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マグネシウム欠乏とメタボリックシンドロームとの関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
マグネシウム欠乏とメタボリスク.jpg
the Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌に、
2024年2月14日付で掲載された、
マグネシウム欠乏とメタボリックシンドロームとの、
関連についての論文です。

マグネシウムというのは、
多くの酵素の働きのために必要なミネラルで、
そのためその不足は、
身体の代謝系に大きな影響を与え、
メタボリックシンドロームのリスクになると考えられています。
低マグネシウム血症は、
糖尿病や脳卒中、心血管疾患などのリスクを上げ、
その予後にも悪影響を与えるとの報告もあります。

ただ、マグネシウムは腎臓で80%以上が再吸収されるため、
血液のマグネシウムの測定は、
必ずしも身体のマグネシウムの動態を、
反映していない、という指摘もあります。

そこで今回の研究では、
マグネシウム欠乏指数という新たな指標を活用し、
アメリカで施行された健康と栄養についての疫学データに含まれる、
トータル15565名の一般住民を対象として、
マグネシウムの欠乏状態と、
メタボのリスクとの関連を比較検証しています。

メタボリックシンドロームは、
検査データなどは日本のメタボとほぼ同一ですが、
腹囲の基準は男性が102センチ以上、
女性が88センチ以上となっています。

マグネシウム欠乏指数というのは、
利尿剤の使用の有無、プロトンポンプ阻害剤の使用の有無、
推測の腎機能の指標、
過度の飲酒の有無をポイント化して、
0から6点で指標としたもので、
点数が高いほど、
マグネシウム欠乏のリスクが高い状態を意味しています。

その結果、
関連する他のメタボのリスクを補正して算出しても、
マグネシウム欠乏指数が1上がる毎に、
メタボのリスクは31%(95%CI:1.17から1.45)、
有意に増加していました。

これは敢くまで間接的なリスク指標であることを、
理解して考える必要がありますが、
年齢や使用している薬によってリスクが増加する、
マグネシウムの欠乏が、
メタボのリスクに関わっているという指摘は興味深く、
今後より多角的な検証に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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