奏も素晴らしく、
堪能出来ました。

ミサ曲の歌手との共演の素晴らしかったですし、
次回はバロックオペラを聴きたいな、
と思いますが、
日本がもう少し元気にならないと、
実現は難しいかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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