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早期アルツハイマー病治療薬ガンテネルマブの有効性(第3相臨床試験結果) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は休診となりますのでご注意下さい。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ガンテネルマブの有効性.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2023年11月16日付で掲載された、
早期アルツハイマー病の治療薬の、
臨床試験結果をまとめた論文です。

アルツハイマー型認知症の新薬としては、
エーザイとバイオジェン社が開発したレカネマブという新薬が、
こうした薬剤として初めてアメリカのFDAで承認され、
大きな話題となりました。

その理由は臨床試験において、
早期アルツハイマー病の進行予防効果が、
一定レベル確認されたからです。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948

また、ドナネマブという、
脳のアミロイドプラークのみに発現している、
不溶性のβアミロイド蛋白に対するIgG抗体の新薬もあり、
こちらもレカネマブとはターゲットの蛋白質が若干異なりますが、
ほぼ同等の薬で、
その臨床試験結果も最近公表され、
レカネマブとほぼ同等の認知症進行予防効果が確認されています。
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2807533

今回ご紹介するガンテネルマブは、
矢張りβアミロイド蛋白に対するIgG抗体で、
凝集した異常蛋白に対して高い結合性を示している点が特徴の、
ロシュ社の製品です。

今回の第3相臨床試験は、
軽度の認知機能低下を伴う軽度のアルツハイマー型認知症の患者、
985名と980名と対象とした、
2つの臨床試験結果をまとめて解析していますが、
治療開始116週の時点で、
PET検査で計測されたアミロイドβの沈着は、
投与群で抑制されていたものの、
偽薬群との間で認知機能の低下には有意な差はなく、
レカネマブやドナネマブで見られた、
認知症進行予防効果は確認されませんでした。

その差が何処にあるのかは今後検証が必要ですが、
こうした薬剤の効果はまだ不確実な部分が大きく、
その有効性と安全性については、
慎重に見極める必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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