アンナ・ネトレプコ スペシャル・コンサート [コロラトゥーラ]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
何もなければ1日のんびり過ごす予定です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ロシア出身のソプラノで、
今世界で最も売れっ子のオペラ歌手の1人である、
アンナ・ネトレプコが久しぶりに来日し、
オペラアリアのリサイタルを行いました。
ネトレプコは2000年代の初めころに頭角を表したソプラノ歌手で、
美貌の歌姫で貫禄充分なところは、
ゲオルギューの再来という感じがありました。
ただ、演技の大きさでも、
歌唱の技術的な面でも、
ゲオルギューを遥かに凌いでいると思います。
そのレパートリーは、
コロラトゥーラからベルカントまで幅広く、
力押しも出来る一方で、
そう上手くはないのですが、
コロラトゥーラのような装飾歌唱もそこそここなし、
何より演技の大きさが魅力です。
日本にはマリインスキー・オペラに同行したのが、
確か始まりで、
小澤征爾のオペラ塾でムゼッタを歌い、
2005年にはロシア歌曲主体のリサイタルを開きました。
このリサイタルは聴いていますが、
可憐な容姿と繊細な歌い廻しが素敵で、
アンコールで歌ったルチアの第一アリア(2幕)は、
確かな技術も感じさせました。
2006年にはメトロポリタンオペラの来日公演で、
「ドン・ジョバンニ」のドンナ・アンナを歌っています。
これは非常に豪華なメンバーの公演でしたが、
もう既に堂々たる貫禄のドンナ・アンナで、
観客の人気を最も集めていました。
この時は本当に目の覚めるような美しさでした。
オペラの歌唱として、
極めて印象的だったのは、
2010年の英国ロイヤルオペラの来日公演で、
ネトレプコはマスネの「マノン」のタイトルロールを歌い、
抜群の歌唱と演技を見せると共に、
ドタキャンして来日しなかったゲオルギューの代役として、
1日のみ「椿姫」の舞台に立ちました。
この時は「マノン」が最高で、
思わず2回足を運びました。
特に3幕で男たちを引き連れて女王然として登場し、
装飾技巧を散りばめたアリアを歌うくだりなどは、
これぞプリマドンナという、
惚れ惚れとするような姿であり演技であり歌唱でした。
1日のみ代役で歌った「椿姫」は、
高音に失敗したりして、
準備不足の否めない出来でしたが、
それでもおそらく日本では唯一の機会となるであろう、
ネトレプコのヴィオレッタを堪能しました。
この時のお姿は、
正直以前よりかなりあちこちにお肉が付き、
ぽっちゃりとされていました。
そして、2011年にメトロポリタンでの来日が予定されていたのですが、
震災の影響でキャンセルとなり、
その後もなかなか来日の機会はありませんでした。
もう駄目なのかしらと思っていると、
今回、まあ昨年12月に再婚したテノール歌手、
ユシフ・エイヴァゾフさんのお披露目旅行の意味合いがあるのでしょうし、
中国公演のおまけなのかも知れませんが、
旦那さんとのデュオコンサートとしての、
来日公演が実現しました。
18日に足を運びましたが、
これは素晴らしかったです。
東京フィルのオケを従えて、
オペラアリアばかりをガンガン歌います。
プログラムもかなり聴き応えのある曲を揃えていて、
アンコールまで一切の手抜きなし、
という姿勢が嬉しいのです。
ご本人は勿論ですが、
パートナーのエイヴァゾフさんが、
アルジェリア出身ですが、
イタリア的な輝かしい美声で、
これもなかなか聴き応えがあるのです。
棒立ちで歌うのではなく、
演技も入れて、
ほぼオペラの抜粋のようにして全ての曲を歌います。
ヴェルディの「オテロ」の二重唱では、
実際に2人が接吻を交わしますし、
ラストでは「アンドレア・シェニエ」のラストを、
処刑前の緊張そのままに歌い演じます。
歌自体も冒険はしていませんし、
技巧的にはボチボチで、
それほど高音も出さないのですが、
声量もあり非常に安定感と情感があります。
「蝶々夫人」の「ある晴れた日に」など、
ピンカートンの乗る船を、
その腕で強引に引き寄せてしまいそうなド迫力ですが、
それでいてラストに掛けて、
蝶々さんの狂気を、
きちんと表現している点にも感心します。
お姿はかなりボリュームが増しました。
ちょっと予想を超えていて、
「あっ…」という感じはあります。
ただ、またオペラの舞台の前には、
もう少し絞られるのではないかと思います。
ともかく、声楽のリサイタルでオペラアリアとしては、
本当に素晴らしくて、
僕はデセイ様が絶対のナンバーワンなので、
それだけは除外すれば、
最高と言っても良い出来です。
声の調子も良さそうでしたし、
もう1日、21日のリサイタルが残っていますから、
今世界最高のソプラノ歌手の歌を聴きたいと思われる方は、
是非足をお運びください。
素晴しいですよ。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
何もなければ1日のんびり過ごす予定です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ロシア出身のソプラノで、
今世界で最も売れっ子のオペラ歌手の1人である、
アンナ・ネトレプコが久しぶりに来日し、
オペラアリアのリサイタルを行いました。
ネトレプコは2000年代の初めころに頭角を表したソプラノ歌手で、
美貌の歌姫で貫禄充分なところは、
ゲオルギューの再来という感じがありました。
ただ、演技の大きさでも、
歌唱の技術的な面でも、
ゲオルギューを遥かに凌いでいると思います。
そのレパートリーは、
コロラトゥーラからベルカントまで幅広く、
力押しも出来る一方で、
そう上手くはないのですが、
コロラトゥーラのような装飾歌唱もそこそここなし、
何より演技の大きさが魅力です。
日本にはマリインスキー・オペラに同行したのが、
確か始まりで、
小澤征爾のオペラ塾でムゼッタを歌い、
2005年にはロシア歌曲主体のリサイタルを開きました。
このリサイタルは聴いていますが、
可憐な容姿と繊細な歌い廻しが素敵で、
アンコールで歌ったルチアの第一アリア(2幕)は、
確かな技術も感じさせました。
2006年にはメトロポリタンオペラの来日公演で、
「ドン・ジョバンニ」のドンナ・アンナを歌っています。
これは非常に豪華なメンバーの公演でしたが、
もう既に堂々たる貫禄のドンナ・アンナで、
観客の人気を最も集めていました。
この時は本当に目の覚めるような美しさでした。
オペラの歌唱として、
極めて印象的だったのは、
2010年の英国ロイヤルオペラの来日公演で、
ネトレプコはマスネの「マノン」のタイトルロールを歌い、
抜群の歌唱と演技を見せると共に、
ドタキャンして来日しなかったゲオルギューの代役として、
1日のみ「椿姫」の舞台に立ちました。
この時は「マノン」が最高で、
思わず2回足を運びました。
特に3幕で男たちを引き連れて女王然として登場し、
装飾技巧を散りばめたアリアを歌うくだりなどは、
これぞプリマドンナという、
惚れ惚れとするような姿であり演技であり歌唱でした。
1日のみ代役で歌った「椿姫」は、
高音に失敗したりして、
準備不足の否めない出来でしたが、
それでもおそらく日本では唯一の機会となるであろう、
ネトレプコのヴィオレッタを堪能しました。
この時のお姿は、
正直以前よりかなりあちこちにお肉が付き、
ぽっちゃりとされていました。
そして、2011年にメトロポリタンでの来日が予定されていたのですが、
震災の影響でキャンセルとなり、
その後もなかなか来日の機会はありませんでした。
もう駄目なのかしらと思っていると、
今回、まあ昨年12月に再婚したテノール歌手、
ユシフ・エイヴァゾフさんのお披露目旅行の意味合いがあるのでしょうし、
中国公演のおまけなのかも知れませんが、
旦那さんとのデュオコンサートとしての、
来日公演が実現しました。
18日に足を運びましたが、
これは素晴らしかったです。
東京フィルのオケを従えて、
オペラアリアばかりをガンガン歌います。
プログラムもかなり聴き応えのある曲を揃えていて、
アンコールまで一切の手抜きなし、
という姿勢が嬉しいのです。
ご本人は勿論ですが、
パートナーのエイヴァゾフさんが、
アルジェリア出身ですが、
イタリア的な輝かしい美声で、
これもなかなか聴き応えがあるのです。
棒立ちで歌うのではなく、
演技も入れて、
ほぼオペラの抜粋のようにして全ての曲を歌います。
ヴェルディの「オテロ」の二重唱では、
実際に2人が接吻を交わしますし、
ラストでは「アンドレア・シェニエ」のラストを、
処刑前の緊張そのままに歌い演じます。
歌自体も冒険はしていませんし、
技巧的にはボチボチで、
それほど高音も出さないのですが、
声量もあり非常に安定感と情感があります。
「蝶々夫人」の「ある晴れた日に」など、
ピンカートンの乗る船を、
その腕で強引に引き寄せてしまいそうなド迫力ですが、
それでいてラストに掛けて、
蝶々さんの狂気を、
きちんと表現している点にも感心します。
お姿はかなりボリュームが増しました。
ちょっと予想を超えていて、
「あっ…」という感じはあります。
ただ、またオペラの舞台の前には、
もう少し絞られるのではないかと思います。
ともかく、声楽のリサイタルでオペラアリアとしては、
本当に素晴らしくて、
僕はデセイ様が絶対のナンバーワンなので、
それだけは除外すれば、
最高と言っても良い出来です。
声の調子も良さそうでしたし、
もう1日、21日のリサイタルが残っていますから、
今世界最高のソプラノ歌手の歌を聴きたいと思われる方は、
是非足をお運びください。
素晴しいですよ。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2016-03-20 09:53
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コメント(5)
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アンナ・ネトレプコ素晴らしいですね!
by bpd1teikichi_satoh (2016-03-22 10:26)
昨夜行き、最高に興奮熱狂しました。
私もロイヤルオペラのマノンにしびれて会場で2枚もCDを買ったのでした。今回はサイン会まであり、感激でした。
by かおりママ (2016-03-22 21:37)
bpd1teikichi_satohさんへ
今回のリサイタルは非常に充実していて良かったです。
悪く言う人もいるのですが、
矢張り華のあるスターで、
実力もあると思います。
by fujiki (2016-03-23 09:44)
かおりママさんへ
サイン会は時間の都合で行けませんでしたが、
最近あまり見ないような熱気でしたね。
出し惜しみのない素晴らしいリサイタルだったと思います。
またオペラでの来日を期待したいのですが、
難しいかも知れませんね。
by fujiki (2016-03-23 09:46)
Anna NetrebkoとKaufmanの参加したコンサートをYoutubeで見ました。いつま生でみてみたい、そう切望しています。
MadameCoco
by 高橋秀子 (2017-03-13 00:23)