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本能寺ホテル [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。

今日はこちら。
本能寺ホテル②.jpg
万城目学さんが台本に関わってトラブルになったのでは…
という事実は不明ですが変な噂が先行した、
フジテレビ印の映画を観て来ました。

多分詰まらないだろうな、とは思ったのですが、
仕事帰りに妻と映画を観るのに、
タイミングが合う上映時間のものが、
この作品しかなかったので足を運びました。

予想をかなり超えるくらいに詰まらない映画で、
封切り初日にも関わらず、
映画館は閑散としていました。
ほぼ確実に短期間で打ち切りになるので、
ご興味のある方は早くご覧になった方が良いと思います。

以下ネタバレを含む感想です。

もしこれから観たいと思う方は、
鑑賞後にお読み下さい。

ただ、お勧めはしません。

これは歴女人気を当て込んだ作品だと思うのです。

綾瀬はるかさんが古都京都で、
本能寺の変前日の本能寺に紛れ込み、
信長に感化されて、
最後は歴史教師を志します。

彼女は人生の目標があまりなく、
勤めていた会社が倒産したために、
何となく付き合った男性と結婚を決めてしまったのですが、
婚約者の実家のある京都で、
ホテルの予約を間違えてしまい、
そのために「本能寺ホテル」という不思議なホテルに迷い込みます。

そこのエレベーターで金平糖を噛むと、
何故か1982年の本能寺にタイムスリップしてしまいます。

そこで現代にはいないタイプの信長という男性に、
恋をしてしまった主人公は、
歴史を変えても構わないと、
信長に光秀が裏切ることを前日に告げるのですが、
信長は自分の命より大切なものに殉じると、
秀吉に密かに手紙を送って後を託し、
自らは死んでゆきます。
それを知った主人公は、
愛のない婚約を解消し、
歴史教師になる道を選びます。

秀吉の中国大返しが成功したのは、
事前に信長から手紙を受け取っていたからだった、
というのが一応のポイントで、
それ以外には特に目新しい点はありません。

万城目さんが盗られたという小ネタとは何でしょうか?
金平糖?
そのくらいしか思いつきません。
そもそも筋の工夫など皆無に近いからです。

タイムスリップものということではなく、
人生の岐路に立っている若い女性が、
神秘的な経験をして、
それをきっかけに人生を問い直す、
という物語で、
日本映画にはありがちな古典的趣向です。

先に数少ない良い点から言うと、
京都に広範にロケをしていて、
馴染みのある場所が綺麗に撮影されていて美しく、
綾瀬はるかさんの主人公と、
堤真一さんの信長は、
綺麗にそして格好良く撮られています。
あと本能寺の変の場面はスケール感があります。
これだけ大掛かりで綺麗な本能寺の変は、
あまりこれまでの映像にはなかったという気がします。

ただ、オリジナル・ストーリーで、
万城目さんが関わっていた、と言う話の真偽はともかくとして、
台本にはかなり紆余曲折があり、
色々と凝ろうとしては失敗し、
結局は何も新味のない物語に、
ならざるを得なかったのかな、
というようには感じました。

綾瀬さんの物語が、
もっと書き込まれていないといけない筈ですが、
オープニングから過去と現在を、
交互に切り替えるというような編集になっていて、
分かりにくいですし、
中途半端です。
主人公がホテルの予約の間違いに気づくところなど、
ミュージカルもどきの変なコメディ演出をしているのですが、
全体からは浮いていて訳が分かりません。

綾瀬さんの役柄もちょっと分裂気味で、
本来は歴史に詳しい女性でなければならない筈なのに、
「天然キャラ」を活かしたかったのか、
途中では歴史のことなど何も知らない、
というような感じにしているので、
ラストで歴史教師になる、
というのが完全に矛盾しています。

現在から過去に持ち込まれたものとして、
胃薬のビンと勧誘のチラシがあるのですが、
何の意味もありませんし、
最後は燃えておしまいです。

風間杜夫さんの役も八嶋智人さんの役も意味ありげなだけで、
何も明らかにされないままに終わってしまいます。

このようにすべてが未整理で、
意味ありげなだけに終わっています。
「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」
のオープニングの巧みさはどうでしょうか?
比較するのも恥ずかしい感じがしますが、
映画というものを、
かなり舐めているように思えてなりませんでした。

ただ、よく考えてみると、
かつての角川映画の多くも、
質的にはあまり変わらなかったような気もします。

凡作でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。