飲酒習慣と痛風リスク(2024年イギリスの疫学データ) [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA Network Open誌に、
2024年8月28日付で掲載された、
痛風に与えるアルコールの影響についての論文です。
痛風は関節への尿酸の蓄積により、
足の親指の付け根などが腫れ、
激しい痛みの発作を起こす病気ですが、
昔からお酒を沢山飲む人に多いことが知られています。
ただ、お酒に含まれる尿酸の元となるプリン体の量は、
お酒の種類によってかなりの違いがあります。
また、単純にプリン体の量のみで比較すると、
お酒より多い食品は沢山あり、
お酒を特別視する必要はないのではないか、
という疑問も生じます。
これまでの疫学データにおいて、
飲酒量と痛風のリスクとの間には、
関連があるとする報告が多いのですが、
かなり古い小規模なデータが多く、
対象者の多くは男性で、
その信頼性はそれほど高いものではありません。
また、お酒の種類とリスクとの関係や、
飲酒による痛風リスクに性差があるのかどうか、
というような点についても、
精度の高い臨床データは不足しています。
そこで今回の研究では、
遺伝情報を含む大規模な医療データとして有名な、
イギリスのUKバイオバンクのデータを活用して、
この問題の再検証を行っています。
対象は登録の時点で痛風の既往のない、
年齢が37から73歳の401128名で、
男性は179828名、女性は221300名です。
飲酒習慣のある人は、ない人と比較して、
痛風を発症するリスクが、
男性では1.69倍(95%CI:1.30から2.18)有意に増加していましたが、
女性ではそうした増加は認められませんでした。
そして飲酒習慣のある人の中では、
1週間に1回未満しか飲まない人と比較して、
週に5回以上飲む人では、
男性で2.05倍(95%CI:1.84から2.30)、
女性で1.34倍(95%CI:1.12から1.61)、
痛風になるリスクがそれぞれ有意に増加していました。
アルコールの種類を、
ビールもしくはリンゴ酒、白ワイン、赤ワイン、蒸留酒などに分けて検討すると、
概ねアルコール量が多いほど痛風リスクは増加する傾向が見られましたが、
特にビールもしくはリンゴ酒のリスクが高くなっていました。
このように、
飲酒量と痛風リスクとの間に関連のあることはほぼ間違いがなく、
女性より男性でその関連は強く認められました。
アルコールの中では従来言われているように、
ビールなどのリスクが高く、
蒸留酒はシェリー酒などのリスクは比較的低くなっていました。
痛風と飲酒習慣には、
矢張り一定の関連があるようです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
(補足)
論文の画像が間違っていました。
コメントでご指摘を受け差し替えました。
(2024年10月5日午前6時45分修正)
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA Network Open誌に、
2024年8月28日付で掲載された、
痛風に与えるアルコールの影響についての論文です。
痛風は関節への尿酸の蓄積により、
足の親指の付け根などが腫れ、
激しい痛みの発作を起こす病気ですが、
昔からお酒を沢山飲む人に多いことが知られています。
ただ、お酒に含まれる尿酸の元となるプリン体の量は、
お酒の種類によってかなりの違いがあります。
また、単純にプリン体の量のみで比較すると、
お酒より多い食品は沢山あり、
お酒を特別視する必要はないのではないか、
という疑問も生じます。
これまでの疫学データにおいて、
飲酒量と痛風のリスクとの間には、
関連があるとする報告が多いのですが、
かなり古い小規模なデータが多く、
対象者の多くは男性で、
その信頼性はそれほど高いものではありません。
また、お酒の種類とリスクとの関係や、
飲酒による痛風リスクに性差があるのかどうか、
というような点についても、
精度の高い臨床データは不足しています。
そこで今回の研究では、
遺伝情報を含む大規模な医療データとして有名な、
イギリスのUKバイオバンクのデータを活用して、
この問題の再検証を行っています。
対象は登録の時点で痛風の既往のない、
年齢が37から73歳の401128名で、
男性は179828名、女性は221300名です。
飲酒習慣のある人は、ない人と比較して、
痛風を発症するリスクが、
男性では1.69倍(95%CI:1.30から2.18)有意に増加していましたが、
女性ではそうした増加は認められませんでした。
そして飲酒習慣のある人の中では、
1週間に1回未満しか飲まない人と比較して、
週に5回以上飲む人では、
男性で2.05倍(95%CI:1.84から2.30)、
女性で1.34倍(95%CI:1.12から1.61)、
痛風になるリスクがそれぞれ有意に増加していました。
アルコールの種類を、
ビールもしくはリンゴ酒、白ワイン、赤ワイン、蒸留酒などに分けて検討すると、
概ねアルコール量が多いほど痛風リスクは増加する傾向が見られましたが、
特にビールもしくはリンゴ酒のリスクが高くなっていました。
このように、
飲酒量と痛風リスクとの間に関連のあることはほぼ間違いがなく、
女性より男性でその関連は強く認められました。
アルコールの中では従来言われているように、
ビールなどのリスクが高く、
蒸留酒はシェリー酒などのリスクは比較的低くなっていました。
痛風と飲酒習慣には、
矢張り一定の関連があるようです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
(補足)
論文の画像が間違っていました。
コメントでご指摘を受け差し替えました。
(2024年10月5日午前6時45分修正)
2024-10-03 14:45
nice!(5)
コメント(2)
興味深いですが、ジャーナルの写真が違っていましょうか。
by kenkoukikikanri (2024-10-04 09:38)
kenkoukikikanriさんへ
ご指摘ありがとうございます。
取り急ぎ差し替えました。
by fujiki (2024-10-05 06:46)