1日何歩歩くのが健康的か? [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2019年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された、
歩く歩数と健康との関係を検証した論文です。
健康のためにはよく歩くのが良い、
というのは健康の専門家かそうでないかに関わらず、
多くの人が言っていることです。
最近ではスマホやアップルウォッチなどの、
所謂ウェアラブル端末が普及して、
簡単に毎日の歩数が計れるようになり、
よりその健康効果が一般に広まりを見せています。
そこで問題となるのは目標とするべき歩数です。
馴染みのあるのが1日1万歩歩きましょう、という基準で、
皆さんも何度もお聞きになったことがあると思います。
上記文献の記載によると、
アメリカにおいても同様の基準がポピュラーで、
意外にもその元になっているのは、
日本の万歩計の会社の宣伝にあるようです。
ただ、実際にはその根拠は、
あまり精度の高い研究に裏付けられたものではありません。
そこで今回の研究では、
アメリカで低用量アスピリンとビタミンEの、
成人女性における心血管疾患予防効果を検証した、
疫学研究のデータを活用して、
1日の歩数と生命予後との関連を検証しています。
平均年齢72歳の16741名を4.3年観察した結果として、
1日の歩数を4群に分けて検証したところ、
最も少ない群(中間値で2718歩)と比較して、
最も多い群(中間値で8442歩)は、
総死亡のリスクが42%(95%CI: 0.38から0.88)、
有意に低下していました。
これは歩く速度などは補正した結果です。
この歩数による総死亡リスクの低下は、
7500歩程度までは歩数が増えるほど大きくなりますが、
それを超えると頭打ちになっていました。
また、歩く速度との関連をみたところ、
歩数の方が生命予後への影響は大きく、
歩行速度との関連はあまり明確ではありませんでした。
日本で最近報告された、
中之条研究という疫学データでは、
1日8000歩で20分程度の早歩きを混ぜるのが、
心血管疾患の予防には一番有効であった、
という結果になっていました。
今回のデータと中之条研究には一致する点が多く、
高齢女性の生命予後の改善のためには、
どうやら1日7000から8000歩程度が、
平均すると最も有用性は高いと言っていいようです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2019年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された、
歩く歩数と健康との関係を検証した論文です。
健康のためにはよく歩くのが良い、
というのは健康の専門家かそうでないかに関わらず、
多くの人が言っていることです。
最近ではスマホやアップルウォッチなどの、
所謂ウェアラブル端末が普及して、
簡単に毎日の歩数が計れるようになり、
よりその健康効果が一般に広まりを見せています。
そこで問題となるのは目標とするべき歩数です。
馴染みのあるのが1日1万歩歩きましょう、という基準で、
皆さんも何度もお聞きになったことがあると思います。
上記文献の記載によると、
アメリカにおいても同様の基準がポピュラーで、
意外にもその元になっているのは、
日本の万歩計の会社の宣伝にあるようです。
ただ、実際にはその根拠は、
あまり精度の高い研究に裏付けられたものではありません。
そこで今回の研究では、
アメリカで低用量アスピリンとビタミンEの、
成人女性における心血管疾患予防効果を検証した、
疫学研究のデータを活用して、
1日の歩数と生命予後との関連を検証しています。
平均年齢72歳の16741名を4.3年観察した結果として、
1日の歩数を4群に分けて検証したところ、
最も少ない群(中間値で2718歩)と比較して、
最も多い群(中間値で8442歩)は、
総死亡のリスクが42%(95%CI: 0.38から0.88)、
有意に低下していました。
これは歩く速度などは補正した結果です。
この歩数による総死亡リスクの低下は、
7500歩程度までは歩数が増えるほど大きくなりますが、
それを超えると頭打ちになっていました。
また、歩く速度との関連をみたところ、
歩数の方が生命予後への影響は大きく、
歩行速度との関連はあまり明確ではありませんでした。
日本で最近報告された、
中之条研究という疫学データでは、
1日8000歩で20分程度の早歩きを混ぜるのが、
心血管疾患の予防には一番有効であった、
という結果になっていました。
今回のデータと中之条研究には一致する点が多く、
高齢女性の生命予後の改善のためには、
どうやら1日7000から8000歩程度が、
平均すると最も有用性は高いと言っていいようです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2019-06-11 06:00
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コメント(3)
石原先生こんにちは。
いつも論文興味深く拝読しています。
>低用量アスピリンとビタミンEの成人女性
というのは、それ自体が心血管疾患のリスクをかかえた母集団なのでしょうか?
by モカ (2019-06-11 21:08)
モカさんへ
これは元の集団から健康な人をセレクトした感じになっていて、
心血管疾患の既往のある人は1から4%程度、
高血圧や高脂血症は7から8割が持っている、
という内訳です。
歩数の少ない人は病気のある人が多いので、
そのバイアスは否定できないように思います。
by fujiki (2019-06-12 13:16)
石原先生ご返事ありがとうございます。
>高血圧や高脂血症は7から8割が持っている
というのは年齢相応なのでしょうね。
しかし総死亡のリスクが42%低下したというのは驚きでした。
私も毎日せっせと歩くようにしています。
またこれからも論文紹介よろしくお願いいたします。
by モカ (2019-06-12 17:54)