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続・カルシウムの必要量についての一考察 [科学検証]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理をして、
それからPCに向かっています。

さっそく、今日の話題です。

昨日のブログで、
国が決めているカルシウムの必要量には、
あまり根拠がないのではないか、
という僕の考えを書きました。

今日はその証明編です。

皆さんはカルシウムの必要量の数字が、
どうやって算出されるのか、分かりますか?

それにはまず、身体の中のカルシウムの出入りを、
知っておく必要があります。

ちょっと固い話になりますが、ご辛抱下さい。

カルシウムはご存知のように、
人間の骨の主成分です。
身体の中のカルシウムのうち、99%は骨の中にあり、
残りの僅かな部分が血液中にあります。

食べ物として口から入ったカルシウムは、
小腸から吸収され、血液の中に入ります。
吸収されなかったカルシウムは、
便の中に排泄されます。

骨は生きているので、作ったり壊したりを常に繰り返しています。
そんな訳で、骨の成分であるカルシウムは、
骨が作られれば、骨の中に入って行くし、
骨が壊されれば、骨から出て行きます。
大雑把に言えば、1日500mg くらいのカルシウムが骨の中に入り、
同じくらいの量が、骨から出て行きます。
(後から説明しますが、これはあくまで仮定のデータです)
このバランスが保たれていれば、
骨の量は変わりませんし、
壊れる量の方が多ければ、
骨は減って行きます。
こうして、何らかの原因で骨の量が病的に減った状態を、
骨粗鬆症と言いますね。

さて、血液の中のカルシウムは、
厳密に一定に保たれています。
(より正確には、イオン化カルシウムの濃度が、ですね)
細胞の大事な働き、
たとえば筋肉を動かしたりするには、
カルシウムの濃度が非常に重要なんですね。
では、血液の中のカルシウムが余分になった時はどうなるかと言うと、
それは腎臓から尿となって、排泄されるのです。

以上が、カルシウムの出入りの概略です。

それでは、どうやってカルシウムの必要量を計算するかと言うと、
これは一種のバランスシートの考えなんです。
食事の中のカルシウムと、尿や便の中のカルシウムを計算して、
そのバランスを見て、
一応の推測をする訳です。
これだけでも、結構大変な作業です。
尿は貯めればそれでOKですが、
便の方は、1日の便を全部集めて、
それを焼いたりする作業が必要なんです。

想像してみて下さい。

楽しい研究ではないですよ。

でもね、そうして作られたデータは、
かなりアバウトなものなんです。

何故なら、必要なデータのうち、
直接測れないものが、
多過ぎるからです。

小腸からのカルシウムの吸収が分からないのが、
1つ。
そして、骨を出入りするカルシウムの量が分からないのが、
もう1つです。

カルシウムの吸収率は、
どうやって計算したらいいと思いますか?

これが結構難しいんです。
血液の中のカルシウムを測っても、
意味がないんです。
もともと血液の中にはカルシウムがあるので、
吸収されたカルシウムがそれと混ざっても、
見分けは付かないんですね。
厳密に測定する方法は、
放射線を付けたカルシウムを使う方法です。
カルシウムに、放射線という目印を付けておくんですね。
それを測定すれば、
どれだけ吸収されたかが分かるし、
吸収されたカルシウムの多くは骨に入るので、
骨の出入りも測定出来ます。
でも、この方法は現在は行われていません。

何故でしょう。
勿論、危険な検査だからですね。
骨の中に取り込まれたカルシウムは、
しばらくは外に出て行かないのです。
と言うことは、放射能も身体に残ってしまうんですね。
この検査を受けた方は、放射能に被爆してしまうんです。

従って、カルシウムの必要量の根拠になっている、
その吸収量や骨への取り込み量のデータは、
日本人のものではなく、
海外のもので、それも結構昔のものなんですね。
海外では、囚人を使ったり、
低所得層の人にお金を渡して協力させたりして、
比較的最近まで、
そうしたリスクのある実験がされていたんです。

よく、カルシウムの吸収は小魚より牛乳の方が上だ、
みたいなことが書いてあるでしょう。
あれは人間のデータではないんです。
腸の粘膜を取り出して、実験したりする訳ですけど、
人間でそんな実験は出来ませんからね。
だから、それも本当に人間でどうかは、
分からない、というのが事実なんです。

ここまでを整理しますとね、
要するにカルシウムの必要量に、
あまり根拠はないんです。
吸収率や、骨への取り込みを、
どう仮定するかによって、
その数字は簡単に変わってしまうからです。
しかも、その仮定の元になるデータは、
殆ど全て海外のものか、動物実験のものなんです。
日本人のものではないんですよ。
あれはただのバランスシートなんです。
それも穴だらけのね。

最初に600mg という結論があれば、
そういう数字が出来ますし、
700mg とすればそうなる訳です。
決して、それほど科学的な数字ではないんですよ。

これは良く知られている事実ですが、
カルシウムの吸収率は、身体の状態によって変化するんですね。
身体のカルシウムが不足している時は、
吸収率が上がりますし、
逆に余り気味の時は、
吸収率は下がります。
そうやって、身体に入るカルシウムを調節しているんですね。
ですから、カルシウムの必要量は、
もともとかなりの幅があるものなんです。

結論はこうなります。

カルシウムの必要量は、
そんなに厳密に算定出来る性質のものではありません。
500mg でも700mg でも、どちらでも大した差はないんです。
僕の個人的な考えを言えば、
成長期や妊娠中を除けば、
500mg あれば充分だと思います。
カルシウムが不足すると骨粗鬆症が起こる、と言うのは、
それほど科学的に立証された事実ではないんですね。
はっきり言えば、もっと別のファクターの関与の方が大きいのです。
それにもかかわらず、国をあげて数字を設定するのは、
何か意図があるからですね。
全てがそうではないにしても、
乳製品の需要を伸ばす目的が、
そこにあると考えるのは、
かんぐり過ぎでしょうか。

あまりうまい謎解きではなかったかも知れません。
最後にもう1つ。

実は、カルシウムの吸収を、
人間で簡単に検査する方法があるんです。
それを僕は10年以上前に研究していたんですが、
日の目を見ないままに終わってしまいました。

どんな方法だと思いますか?

勿体ぶるほどのこともないんですが、
これはまたの機会に説明しますね。

随分と長くなりました。
今日はこれで失礼します。

今日お休みの方は良い休日を。
僕と同じように仕事の方は、頑張りましょうね。
勿論心と身体をいじめない程度に。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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