COVID-19のリバウンドはあるのか? [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療や小学校の健診には廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA誌に2022年6月8日掲載されたニュース記事ですが、
新型コロナウイルス感染症のリバウンドと、
それに関わる経口治療薬の関与についての、
少し気になる内容です。
最初にHIV感染症の専門の研究者が、
新型コロナウイルス感染症に罹患した事例が紹介されています。
その研究者は倦怠感などの症状が出て、
抗原検査とRT-PCR検査で陽性を確認。
症状出現から12時間後に、
ファイザー社の経口治療薬である、
パキロビットパック(ニルマトレルビル・リトナビル)の使用を開始しました。
投与開始後4日の時点で症状は改善。
4日目と5日目にも検査を施行して陰性を確認したため、
規定によりその時点で隔離を解除しました。
ところが…
6日間続けて検査が陰性であった時点で、
再び体調不良あり。
抗原検査とRT-PCR検査で陽性が確認されました。
つまり、一旦回復した筈の感染が、
リバウンドした(ぶり返した)としか思えないような事例が、
確認されたのです。
実はこうした事例は1件のみではなく、
国内外を問わずSNSなどでは複数報告されています。
更にはパキロビッドパックの臨床試験においても、
全事例の1から2%で、
そうしたリバウンド事例があったことが確認されています。
ただ、事例は実薬群でも偽薬群でも、
同じように認められていて、
薬の影響ではないというのが、
製薬会社の見解です。
これは勿論推測の域を出ないのですが、
人工的に薬でウイルスの増殖を短期間抑えることにより、
使用期間の5日を終えた時点で、
抑えられていたウイルスの再増殖が起こり、
それがリバウンドに繋がっているという可能性や、
薬剤が身体の免疫機能に抑制的な影響を与え、
それがウイルス増殖期間を遷延させるという可能性は、
理屈ではあり得るという気もします。
その一方で、
オミクロン株の流行以降で、
そうしたリバウンド事例が多いことを指摘する報告もあり、
オミクロン株は確かに潜伏期は短く、
検査が陰性になるまでの期間も短いのですが、
その一方で持続感染の事例も多いのではないか、
というような可能性もあるのです。
オミクロン株の動態はまだ不明の点も多く、
こうしたリバウンドもあり得ることを想定して、
今後は慎重に個々の病状経過を、
臨床医としては見てゆく必要がありそうです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療や小学校の健診には廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA誌に2022年6月8日掲載されたニュース記事ですが、
新型コロナウイルス感染症のリバウンドと、
それに関わる経口治療薬の関与についての、
少し気になる内容です。
最初にHIV感染症の専門の研究者が、
新型コロナウイルス感染症に罹患した事例が紹介されています。
その研究者は倦怠感などの症状が出て、
抗原検査とRT-PCR検査で陽性を確認。
症状出現から12時間後に、
ファイザー社の経口治療薬である、
パキロビットパック(ニルマトレルビル・リトナビル)の使用を開始しました。
投与開始後4日の時点で症状は改善。
4日目と5日目にも検査を施行して陰性を確認したため、
規定によりその時点で隔離を解除しました。
ところが…
6日間続けて検査が陰性であった時点で、
再び体調不良あり。
抗原検査とRT-PCR検査で陽性が確認されました。
つまり、一旦回復した筈の感染が、
リバウンドした(ぶり返した)としか思えないような事例が、
確認されたのです。
実はこうした事例は1件のみではなく、
国内外を問わずSNSなどでは複数報告されています。
更にはパキロビッドパックの臨床試験においても、
全事例の1から2%で、
そうしたリバウンド事例があったことが確認されています。
ただ、事例は実薬群でも偽薬群でも、
同じように認められていて、
薬の影響ではないというのが、
製薬会社の見解です。
これは勿論推測の域を出ないのですが、
人工的に薬でウイルスの増殖を短期間抑えることにより、
使用期間の5日を終えた時点で、
抑えられていたウイルスの再増殖が起こり、
それがリバウンドに繋がっているという可能性や、
薬剤が身体の免疫機能に抑制的な影響を与え、
それがウイルス増殖期間を遷延させるという可能性は、
理屈ではあり得るという気もします。
その一方で、
オミクロン株の流行以降で、
そうしたリバウンド事例が多いことを指摘する報告もあり、
オミクロン株は確かに潜伏期は短く、
検査が陰性になるまでの期間も短いのですが、
その一方で持続感染の事例も多いのではないか、
というような可能性もあるのです。
オミクロン株の動態はまだ不明の点も多く、
こうしたリバウンドもあり得ることを想定して、
今後は慎重に個々の病状経過を、
臨床医としては見てゆく必要がありそうです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2022-06-10 21:31
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