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カルシウムの必要量についての一考察 [科学検証]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は暑い日になりそうですね。
朝からレセプトの整理をして、
健診の結果を見て、
それからPCに向かっています。

さて、今日の話題です。

10年以上前、大学病院に勤務していた時に、
僕はカルシウムの吸収の研究をしていたことがありました。

一度は生涯の仕事にしようと、
思っていたこともあったのですが、
色々の事情があって、大学を離れることになったので、
研究自体も中断したままになってしまいました。

その時お世話になった先生には、
本当に申し訳ないことをした、
と思っています。

今日はその研究についてのお話です。

カルシウムの必要量というのがありますよね。
1日にどれだけのカルシウムを取れば、
身体のバランスは最もいい状態か、
という数値です。
(カルシウム所要量というのが、正確な言葉ですが、
分かり難いので必要量とします)
厚生労働省は2005年に必要量の改定をして、
これは年齢性別でも数値が変わるのですが、
大雑把に言って、1日700mg というのが、
1つの目安の数字になります。

1日700mg のカルシウムを摂っていれば、
骨や組織に充分な量のカルシウムが補充され、
骨のバランスも保たれる、
という目安ですね。
実際に今日本人が平均に摂っている量は、
600mg 程度なので、
まだ足りないよ、と言われている訳です。

この数字は何度か改定されています。
少し前までは、600mg でしたし、
それより前には、500mg という時代がありました。
必要量は、年々増加している訳です。
骨粗鬆症のガイドラインというものがあって、
そこでは推奨量として、800mg という量が提示されています。

皆さんは、どうしてこの必要量が増えていると思いますか?
日本人の体格が良くなり、
骨の量も増えたので、より多くの量が必要になったのでしょうか。
それもあるんでしょうが、
どうもそれだけでもない理由もありそうです。

戦後すぐの時期には、
日本人は1日平均300mg くらいのカルシウムしか、
摂っていなかったと言われています。
その当時アメリカでは1000mg 近いカルシウムを、
摂っていたという統計があります。
当時育った世代が、
現在60代になっている計算です。
単純にカルシウムの量が骨の量に比例するとすれば、
アメリカ人に比べて、日本人の骨は3分の1以下の、
スカスカということになります。

どうでしょうか。
何かちょっとおかしいでしょ。
アメリカ人に比べて骨がもろいのは事実としても、
そこまでの違いはなさそうです。
今の感覚で言えば、
今の団塊の世代の人たちは、
骨が出来る大事な時期に、
必要な量の半分以下のカルシウムしか、
摂ってはいなかった訳です。

もし今それだけの量のカルシウムしか摂っていない若者がいたら、
「君は将来必ず骨粗鬆症になるよ」
と言われる筈です。

でも、今団塊の世代が全員そうなっている訳じゃないでしょう。
とすれば、今言われている必要量なんて摂らなくても、
それだけで骨がもろくなったりはしないのではないか、
という疑問が沸いて来ます。
しかも、じゃんじゃんカルシウムを摂っていた筈のアメリカ人には、
骨粗鬆症は多いんですよ。
ねっ、おかしいでしょ。

更にもう1つ。
日本人の伝統的な食生活では、
300mg 程度のカルシウムしか、
まかなうことは出来なかった訳ですよね。
それが何故今倍以上になっているんでしょうか。
どういう魔法がそこに存在するんでしょうか。

この質問の答えは簡単です。
牛乳と乳製品ですね。
これを使わずに、
他の食品から1日700mg のカルシウムを摂るなんてことは、
カルシウムの吸収率も考えに入れれば、
不可能なんですよ。

従って、サプリメントや医薬品を使わずに、
カルシウムの必要量を達成するには、
日本人は全員牛乳を飲みなさい、
ということになります。

どうですか。
こう言うと、如何にも何か裏にからくりがありそうでしょう。

そもそも、このカルシウムの必要量というのは、
そんなに無条件に信じ込まないといけない数字なんでしょうか。
それほど有り難いご神託なんでしょうか。
絶対にくるいのない、
素晴らしい科学的根拠があって、
算出されたものなんでしょうか。

結論を言うと、
僕はそれほどの根拠はない、
と思っているんです。

ごめんなさい。
長くなりましたので、その謎解きは明日にします。
乞うご期待、
と言うほどのこともないですけど、
明日も読んで下さいね。

それでは、今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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