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睡眠の規則性と健康リスク(UKバイオバンクの解析データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は木曜日でクリニックは通常の診療ですが、
外来は石田医師が担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
睡眠の規則性と死亡リスク.jpg
Sleep誌に2023年9月21日付で掲載された、
睡眠時間と睡眠の規則性が、
生命予後に与える影響を解析した論文です。

睡眠時間は、
健康に関わる生活習慣の1つとして知られていて、
7から9時間の睡眠と比較して、
それより長くても短くても、
どちらも死亡リスクが増加したとする報告があります。

睡眠時間以外に健康リスクとの関連を指摘されている、
睡眠の指標として、
睡眠の規則性があります。

睡眠の規則性というのは、
毎日の睡眠のパターンが同じかどうかを示す指標で、
複数回の睡眠パターンを記録した場合に、
入眠の時間と覚醒の時間がほぼ一致しているのが、
規則性のある睡眠で、
ある日は極端に短く、ある日は長いなど、
睡眠のパターンが日によってまちまちな場合が、
規則性のない睡眠ということになります。

睡眠と健康との関連としては、
圧倒的に睡眠時間を指標としているデータが多いのですが、
少数ながら睡眠の規則性を指標としているデータもあり、
そこでは睡眠の規則性の低下と、
心血管疾患やうつ病リスクとの関連が認められています。

今回の研究では、
遺伝情報を含む大規模な医療データを収集している、
イギリスのUKバイオバンクの臨床データを活用、
40から69歳の60977名に加速度センサーを複数回装着して、
睡眠時間と睡眠の規則性を測定し、
その予後との関連を比較検証しています。

その結果、
睡眠の規則性を5分割すると、
その最も規則的な群はより不規則な群と比較して、
総死亡のリスクで20から48%、
癌による死亡リスクで16から39%、
心血管疾患による死亡リスクで22から57%、
それぞれ有意に低下していました。
睡眠時間の短縮でも同様の傾向は認められましたが、
睡眠時間よりも睡眠の規則性の方が、
より高く死亡リスクの低下と関連していました。

このように、今回の大規模な検証においては、
睡眠の時間よりその規則性の方が、
より生命予後との関連が深く、
毎日決まった時間に睡眠を取ることが、
最も健康リスクを下げることが確認されました。

今後その原因を含めて、
より詳細な検証が必要な結果であると思いますし、
それを元により科学的な、
健康管理のアドバイスに結び付くことを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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