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アルコールの種類と健康習慣(2024年アメリカの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アルコールの種類と健康習慣.jpg
Nutrients誌に2024年11月13日付でウェブ掲載された、
アルコールの種類と他の生活習慣との関連についての論文です。

過度な飲酒が健康を害するというのは、
殊更科学的なデータが示されなくても、
多くの方が心の中では事実と感じていることだと思います。

科学的なデータとしては、
概ねアルコール量で20グラム(日本酒1合、ビール中瓶1本くらい)
までのアルコールは、
大きな健康影響はないと考えられています。

その一方で、
多量の飲酒を続けることにより、
アルコール性脂肪肝やアルコール性肝炎が生じ、
それが進行することで肝硬変になったり、
肝臓癌の原因となり、
命に関わることがあります。

概ね1日60グラム(日本酒3合目安)以上のアルコールを、
5年以上常用することで,
そうした肝障害のリスクが高まると想定されています。

しかし、同じように多量の飲酒を続けていても、
そのうち重症のアルコール性肝炎や肝硬変になる人は、
全体の10から20%と報告されています。

つまり、アルコール性肝障害が重症化するかどうかは、
必ずしも飲酒量のみで決まっている訳ではないのです。

それでは、他にどのような因子が、
そのリスクに影響をしているのでしょうか?

1つ想定されるのは、食事などの他の健康習慣との関連です。

以前当ブログでもご紹介したネイチャー関連の論文では、
飲酒量の多い人が、
辛いものや加工肉を多く食べるような食生活をしていると、
肝臓病悪化のリスクがより高まる、
という結果が報告されていました。
https://www.nature.com/articles/s41467-024-51314-9

今回の研究はアメリカにおいて、
飲酒習慣のある1917名の飲酒パターンと生活習慣を解析し、
その関連を検証しているものです。

対象者の38.9%はビールのみを飲み、
21.8%はワインのみを、18.2%は蒸留酒やカクテルのみを、
21.0%は複数の種類のアルコールを飲んでいました。

アルコールを常用する人の生活は、
トータルに不健康な傾向が認められました。

またビールのみを飲む人は、
他のお酒を飲む人と比較して、
経済的に貧困している人が多く、
食事パターンは不健康で、
運動不足で、喫煙者が多い傾向が認められました。

このように今回のアメリカの検証では、
同じ飲酒でもビールと他の酒類との間で違いがあり、
ビールがより健康リスクが高いと判断されました。

これはアメリカの1つの疫学データに過ぎないものなので、
これをもってビールが不健康なお酒だ、
ということにはならない点には注意が必要です。

問題はお酒の酒類ではなく、
それに結び付いた不健康な生活パターンにあります。

どんなお酒を飲んでいるかには関わらず、
食事を健康に保ち、
運動習慣を持つなど、
生活を健康に保つことこそが、
正しいお酒との付き合い方であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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