「季節のない街」あれこれ [身辺雑記]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は祝日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
山本周五郎氏の連絡短編の傑作「季節のない街」が、
現代版の配信ドラマとして、
ディズニープラスで配信されています。
宮藤官九郎さんの脚本と演出です。
この原作は黒澤明監督が、
「どですかでん」として映画化していて、
今回のクドカンのドラマ版も、
映画版をかなり意識している部分があります。
原作は架空の街に住む個性的な住民の生活スケッチを、
ある時はほのぼのと、
ある時は冷酷無比な残酷さで、
人生そのものを切り取るように描いた作品ですが、
個人的には「親おもい」と「がんもどき」が全編の白眉で、
クドカンの今回のドラマはその両方を映像化していますが、
「どですかでん」は「がんもどき」は描いていますが、
「親おもい」はカットしています。
一方で「どですかでん」で印象的な「枯れた木」は、
クドカンのドラマからは除外されています。
「どですかでん」は黒澤監督としては失敗作で、
原作の陰々滅滅とした部分だけが強調され、
わざわざ有名な喜劇人を複数起用しているにも関わらず、
軽快さや笑いの要素は殆どありません。
結果として監督の遺作となった「まあだだよ」に、
かなり似通った感じの雰囲気で、
稚拙な現代絵画のような色彩と美術も、
人間ドラマのリアルさを、
台無しにしているような感じがします。
クドカンの作劇は、
かつての「池袋ウエストゲートパーク」と同じように、
元の短編のテーマを、
主要なキャストに割り振り、
その内容を再現しながら、
人間ドラマとしては原作には描かれていない、
その続きを創作する、
という手法を取っています。
原作の「親おもい」と「がんもどき」は、
矢張り非常に重きが置かれていて、
「親おもい」は仲野太賀さんの物語として、
「がんもどき」は渡辺大知さんの物語として、
再構築された上で、
いずれもその後の経過までがドラマ化されています。
それが単なる蛇足にはなっていないのが、
クドカンのドラマの魅力です。
ただ、全体のドラマの構成としては、
仮設住宅からの立ち退き問題がクローズアップされると、
そのギリギリでのひと暴れがあり、
結局何も変わらないまま終わってしまうというのは、
如何にも予定調和的で、
安易に流れた感じは否めません。
ラストにはもう一工夫欲しかったな、
というのが正直な感想でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は祝日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
山本周五郎氏の連絡短編の傑作「季節のない街」が、
現代版の配信ドラマとして、
ディズニープラスで配信されています。
宮藤官九郎さんの脚本と演出です。
この原作は黒澤明監督が、
「どですかでん」として映画化していて、
今回のクドカンのドラマ版も、
映画版をかなり意識している部分があります。
原作は架空の街に住む個性的な住民の生活スケッチを、
ある時はほのぼのと、
ある時は冷酷無比な残酷さで、
人生そのものを切り取るように描いた作品ですが、
個人的には「親おもい」と「がんもどき」が全編の白眉で、
クドカンの今回のドラマはその両方を映像化していますが、
「どですかでん」は「がんもどき」は描いていますが、
「親おもい」はカットしています。
一方で「どですかでん」で印象的な「枯れた木」は、
クドカンのドラマからは除外されています。
「どですかでん」は黒澤監督としては失敗作で、
原作の陰々滅滅とした部分だけが強調され、
わざわざ有名な喜劇人を複数起用しているにも関わらず、
軽快さや笑いの要素は殆どありません。
結果として監督の遺作となった「まあだだよ」に、
かなり似通った感じの雰囲気で、
稚拙な現代絵画のような色彩と美術も、
人間ドラマのリアルさを、
台無しにしているような感じがします。
クドカンの作劇は、
かつての「池袋ウエストゲートパーク」と同じように、
元の短編のテーマを、
主要なキャストに割り振り、
その内容を再現しながら、
人間ドラマとしては原作には描かれていない、
その続きを創作する、
という手法を取っています。
原作の「親おもい」と「がんもどき」は、
矢張り非常に重きが置かれていて、
「親おもい」は仲野太賀さんの物語として、
「がんもどき」は渡辺大知さんの物語として、
再構築された上で、
いずれもその後の経過までがドラマ化されています。
それが単なる蛇足にはなっていないのが、
クドカンのドラマの魅力です。
ただ、全体のドラマの構成としては、
仮設住宅からの立ち退き問題がクローズアップされると、
そのギリギリでのひと暴れがあり、
結局何も変わらないまま終わってしまうというのは、
如何にも予定調和的で、
安易に流れた感じは否めません。
ラストにはもう一工夫欲しかったな、
というのが正直な感想でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。