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妊娠に伴う血小板数の低下について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
妊娠と血小板.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
妊娠中の血小板数についての論文です。

1993年に妊娠中の女性の5から10%では、
血小板数が15万/μl 未満の血小板減少症が認められると報告されています。
(通常の基準値は15万から35万程度です)

ただ、その病的な意味は明らかではなく、
妊娠中期より正常妊娠でも血小板は低下するとされていますが、
その根拠となるデータもあまり精度の高いものではありません。

今回のデータはアメリカにおいて、
トータル7351名の妊娠中の女性の血小板数を計測したものです。

その結果、
特に合併症のない正常妊娠においても、
平均妊娠8.7週という妊娠初期においても、
血小板数の平均は25.1万と低下傾向が認められました。
(非妊娠女性の平均27.3万)
そして、この血小板の妊娠中の低下傾向は、
出産時まで持続していました。

合併症のない妊娠の出産時において、
9.9%の女性では血小板数が、
異常とされる15万未満となっていました。
ただ、病的な血小板減少とされる10万未満であったのは、
全体の1.0%に当たる45名のみでした。

このように、
これまでの知見とほぼ一致していることとして、
合併症のない正常妊娠ににおいても全体の10%程度で、
出産時に15万を切る血小板の低下が認められていましたが、
これまでの知見とは異なり、
その減少は妊娠初期で既に見られ、
10万を切るような事例は全体の1%程度でした。

要するに、
特に基礎疾患のない場合には、
15万程度までの血小板低下は、
病的なものではない可能性が高く、
特に妊娠の経過にも影響を与えませんが、
10万を切るようなケースは稀なので、
基礎疾患を含め精査を行う必要がある、
ということになるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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ひでほ

肝硬変で脾臓摘出してインターフェロンを受けましたが、脾臓を摘出したことのリスクといえば、感染症に弱いとか聞いて肺炎連鎖球菌ワクチンを5年おきにうっています。ほんとうのところは????こんど何か機会がありましたら血小板つながりということで教えてください。
by ひでほ (2018-07-26 17:14) 

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