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AIチャットボットを利用した医療相談の人間との比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
AIチャットボットの医療質問.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2023年4月28日ウェブ掲載された、
今流行のAIを活用した健康相談の質についての論文です。

AI(人工知能)を利用した、
ChatGPTという質問対話サービスが、
今非常に話題になっています。
チャットボットというのは、
多くの質問に対する答を、
膨大なデータを元にシステム化したサービスですが、
そこに自分で学び質を向上させてゆくという、
人工知能の仕組みを取り込んで、
より人間のその分野の専門家に近い解答を、
自由度の高い質問に対して可能としたのが、
このAIチャットボットです。

これまでの多くの科学技術の進歩は、
肉体労働や単純作業の部分を肩代わりするものでしたが、
このAIを活用したシステムは、
専門家が素人の質問に答えるというような、
本来非常に専門性の高い知的な作業と思われていた部分を、
機械に置き換えることを可能としていると言う点で、
多くの専門職の人間にショックを与えているのです。

それでは、
医療の部分でそのAIチャットボットの能力は、
どのくらいのものなのでしょうか?

今回の検証では、
実際にネットの健康相談でされた医療に関する医師への質問から、
195のサンプルを無作為に選び、
その医師の解答と、
ChatGPTにより導かれた解答とを、
どちらかを明かさない状態で比較して、
そのクオリティを比較しています。

その結果、
専門家からなる585件の評価において、
78.6%では医師の解答よりChatGPTの解答を評価していました。
ChatGPTによる解答は医師のものより長く、クオリティも高く、
更には親切なものと評価されていました。

論文中には実例が公開されていますが、
たとえば「爪楊枝を誤って飲み込んでしまいました。それで命に関わる可能性はありますか?」
という質問に対して、
医師は「呑み込んで数時間して症状がなければほぼ大丈夫」、
というような解答であるのに対して、
ChatGPTは、
まず「尖ったものを飲み込んだのですから心配ですね」
と相手を思いやるような文章から始まり、
「爪楊枝は木で出来ていて毒性はなく、粘膜を傷つける可能性はあるものの、
その大きさや先端の形状などからその可能性は低い」
と緻密な分析が続いています。
どう考えても、人間の医師よりAIの方が、
「人間味のある」解答を親切に示しているのです。

勿論まだ質問によっては、
不正確でリスクのあるような解答もありますが、
それほど遠くない将来、
専門的な質問はまずはAIに、
という時代が来ることは、
間違いのないことであるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。


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テロメア長とクローン性造血との関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は介護保険の審査会などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
テロミア長とがんリスク.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2023年5月4日ウェブ掲載された、
テロメア長を長くする遺伝子変異と、
それに関わる病的状態との関連についての論文です。

テロメアというのは、
複製されるDNAの両端にある、
染色体の末端を保護するような構造です。

こちらをご覧下さい。
テロメアの構造の図.jpg
テロメアの構造を示した画像です。

左上にある青いXの形をしている構造が、
DNAの折り畳まれた構造物である染色体です。

この染色体の両端に赤く図示されているのが、
テロメアという構造で、
染色体という紐の両端に付いたキャップのように見えます。

これをほぐしてみると、
そこにはTTAGGGという6個の塩基が、
繰り返しの配列を作っています。
その先端にはループ状の構造があり、
テロメラーゼという、
テロメアの繰り返しを合成する酵素が存在しています。

細胞は分裂を繰り返していて、
その時に遺伝情報であるDNAは複製されます。

ただ、その複製の時に、
完全に全てのDNAが複製はされず、
テロメアの部分のみが少し短縮します。

従って、分裂を繰り返す毎に、
テロメアは短縮してゆき、
テロメアの構造がなくなって、
複製されるDNAがむき出しになると、
もうその細胞は分裂が出来なくなります。

これがその細胞の一種の寿命と考えられます。

ただ、出生時のテロメアの長さはおおよそ11000塩基対あり、
90歳での平均のテロメアの長さが6000塩基対くらいですから、
通常の人間の寿命の中で、
細胞が分裂不能になる、
という事態は通常は起こらないのです。

テロメアの先端にはテロメラーゼという、
テロメアを合成して伸ばすことの出来る酵素が存在しているのですが、
それが機能しているのは、
生殖細胞や血液の細胞の元になる造血幹細胞など、
一部の細胞のみで、
多くの体の細胞では、
テロメアは短縮することはあっても、
再び伸びることはありません。

さて、そのメカニズムには不明の点がありますが、
テロメアが異常に短縮するという病態があり、
再生不良性貧血などの造血系の異常や、
肺線維症、肝硬変などにおいて、
遺伝子異常に伴う、
血液細胞におけるテロメアの短縮が認められます。
その多くにおいて、
テロメアに関連する遺伝子の変異が確認されています。

このようにまだ不明の点は多くありますが、
テロメアの長さと細胞の老化との間に、
一定の関連のあることは確かです。

そして、メカニズムは不明ですが、
ストレスでテロメア長がより短縮しているなど、
環境要因によってテロメア長の短縮が見られることもまた事実です。

ここまでは、
何らかの原因によりテロメアが短縮している場合の話です。

それでは、逆にテロメアが通常より長くなるような変異があると、
より健康長寿に結びつくのでしょうか?

POT1遺伝子(テロメア1遺伝子)という遺伝子があり、
その変異がテロメア長を、
長くするような作用があることが確認されています。

今回の研究では、
その稀な変異を持つ17名を、
変異のない親族21名と比較して、
その特徴を検証しています。

その結果、
変異を持つ17名のうちの、
テロメア長が測定可能であった13名のうち9名で、
通常より長いテロメアが確認されました。
意外にも変異をもつ人はそうでない場合と比較して、
高率に血液系の癌や固形癌を発症していました。
そして、造血細胞のより詳細な解析を行った12名のうち、
67%に当たる8名において、
クローン性造血と呼ばれる病的状態が確認されました。

これは、
白血病などの際に見られる造血細胞の遺伝子変異が、
主に加齢に伴って生じるという現象で、
徐々に造血細胞の多くがそうした異常な細胞に置き換わり、
高率に白血病などの血液系の癌や、
それ以外の固形癌を発症することが知られています。

この通常は老化に伴うような変化が、
老化に抗っている筈のテロメア長を長くするような変異で、
高率に認められていることが明らかとなったのです。

これは一体どうしてなのでしょうか?

テロメアが長いことは、
それだけその細胞が長生きであることを示していますが、
その一方で劣化した細胞が変異を起こし、
不死化したり癌化するリスクも増やすことに結び付いているのです。
それが結果として「できそこないの細胞」を増やし、
癌の増加に繋がっているように想定されています。

テロメアさえ長くすれば不老不死が達成される、
というような甘い話は実際にはないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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BCGワクチンの新型コロナ予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
BCGのコロナへの有効性.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2023年4月27付で掲載された、
BCGワクチンの新型コロナ予防効果についての論文です。

BCGワクチンというのは、
牛の結核菌由来の生ワクチンで、
結核の予防ワクチンとして開発されました。

そのまま他のワクチンのように接種すると、
皮膚が腫れあがったり水疱が出来るような副反応が強いので、
日本では独特の剣山のような器具を用いて、
複数の針を皮膚に押し当て、
判子を押すようにして注射する方法が開発され使用されています。
ただ、これは日本とその器具を輸入して使用している、
一部の国のみの接種法です。

日本では定期接種として、
1歳未満のお子さんの時期に接種が行われていますが、
こうした接種スケジュールも、
一部の結核の流行国以外では行われていません。

それはBCGを一旦打ってしまうと、
結核菌に対する身体の免疫が活性化されるので、
結核に実際に感染した際の診断が難しくなってしまうことと、
このワクチンの成人の結核の予防効果は、
充分に確認されていない、
という点がその主な理由です。

BCGワクチンは牛の結核菌を使用するという、
古い製法によるワクチンで副反応が強く、
その効果も現代の目で見るとそれほど高いものではないのです。
しかし、その後BCGを超える結核予防ワクチンが、
登場していないこともまた事実で、
そのためにやや消極的に使用されている、
というのが実際である訳です。

ところが…

BCGワクチンには、
結核予防以外に有効性があるのでは、
という見解が、
最近相次いで報告されるようになりました。

その幾つかは以前ブログでもご紹介しています。

複数の疫学研究において、
出生時にBCGワクチンを接種することにより、
子供の死亡リスクが減少する、
という報告が存在しています。
その後の解析によりこれは結核の予防効果のためではなく、
お子さんの時期の敗血症や呼吸器の感染症が、
トータルに減少したためと考えられています。

動物実験においても、
BCG接種がその後の死亡リスクを低下させ、
結核以外の細菌感染を予防するという結果が報告されています。

BCGはまた、
癌に対して非特異的免疫療法としても、
その効果が確認されています。
膀胱癌への補助的治療としてのBCGの効果は、
世界的に評価されている知見です。
更に疫学データにおいては、
出生時のBCGワクチンの接種が、
肺癌のリスクを低下させたという知見もあります。

それでは、
何故結核ワクチンのBCGが、
他の多くの感染症や癌に対して効果があるのでしょうか?

免疫には、
対象を選ばず相手を攻撃する自然免疫と、
相手に合わせて抗体を産生し、
次に同じ病原体の攻撃を受けた際には、
速やかに対応する獲得免疫という2種類があります。

これまでの研究により、
BCGは自然免疫の賦活による効果と、
獲得免疫の賦活による効果の、
両方があると想定されています。

最近になってBCGワクチンが注目されているのは、
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に対しても、
BCGワクチンには一定の予防効果があるのではないか、
という考え方があるからです。

この点については幾つかの臨床試験が施行されていて、
その一部はブログでご紹介したことがあります。

結果は若干の有効性が確認された、
というようなものもありますが、
トータルに見て新型コロナウイルス感染症の、
感染予防や重症化予防に、
BCGワクチンを推奨する、というほどの、
明確な有効性は確認されていないのが実際です。

今回の臨床試験はオーストラリアを中心に、
オランダ、スペイン、イギリス、ブラジルにおいて、
医療従事者を登録し、
トータルで3988名をくじ引きで2つの群に分けると、
一方はBCGワクチンを接種し、
もう一方は生理食塩水を同じように接種して、
新型コロナの流行期に12か月の経過観察を施行しています。

その結果、有症状の新型コロナの感染や重症の感染のリスクには、
両群で明確な差は認められませんでした。

このように、
BCGワクチンの接種には、
細胞性免疫を賦活して、
多くのウイルス感染の予防に寄与するような効果のあることは、
ほぼ間違いがないのですが、
新型コロナウイルス感染症に限ってその有効性を見た時には、
単独でその使用を推奨するほどの、
有効性は確認されない、
という辺りが実際であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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妊娠糖尿病の妊娠早期スクリーニングの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
妊娠糖尿病の早期診断の有効性.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2023年5月5日ウェブ掲載された、
妊娠糖尿病の妊娠早期における、
スクリーニングの有効性についての論文です。

妊娠糖尿病というのは、
糖尿病という名前は付いていますが、
実際には糖尿病にまでは至らない糖代謝の異常のことです。

糖尿病にまでは至らなくても、
妊娠中に一時的な耐糖能異常があると、
正常妊娠と比較して流早産や巨大児などの、
母体や胎児双方の異常が、
多くなることが報告されているので、
対応が必要な「病気」として捉えられているのです。

現行世界的に最も広く使用されている基準は、
国際糖尿病妊娠学会が2010年にまとめたもので、
妊娠24週以降くらいの時期に75グラム糖負荷試験を施行して、
負荷前の血糖値が92㎎/dL以上、負荷後1時間値が180mg/dL以上、
負荷後2時間値が153mg/dL以上のいずれかを満たすとき、
というように規定されています。

この基準が現行日本においても適応されていて、
通常まず血糖値などを測定して、
上昇が疑われる場合には糖負荷試験が施行され、
上記の基準を満たせば「妊娠糖尿病」とするのが一般的です。

妊娠糖尿病になった女性は、
その後顕性の糖尿病になるリスクが、
通常より高くなることが知られています。

つまり、妊娠糖尿病は糖尿病の予備群として捉えることが出来るのです。

近年この糖尿病に移行するリスク以外に、
妊娠糖尿病自体が心筋梗塞や脳卒中、
女性に多く深部静脈血栓症などのリスクになるのではないか、
という疫学データが報告されて注目を集めています。

そして、妊娠糖尿病の患者さんの予後改善のために、
現行の妊娠24週以降での検査ではなく、
より妊娠早期に検査を行い、
治療や管理を開始するべきではないのか、
という考え方が強くなって来ました。

そこで今回の研究では、
オーストラリア、オーストリア、スウェーデン、インドの、
複数の専門施設において、
4から19週6日までの妊娠週数において、
早期の糖負荷試験で妊娠糖尿病の有無を診断し、
妊娠糖尿病と診断された802名の妊娠女性を、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は血糖改善のための指導や管理を積極的に行い、
もう一方は24から28週という通常のタイミングで、
もう一度糖負荷検査を施行し、
それまでは主治医には早期の結果は伏せておいて、
未治療で観察します。

その結果、
妊娠20週より前の段階で治療的な介入を行うと、
通常の24週以降の介入と比較して、
早産や巨大児、胎児死亡などを併せた胎児のリスクは、
18%(95%CI:0.68から0.98)有意に改善していました。
その一方で高血圧などの母体のリスクについては、
早期の介入でも通常の介入でも、
有意な差は認められませんでした。

今回のデータをどう考えるかは今後の検証が必要ですが、
少なくとも特定のリスクの高い妊娠女性においては、
現行より早期の妊娠糖尿病の診断が、
検討される可能性が高そうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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骨粗鬆症治療薬の有効性比較(2023年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

今日は休みの日ですが祝日が続いたので医療の話題です。

今日はこちら。
骨粗しょう症治療薬のメタ解析.jpg
British Medical Journal誌に、
2023年5月2日付で掲載された、
閉経後の骨粗鬆症治療薬の、
有効性を比較したメタ解析の論文です。

骨粗鬆症の治療薬は、
糖尿病の治療薬と並んで、
近年最もその進歩が著しい分野で、
新たな治療薬が次々と開発され、
実際に臨床に活用されています。

現状最も広く使用されている閉経後の骨粗鬆症治療薬は、
ビスフォスフォネートという強力な骨吸収の抑制剤で、
その効果は代表的な薬剤の1つである、
リセドロネート(商品名アクトネル、ベネットなど)のデータでは、
2から3年の継続的使用で、
トータルな骨折のリスクを4割程度減少させています。

一方でより強力な骨吸収の抑制剤として、
抗RANKL抗体という注射薬があり、
その1つであるデノスマブの効果は、
3年間で背骨の骨折のリスクを68%、
股関節の骨折のリスクを40%低下させた、
というデータが発表されています。

また別のメカニズムを持つ注射薬として、
骨形成を促進させる作用を持つ、
副甲状腺ホルモンの誘導体の注射薬があり、
その1つである週1回の注射のテリパラチド(商品名テリボンなど)は、
18か月の使用で新規骨折のリスクを70%以上低下させている、
というデータが報告されています。

更に最も新しく2019年に日本で発売されたロモソズマブ(商品名イベニティ)は、
抗スクレロスチンモノクローナル抗体というタイプの注射薬です。
スクレロスチンは骨細胞から分泌される蛋白質の一種で、
骨代謝を抑制する働きを持っています。
この蛋白質を強力に抑えることにより、
骨吸収と骨代謝を共に抑えるという、
それまでの薬剤ではなかった作用を持っているのです。
その有効性は臨床試験においては、
他の前述の骨粗鬆症治療薬に勝る骨折予防効果が報告されています。

こうしたデータからは、
ビスフォスフォネートより、
デノスマブやテリパラチドの方が、
更にはそれよりもロモソズマブの方が、
骨折リスクの高いような高齢者では、
有用性が高いように思われます。

ただ、骨折のリスクを評価の項目とした、
厳密な方法でのこうした薬剤の直接比較の試験は、
実際にはこれまであまり行われていませんでした。

今回の検証はこれまでの精度の高い臨床試験のデータを、
まとめて解析して比較する、
システマティックレビューとネットワークメタ解析といった手法で、
閉経後骨粗鬆症治療薬の有効性比較を行っているものです。

これまでの69の精度の高い臨床研究に含まれる、
8万人を超える患者データをまとめて解析したところ、
偽薬と比較して、
ビスフォスフォネート、副甲状腺ホルモン誘導体、
ロモソズマブには、
有意な骨折予防効果が確認されました。

副甲状腺ホルモン誘導体と比較すると、
ビスフォスフォネートは、
臨床的な骨折予防の有効性において劣っていました。

デノスマブは、
副甲状腺ホルモン誘導体とロモソズマブよりも、
臨床的な骨折予防の有効性において劣っていました。

このように現状の臨床データからは、
ビスフォスフォネート、デノスマブ、副甲状腺ホルモン誘導体、
ロモソズマブの4者の治療において、
最も有効性において優れているのは、
ロモソズマブと副甲状腺ホルモン誘導体で、
次がデノスマブという順になり、
ビスフォスフォネートはその3剤よりは劣るというのが、
現状の理解で良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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消炎鎮痛剤の心不全リスク(糖尿病患者における検証) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
NSAIDSの短期使用と心不全リスク.jpg
Journal of the American College of Cardiology誌に、
2023年4月18日付掲載された、
消炎鎮痛剤の心不全リスクについての論文です。

ロキソニンやボルタレン(いずれも商品名)などの、
非ステロイド系消炎鎮痛剤は、
手っ取り早く痛みや熱を改善する薬として、
広く使用されています。

その主な作用は、
COXと呼ばれる酵素を阻害することにより、
プロスタグランジンの産生を抑制することにあります。

しかし、非ステロイド系消炎鎮痛剤は、
多くの副作用や有害事象のある薬としても知られています。

現時点で明確なものとしては、
急性の腎障害や胃粘膜障害による消化管出血、
体液の貯留による心不全リスクの増加、
心血管疾患リスクの高い患者さんにおける、
心筋梗塞などの発症リスクの増加などがあり、
この心血管疾患リスクの増加は、
アスピリンなどの抗血小板剤や抗凝固剤の使用時により、
より顕著となることが報告されています。

胃粘膜障害については、
COX2の選択的阻害剤で減少することが確認されていますが、
腎障害や心血管疾患のリスク増加については、
それほどの差はないと考えられています。

2型糖尿病の患者さんでは、
腎機能低下や糖尿病性心筋症、
心不全などを合併しやすいことが知られていて、
そのことからは、
非ステロイド系消炎鎮痛剤を使用時の有害事象についても、
より多いことが想定されます。

しかし、実際には個別のリスクについて、
2型糖尿病の患者さんに限ったデータは、
それほど多くはありません。

そこで今回の研究では、
国民総背番号制を敷いているデンマークにおいて、
2型糖尿病の患者での新規の心不全による入院のリスクと、
非ステロイド系消炎鎮痛剤の処方との関連を、
比較検証しています。

2型糖尿病の患者、トータル331189名を対象とし、
新規の心不全による入院と、
その前1年以内の非ステロイド系消炎鎮痛剤の処方との、
関連を検証したところ、
28日以内の短期の消炎鎮痛剤の使用により、
新規の心不全による入院のリスクは43%(95%CI:1.27から1.63)、
有意に増加していました。
このリスク増加はサブ解析においては、
特に80歳以上の年齢層で78%(95%CI:1.39から2.28)、
これまでに非ステロイド系消炎鎮痛剤の使用歴がない場合には、
2.71倍(95%CI:1.78から4.23)と、
より大きなものとなっていました。

このように特に高齢の患者においては、
非ステロイド系消炎鎮痛剤の2型糖尿病患者への使用は、
それが短期間のものであっても、
心不全による入院のリスクを有意に高めていました。

糖尿病の患者さんへの消炎鎮痛剤の使用は、
リスクがあることを念頭において、
必要最小限にとどめる必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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「映画ネメシス 黄金螺旋の謎」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ネメシス.jpg
少し前ですが日本テレビ系列で放映された、
ドラマの映画版が公開され、
ミステリー映画は嫌いではないので足を運びました。

このドラマは意欲的なエンターティンメント映画を、
複数脚本監督している入江悠さんがメインで関わり、
複数のミステリー作家がアイデアを提供する、
というような前宣伝で始まったのですが、
蓋を開けてみると、
緩い探偵事務所もの的な雰囲気で、
本格ミステリー的な要素は皆無と言って良い内容だったので、
あの前宣伝は一体どのような意味だったのだろうか、
と肩透かしにあったような気分になりました。

こちらはその映画版で、
脚本は秦建日子さんです。
内容的にはテレビシリーズで解決されなかった、
ヒロインの秘密の処理について、
一応の決着を付けている、
というような内容になっているので、
本来はシリーズ終了後すぐに公開する予定であったところ、
コロナ禍の事情があって、
2年スライドしてしまった、
というように思われます。

予知夢を見て、夢と現実がリンクする、
という内容になっているのですが、
そのトリックがかなり微妙なもので、
作品のスタイルを選ぶかなあ、という感じがするのですが、
作品の雰囲気が、このトリックを成立させるために、
あまり合致したものとは思えませんでした。
クライマックスではアクションにリンクして、
背景がCGでグルグル変わるのですが、
これはもう散々マーベルなどで見慣れた光景を、
とてもしょぼく再現されるので、
「あーあ」という気分になってしまいました。

こうしたテレビドラマの映画化は、
フジテレビ系列のものが最も出来が良くて、
他の系列のものは、
テレビドラマとしての出来は優れていても、
映画はしょぼくて酷いことが通例ですが、
今回もその通例通りの結果になっていたように思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い祝日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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「search #サーチ2」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は連休でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
サーチ2.jpg
これは殆どの場面が、
パソコンやスマホの画面のみで展開される、
というアイデア重視の映画ですが、
内容自体もなかなか凝っていて、
優れたサスペンス・ミステリー映画となっている点に感心しました。

2018年に公開された「サーチ」の姉妹編で、
失踪事件の真相をPC画面のみで物語る、
という構造自体は2作とも同じですが、
内容は完全に独立していて関連はありません。

以下、明確なネタバレはありませんが、
この作品は前作も含めて意外性が命なので、
是非鑑賞後にお読みください。
特にミステリー好きには必見です。
(前作「サーチ」の内容にも少し触れているので、
その点ご注意下さい)

少女の母親が恋人とバカンスに行って失踪し、
それをネットやSNSの情報を駆使して少女が探します。
それをほぼほぼ検索の画面だけをスクリーンに映して、
映画として成立させているのですが、
色々な映像素材を多角的に取り込むことによって、
自然と観客は内容に引き込まれ、
主人公と一緒に人生というゲームに参加している、
という気分になるのです。
決してアイデア倒れにはなっていない、
クレヴァーな画面構成にまず感心しました。

何よりリアルなのは、
グーグルやインスタグラムなどが、
全て現実そのままに登場することで、
日本でも同工異曲のドラマはありますが、
許可を取っていないので架空のアプリなどが使用され、
それだけで詰まらなくなってしまいます。
その点この作品は全て許可を取り、
そのリアルさに一気に物語世界に引き込まれるのです。

母親探しのミステリーも、
なかなか考え抜かれて作り込まれています。
古典的なミステリーのトリックを幾つか、
換骨奪胎して活用しているのですが、
その驚きの演出もなかなか鮮やかです。
これは前作も同じですが、
前作が割と古典的な「意外な犯人」を活用しているので、
今回は同じ手を使うことは出来ず、
相当考えたのだろうなあ、と推測します。
また設定として今の社会の問題を取り込んでいて、
その使い方とミステリーの謎との絡ませ方も見事です。

前作も今作も主人公は有色人種で、
結果として有色人種のキャラはほぼ善人で、
悪党はほぼ白人種というところが、
如何にも今の映画という感じです。
昔ヒッチコックの映画は、
ブロンドは善人で黒髪は悪党で、
それはそれで差別的であったのかも知れませんが、
今はそれを逆張りしていて、
それが本当に公正なのかしらと、
疑問に思いますし、
結果として物語の意外性を犠牲にしている、
という気もします。
でも、潜在意識までが糾弾されるのが今の世の中ですから、
防衛的には仕方のないことなのかもしれません。

いずれにしても、
今の映画としては最も優れたミステリー映画の1本で、
色々な意味で今を代表する映画の1本でもあると思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い連休をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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市川崑「犬神家の一族」あれこれ [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
犬神家の一族.jpg
角川映画の第一作、
1976年の市川崑監督、
石坂浩二が金田一耕介を演じた、
横溝正史原作のミステリー映画、
「犬神家の一族」の公開時のパンフレットの表紙です。

この映画は中学校の時に、
同級生の友達数人と見に行きました。
水戸の映画館の前で待ち合わせをしたのですが、
女の子の2人組が来るのが遅れ、
結果的に始まって15分くらいは、
見ることが出来ませんでした。
映画館に入った時には、
珠代さんのボートに穴が開いて沈みそうになって、
というところまで話は進んでいました。

最初の部分を観たのは、
その後テレビで放送された時でした。

見た直後の皆の感想は、
「何だかなあ」というものでした。
女の子の感想は、
「あんまり怖くなかったね」
というものでした。

この映画では前半で地井武男さんが殺されて、
首を切られるのですが、
その首の作り物が、
「あらあら」という出来なのに、
それを見た金田一耕介が、
極めて大仰なリアクションで驚くので、
その場面でガッカリしてしまうのです。

ただ、当初から、個人的には強く印象には残りました。

その後テレビで放送された時に何度か見て、
その時は非常に楽しかったですし、
何か不思議と何度も繰り返し見たくなる、
ある種の魔力のようなものが、
この作品にはあることを感じました。
実際、ビデオに録画して、それを流しながら勉強すると、
結構捗るので、
大学で試験の前などは、
エンドレスで一時はこの映画を流していました。
(勿論いつもではありませんでしたが…)

僕にとっては、
一種のカルトムービーだったのです。

この映画の新しさは、
おそらく日本最初の、
ミステリー小説のほぼ忠実な映像化であったことです。

この映画以前にも、
ミステリーを原作とする映画は多くありましたし、
横溝正史の作品自体、
何度も映像化されています。
しかし、それは原作を大きくリライトしたもので、
原作の伏線やトリックを、
そのまま活かしたものではありませんでした。

これは通常は当たり前のことで、
映像と小説とは、
基本的に構成が違うので、
そのまま映像化しようとしても、
通常は無理があるのです。

この映画は初めて小説の構成をそのままに、
その映像化に成功しています。

そのために、多くの技巧と工夫とが、
この作品には凝らされています。

その多くは自身ミステリーファンでもある、
市川監督のこだわりによるものです。

まず、作品の選定ですが、
横溝正史の作品のうち、
「犬神家の一族」は、
必ずしも有名なものではなく、
そのミステリーとしての出来栄えも、
「獄門島」や「本陣殺人事件」、
「八つ墓村」といった諸作からは、
少し見劣りのするものです。

この作品は富豪の死が引き金になり、
異常な遺言が発表され、
生死の不明な相続人の存在が鍵になり、
3つの見立て殺人が行なわれるなど、
「獄門島」と似通った構成を取っていますが、
正直「獄門島」よりミステリーとしての密度は、
かなり劣ります。
ただ、「獄門島」ほど複雑な筋立てになると、
そのまま映画にすることは、
不可能ではないものの、
かなり無理があるのです。

実際「獄門島」は何度も映像化はされていますが、
原作の忠実な映像化は一度もされていません。
最近は放送禁止用語の問題もあって、
根幹になる設定すら、
変えられて無残な姿を曝しています。
市川監督自身、シリーズの3作目は「獄門島」でしたが、
犯人を一部変えるという、
思い切った改変をしています。

その一方でこの「犬神家の一族」は、
トリックは端的に言えばたった1つで、
それも結構視覚的なものなのです。

この点で映画の作り手の選択眼は、
非常に確かなものと言えると思います。

ミステリーの映像化で、
一番の問題になるのは、
最初の人物紹介の煩わしさと、
犯人が指摘された後で、
探偵が絵解きを長々とする場面の、
映像的な処理です。

その市川監督の解決法は、
人物紹介に関しては、
映像的な技巧を駆使して、
短時間でコラージュ風に紹介することで、
解決しています。
役者陣が実力派揃い、ということもありますが、
映像マジックと呼んで良い完成度で、
この部分は何度見ても、
僕は楽しめます。

ラストの絵解きについては、
これは腹を括って、
省略なく長時間の絵解きを行なっています。

ただ、犯人と重要人物とが、
その絵解きの場で初めて直接出会い、
感動的な語らいをする、
という趣向を盛り込んで、
ドラマとしてはその部分をクライマックスにする、
という構成を用意しているのです。

内容的にはほぼほぼ原作通りなのですが、
最後の殺人については少し設定が改変されています。
これは原作もこの部分がかなり強引なのですね。
「本当に実現可能だったのかしら」と思えるような部分があり、
それで映画版は設定を少し変え、
それがその後の映像化でも踏襲されているという側面があります。

映画館で見るとこの映画は、
細部の安っぽさや、なくもがなのギャクなどに、
かなりガッカリ感があって、
高い点は付けられない気分になるのですが、
ミステリーの映像化としては、
エポックメイキングなものであった事は確かで、
謎の人物がマスクを取る場面や、
その正体を現わす場面など、
忘れ難い場面も多く、
日本映画のカルトの1本だと思います。

その後市川監督自身によるリメイクを含めて、
多くの「犬神家の一族」と称する映画やドラマが作られていますが、
その志の高さとカルトとしての魅力において、
この映画以降の全ての映像化は蛇足に過ぎない、
と断言出来ます。

先日NHKでも前後編で3時間のドラマとして放映されましたが、
ほぼほぼ映画版と同じ部分が多くて、
その点は落ち着いて見ていたのですが、
最後に至って、実は真犯人に金田一耕助は騙されていた、
というどんでん返し(?)が付け加えられていて、
呆然とさせられました。

こんなことしちゃ駄目だよ。

やりたい気持ちは分かるのです。
金田一耕助の存在と推理、何か変だもんね。
解決も強引で納得しにくい点もあるんですよね。
でも、もしこれをやるなら、
「犬神家の一族」ではなく、新作にするべきでしょ。
それが作者への最低限のリスペクトではないでしょうか?
これは原作者が生きていたとしても、
憤りを感じたと思うんですね。
だって、
「あなたの書いた結末より面白い結末を思いついたので変えてみました。
この方が今風でいいでしょ」
と言われているようなものでしょ。
「そう思うなら自分で最初から書いてくれよ。
君のお話の方が今の時代に合っていて、
さぞかし面白いのだろうけれど、
僕の書いた話をそのまま使っておいて、
一旦その通りの結末をつけているのに、
最後だけ書き換えるのはフェアじゃないよ」
と思って当然ではないでしょうか?

結局今の視点で過去の作品を上から目線で批評し、
断罪しているんですね。
原作には復讐に取り憑かれた人物が登場しますが、
それを今回の映像化では愛に飢えた人物に書き換えていますよね。
要するに昔の人は悪い考えを持っていて、
悪い時代であったけれど、
今はそうじゃないよ、と言いたいのですね。
今はそれが流行りなので仕方がないのですが、
横溝正史でそんなことはしないで欲しい、
というのが個人的な強い思いでした。

今日は僕の好きな映画の話でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い連休をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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生菌製剤(VE303)によるクロストリジウム・デフィシル菌感染予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
クロストリジウム経口製剤の有効性.jpg
JAMA誌に2023年4月15日ウェブ掲載された、
腸内細菌の経口製剤で、
難治性の感染性腸炎を予防する試みについての論文です。

クロストリジウム・デフィシル菌というのは、
嫌気性有芽胞菌という分類に属する細菌で、
破傷風の原因である破傷風菌や、
食中毒の原因となるボツリヌス菌などと、
同じ仲間に属する病原体です。

この細菌は人間の腸の常在菌で、
日本人の大人の1割は持っている、
という報告もありますが、
通常は人間には悪さをしません。

それが問題になるのは、
主に抗菌剤の使用時で、
抗菌剤の使用により、
大腸の正常な菌叢が乱され、
腸内細菌が死滅すると、
このデフィシル菌が異常に増殖し、
偽膜性腸炎という名称の、
下痢を伴う腸炎を起こします。

ポイントは抗菌剤を使用していて、
強い下痢の症状が出現したら、
すぐに薬を中止することで、
軽症であればそれで腸内菌叢が正常に復することにより、
デフィシル菌の増殖も抑えられて元に戻ります。

ただ、
実際には全身状態が悪く、
抗菌剤の使用が必須の患者さんで、
こうしたことが起こると、
免疫力の低下なども相俟って、
経過は遷延して重症化することも稀ではなく、
デフィシル菌の除菌のために、
再度抗菌剤を使用することも已む無し、
という事態になります。

こうした場合に使用される薬剤の筆頭は、
バンコマイシンやフィダキソマイシンと呼ばれる抗菌剤ですが、
一旦は改善しても、
再発することが多いことが知られています。
その頻度は40から60%という統計があるほどです。

このデフィシル菌による腸炎の再発予防に、
腸内細菌製剤を使用するという考え方があります。

以前ご紹介した2022年のNew England…の論文
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2106516
では、
SER-109という、
健康なドナーの便から抽出した、
ファーミキューテス門という腸内細菌の1分類区画を、
増殖した芽胞製剤を用いて、
クロストリジウム・デフィシル菌による偽膜性腸炎の再発が、
68%予防されたとする結果が報告されていました。

今回ご紹介する論文では、
VE303と名付けられた、
矢張り健康な成人の便から抽出した、
毒性のない8種のクロストリジウム属の細菌製剤の、
有効性を検証しています。

アメリカとカナダの複数施設において、
18歳以上で6か月以内に1回以上クロストリジウム・デフィシル菌による腸炎に罹患し、
再発リスクが高いと判断された79名を登録し、
本人にも主治医にも分からないように3つの群に分けると、
生菌製剤VE303の低用量と高用量の使用群、そして偽薬群に割り付けて、
1日1回2週間の治療を継続し、
その後8週間の再発リスクを比較検証しています。

その結果、
8週間のクロストリジウム・デフィシル菌による腸炎の再発は、
VE303低用量使用群で37.0%、
高用量使用群で13.8%、偽薬群で45.5%に認められ、
高用量では81%(90%CI:0.05から0.71)の予防効果が確認されました。

このように、今回の臨床試験においても、
生菌製剤の使用により、
デフィシル菌の再発が明確に抑制されており、
今後こうした生菌製剤の使用が、
デフィシル菌感染再発予防の治療の柱になってゆくことは、
間違いがなさそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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