マイコプラズマ感染症についての補足 [医療のトピック]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
サッカーは僕が見ると大概日本は負けるので、
録画だけしましたが、それが良かったようです。
オランダ戦はじっくり見てしまいました。
ごめんなさい。
それでは今日の話題です。
今日はマイコプラズマ感染症についての補足的な話です。
マイコプラズマの感染は通常は一過性ですが、
時には持続的に感染することもあることが、
最近の研究では明らかになっています。
マイコプラズマは通常の細菌とは違うので、
その検出は非常に困難で、
培養して菌を増やしたりすることも、
一般の臨床の中では殆ど行なわれていません。
僕のような診療所のレベルでは、
血液の抗体の検査が唯一の方法で、
それは感染の確認にはそれなりに役立っても、
その感染がいつ終息したか、
つまりいつ菌が身体からいなくなったのかは、
証明するような方法はありません。
従って、全身症状を見て、
それが良くなっていれば、
治療を中止する、という考えで治療を行なうことになります。
1つの目安として、
マイコプラズマ肺炎では、
2週間以上は抗生物質を使いなさい、
ということが以前は言われていましたが、
マイコプラズマ肺炎が、
菌自体ではなくその刺激による、
免疫の過剰反応が原因である、
ということが明らかになってみると、
その根拠はあまりないことは明らかです。
従って、2週間以内であっても、
症状が改善していれば、
治療を終了しても、
特に問題はない訳です。
ただ、一方で感染から100日経っていても、
遺伝子の検査で菌の成分が検出された、
という報告もあり、
通常は免疫の働きでそう時間を掛けずに除去される菌が、
何らかの原因で定着した場合には、
その除去には困難があることが予想されます。
マイコプラズマ感染と気管支喘息との間には、
関連性があるのではないか、
と言う考え方があります。
ある報告によると、
気管支喘息の患者さん55名中23例で、
その気道にマイコプラズマが感染していた、
とされていて、
また別の報告によると、
感染の確認された患者さんに、
抗生物質を6週間使用すると、
気管支喘息の状態が改善した、とされています。
これは勿論、患者さんが熱や肺炎などの、
急性の感染症状を示していなかった場合の話です。
つまり、マイコプラズマは時に気管支に持続感染を起こし、
それが免疫反応を惹起して、
気管支喘息の原因の1つになっているのではないか、
という考え方があるのです。
更にはピロリ菌と同じように、
マイコプラズマが胃の粘膜に感染していた、
というびっくりするような報告があります。
実はマイコプラズマの仲間のある菌は、
ウシやヒツジの胃の中に存在しています。
従って、マイコプラズマが胃に持続感染しても、
満更おかしな話ではないのです。
その病気とのかかわりはまだ未知数ですが、
ピロリ菌との混合感染が、
胃炎の進行に大きな役割を果たしているのでは、
という意見を持つ研究者もいるようです。
動脈硬化とマイコプラズマとの関連性も、
一時期話題になったことがあります。
動脈硬化の病変から、マイコプラズマが発見された、
というのです。
一般的な動脈硬化に、
それほどマイコプラズマが影響しているというのは、
おそらく考え難いことだと思いますが、
実際にマイコプラズマの感染症において、
血管の炎症性の異常が、
合併症として報告されていることは事実で、
血管炎の一部に、
マイコプラズマの関与があることは、
それ自体は事実だと思います。
それでは今日のまとめです。
マイコプラズマは通常は短期間で身体から除去されますが、
時に持続感染を起こし、
全身的な炎症性の病気の原因となることがあります。
全ての原因不明の炎症が、
それにより改善するとは言えませんが、
その持続感染を疑うある程度の根拠があれば、
数週間の除菌治療を行なうことは、
意味があるではないかと思います。
今日はマイコプラズマ感染症についての、
補足的な話でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
サッカーは僕が見ると大概日本は負けるので、
録画だけしましたが、それが良かったようです。
オランダ戦はじっくり見てしまいました。
ごめんなさい。
それでは今日の話題です。
今日はマイコプラズマ感染症についての補足的な話です。
マイコプラズマの感染は通常は一過性ですが、
時には持続的に感染することもあることが、
最近の研究では明らかになっています。
マイコプラズマは通常の細菌とは違うので、
その検出は非常に困難で、
培養して菌を増やしたりすることも、
一般の臨床の中では殆ど行なわれていません。
僕のような診療所のレベルでは、
血液の抗体の検査が唯一の方法で、
それは感染の確認にはそれなりに役立っても、
その感染がいつ終息したか、
つまりいつ菌が身体からいなくなったのかは、
証明するような方法はありません。
従って、全身症状を見て、
それが良くなっていれば、
治療を中止する、という考えで治療を行なうことになります。
1つの目安として、
マイコプラズマ肺炎では、
2週間以上は抗生物質を使いなさい、
ということが以前は言われていましたが、
マイコプラズマ肺炎が、
菌自体ではなくその刺激による、
免疫の過剰反応が原因である、
ということが明らかになってみると、
その根拠はあまりないことは明らかです。
従って、2週間以内であっても、
症状が改善していれば、
治療を終了しても、
特に問題はない訳です。
ただ、一方で感染から100日経っていても、
遺伝子の検査で菌の成分が検出された、
という報告もあり、
通常は免疫の働きでそう時間を掛けずに除去される菌が、
何らかの原因で定着した場合には、
その除去には困難があることが予想されます。
マイコプラズマ感染と気管支喘息との間には、
関連性があるのではないか、
と言う考え方があります。
ある報告によると、
気管支喘息の患者さん55名中23例で、
その気道にマイコプラズマが感染していた、
とされていて、
また別の報告によると、
感染の確認された患者さんに、
抗生物質を6週間使用すると、
気管支喘息の状態が改善した、とされています。
これは勿論、患者さんが熱や肺炎などの、
急性の感染症状を示していなかった場合の話です。
つまり、マイコプラズマは時に気管支に持続感染を起こし、
それが免疫反応を惹起して、
気管支喘息の原因の1つになっているのではないか、
という考え方があるのです。
更にはピロリ菌と同じように、
マイコプラズマが胃の粘膜に感染していた、
というびっくりするような報告があります。
実はマイコプラズマの仲間のある菌は、
ウシやヒツジの胃の中に存在しています。
従って、マイコプラズマが胃に持続感染しても、
満更おかしな話ではないのです。
その病気とのかかわりはまだ未知数ですが、
ピロリ菌との混合感染が、
胃炎の進行に大きな役割を果たしているのでは、
という意見を持つ研究者もいるようです。
動脈硬化とマイコプラズマとの関連性も、
一時期話題になったことがあります。
動脈硬化の病変から、マイコプラズマが発見された、
というのです。
一般的な動脈硬化に、
それほどマイコプラズマが影響しているというのは、
おそらく考え難いことだと思いますが、
実際にマイコプラズマの感染症において、
血管の炎症性の異常が、
合併症として報告されていることは事実で、
血管炎の一部に、
マイコプラズマの関与があることは、
それ自体は事実だと思います。
それでは今日のまとめです。
マイコプラズマは通常は短期間で身体から除去されますが、
時に持続感染を起こし、
全身的な炎症性の病気の原因となることがあります。
全ての原因不明の炎症が、
それにより改善するとは言えませんが、
その持続感染を疑うある程度の根拠があれば、
数週間の除菌治療を行なうことは、
意味があるではないかと思います。
今日はマイコプラズマ感染症についての、
補足的な話でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2010-06-25 08:32
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コメント(2)
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おはようございます
いつもお勉強させていただき感謝です★
サッカーの勝利は先生と関係があったんですね(笑)
次の対戦もよろしくお願いします♪~ふふふ
by スマイル (2010-06-25 09:14)
スマイルさんへ
コメントありがとうございます。
次は生で見たいな、と思うのですが…
それで負けても困るし…
考慮中です。
by fujiki (2010-06-25 20:33)