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ビタミンDの呼吸器感染症予防効果(2021年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ビタミンDと呼吸器疾患.jpg
Lancet Diabetes & Endocrinology誌に、
2021年3月30日ウェブ掲載された、
ビタミンDのサプリメントの呼吸器感染予防効果についての、
メタ解析の論文です。

ビタミンDは骨の代謝に関わるステロイドホルモンの一種ですが、
免疫系の正常な反応にも、
ビタミンDが必要であることが知られていて、
血液のビタミンD(25(OH)D)の血液濃度が低いと、
急性の呼吸器感染症を発症しやすくなることが報告されています。

このことは新型コロナウイルス感染症においても、
同様のデータが報告されています。

それでは、
ビタミンDを補充することにより、
急性呼吸器感染症が予防されるのでしょうか?

2017年のBritish Medical Journal誌に、
これまでの25の無作為介入試験という厳密な方法による臨床試験の、
トータル10933名を解析した論文が発表されています。
これは発表当時にブログ記事にしていますが、トータルでは、
ビタミンDの補充療法により、
急性の呼吸器感染症のリスクは、
12%有意に低下していました。
(95%Ci:0.81から0.96)

今回のメタ解析では、
2017年論文より新しいデータを含む、
トータルで46の介入試験に含まれる75541名のデータを、
まとめて解析しています。
その結果、
ビタミンDのサプリメントの使用により、
急性呼吸器感染症の発症リスクは8%(95%CI:0.86から0.99)、
有意に低下していました。

これは一応有意な抑制効果ですが、
データにはかなりばらつきがあり、
2017年の先行論文よりその効果は小さなものになっています。

今回の検証においては、
血液のビタミンD濃度とサプリメントの有効性との間には、
あまり関連が認められず、
この呼吸器感染症予防効果は、
毎日ビタミンDを400から1000IUの使用、
12ヶ月以内の使用期間、
1から16歳未満の小児への使用で、
より大きいという傾向が認められました。

そんな訳で、
一応予防効果は今回も確認されたものの、
幾つかの特殊なデータに結果が引きずられているという印象はあり、
今後より一般的な研究デザインで、
この問題はもう一度検証される必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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