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「DUNE デューン 砂の惑星」(2021年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
デューン.jpg
「砂の惑星」は、
フランク・ハーバートによる1960年代SFの古典叙事詩で、
1984年にデビット・リンチ監督で映画化されたものの、
監督の意図からはかなり外れた作品となり、
公開当時からとても不評でした。
ホロドフスキーが映画化を目論むも実現には至りませんでした。

その曰く付きの作品が、
ドゥニ・ビルヌーブ監督により、
原作にほぼ忠実な大作として再映画化されました。

ビルヌーブ監督は今SF映画を撮らせたら随一の鬼才で、
「メッセージ」も凄かったですし、
「ブレードランナー2049」も感動的で素晴らしかったですよね。

それで嫌が上にも期待は高まります。

これは今回初めて原作を読んだのですが、
とても面白いんですね。
最初100ページくらいは作品の世界観を理解するのに苦労するので、
ハードルはやや高いのですが、
それ以降はグイグイと作品世界に引込まれます。
1つの別世界を創造したという力技の魅力です。

実際に観た感想としては、
さすがビルヌーブという凄みはありました。

映像がともかく圧倒的で、
全体にリアルな質感が素晴らしいですよね。
サンドウォームという怪物が出て来るのですが、
最後までその全体像は見えません。
最初にその予兆みたいに砂漠の砂の表面に波紋が立つのですね。
それから一気に蟻地獄みたいな穴が開きます。
その感性豊かな表現とリアルさが素晴らしいですね。
色々な現実にはない機械が出て来るのですが、
メカニックの造形や動きが、
昔のサンダーバードみたいなんですよね。
とてもその動きにもリアルさがあってワクワクします。
こういう動きは、
「スターウォーズ」などには、
あまりなかったディテールだと思います。

砂と水の表現なども本当に素晴らしくて、
色々な意味で、
「アラビアのロレンス」以来の本格的砂漠映画、
と言っても良いように思います。

これ、欧米による中東の侵略と、
その後のキリスト教とイスラム教の対立を含めた、
中東の歴史をベースにしているんですね。
ただ、原作は別にそうしたものではなくて、
勿論植民地主義の影響は、
書かれた年代的にない訳ではないのですが、
基本ラインは別の生態系を持つ新たな世界のクリエーション、
という部分にあるので、
現代史と照らしたようなものではないのですが、
映画は明らかにそうした視点を持っています。
その意味でも、
映画は「アラビアのロレンス」によく似ているのです。

原作を読んでから映画を観ると、
ビルヌーブの工夫が分かります。
前半で香料の採掘機械が、
サンドウォームに襲われることろがあるでしょ。
割とどうでも良い場面なんですが、
原作でもとてもビジュアルで魅力的なところなんですね。
それで、ほぼそのままに映像化して、
それで結構盛り上がりを作っていますよね。
その辺りの原作尊重はさすがと思います。
あれ、「サンダーバード」の「死の谷」でしょ。
あの機械の動きは素晴らしいと思います。

ただ、そういう宣伝の仕方をあまりしていないのですが、
実際にはパート1なんですよね。
それも物語的にはやや中だるみ的な場面で終わるんですね。
にも関わらずビルヌーブ映画のいつもの悠然たるテンポで物語は進むので、
ちょっと後半は、「どうせこのまま終わるよな」と思ってしまって、
ちょっと集中力が切れかかるような感じはありました。

「ブレードランナー2049」も確かに長いのですが、
1本で完結していてラストに余韻もあるので、
納得出来るんですよね。
この撮り方でしっかり完結せずに次作に続く、
というのはちょっとしんどいと感じました。

この作品は「スターウォーズ」の元ネタの1つで、
「風の谷のナウシカ」の元ネタの1つでもあるので、
それを一度忠実な形で映画化するというのは、
意味のあることだと思うんですね。
今回そのオリジナルの凄味のようなものは、
充分感じることは出来ました。

これはもう是非完走して欲しいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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