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「レジェンド&バタフライ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
レジェンド&バタフライ.jpg
木村拓哉さんが信長を演じる、
東映70周年記念映画が今公開されています。

脚本は古沢良太さんで監督は大友啓史さんという、
とても魅力的な座組です。
ただ、大友監督は最近作品のムラが大きく、
「何でこんなヘンテコな作品なの?」と、
叫びたくなるような作品も多いので、
るろうに剣心の完結編も、
イメージ重視で物語的盛り上がりは乏しかったですし、
若干の危惧を感じてはいました。

鑑賞後の感想としては、
絵的には素晴らしいところも多いのだけれど、
トータルにはギクシャクしていて、
オヤオヤという感じも多い、
昔の「底抜け超大作」という感じの作品でした。

発想は斬新なんですよね。
織田信長の生涯を描くのに、
正妻の濃姫との恋愛関係だけを軸にして、
基本それのみを描くという趣向なのです。

要するにキムタクの昔の恋愛トレンディドラマの世界を、
そのまま戦国時代でやろう、
ということなんですね。

物凄く斬新。
ただ、そんなものが本当に成立するのでしょうか?

普通はとても出来ないと思うところですが、
古沢良太さんは、おそらく今、
どんな素材をどのようにも料理出来る、
という底知れぬ自信があるんですね。

それで実際に信長の生涯を、
濃姫との関係のみで描くという荒業に挑戦しているのです。

ただ、実際に出来上がった映画を観ると、
「当然描かれるべきものが描かれていない」
という違和感と落胆とを感じるんですね。
濃姫は戦場には行かないので、
基本的には戦闘シーンはないんですね。
最後の本能寺のみは、
主役の2人が離れ離れで最後を迎え、
幻想の中で1つになる、という趣向なので、
唯一本格的なアクションとなるのですが、
もう信長の生涯も最後なので、
最後だけではなあ、という思いがどうしても残ります。

主人公2人のドラマとして観ても、
前半は確かに成立しているのですが、
2人がすれ違うようになってからが、
どうも釈然としない感じになるんですね。
せっかくの信長がのし上がってゆくところが、
殆ど描写もされていませんし、
どのような生きざまであったのかがまるで分かりません。

それから中段にちょっと奇妙な場面があって、
主人公の2人が密かに町に出て、
そこで低い階層の民衆に襲われて、
民衆を切り殺し、
その後廃屋で抱き合うという倒錯的なシーンなんですね。
その前に濃姫が白塗りの化粧で笑いを取る、
という、ともかく外しまくったような脱力シーンがあるので、
余計この場面の浮き方が異様なものになっていました。
何か斬新なことをやりたかったのは分かるのですが、
こうした際どい場面を、
主役の2人にやらせるのは無理があったように思いますし、
出来上がったものは、
意味不明の失敗に終わっていました。

そんな訳で、
昔懐かしい「底抜け超大作」的な本作ですが、
昔はこうした「大作」が沢山公開されて、
期待して行って、騙された、とガッカリして映画館を出ることも、
映画好きのある種の快感でもあったので、
まあ、これはこれでいいかな、
という気分で映画館を後にすることが出来ました。

鑑賞予定の方は、
あまり期待値を上げずに、
ディテールの豪華さを楽しむつもりでお運び下さい。
今はあまりこうした映画はないので、
その意味では懐かしい気分に浸れる1作です。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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