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「愛にイナズマ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
愛にイナズマ.jpg
石井裕也監督の新作が、
今ロードショー公開されています。

撮影時期は違うのでしょうが、
同じ石井監督の「月」と同時公開となっています。

物凄く褒めている批評を読んで、
ちょっと興味が沸いたのですが、
スケジュールを見ると、
早くも公開は縮小されていたので、
頑張って映画館に足を運びました。

この作品はコロナ禍の現在から始まって、
松岡茉優さん演じる新人映画監督を主人公に、
生きづらい現代での格闘から、
自分が振り捨てて来た家族と向き合い、
その再生に向かうという物語です。

それをきっかりとした構成の語り口ではなく、
即興的で自由度の高い作劇で見せて行きます。
その遊びの部分を楽しめるか、
それとも無駄で冗長に感じるのかが、
この作品の評価を分けるポイントで、
個人的にはこうした冗長さが嫌いではないのですが、
破格なら破格で、後半はもう少し予想外の展開や仕掛けが、
あっても良かったな、というのが正直な感想でした。

これはかなり作家性の強い作品で、
主人公は松岡茉優さん演じる新人映画監督なのですが、
彼女の作家性が全く評価されず、
自分の家族をテーマにした作品を準備していたのに、
質の悪い助監督に企画自体を奪われてしまう、
というような設定になっています。

この設定は要するに監督自身が反映されているのですね。

それで映画の現場から弾かれてしまった主人公は、
自分だけの手で家族の映画を完成させようと、
改めて疎遠になっていた家族と向き合うことになるのです、

「愛にイナズマ」という題名は、
多分園子温さんの「愛のむきだし」が、
元になっているのではないかと思うのですね。
仰々しいサブタイトルを多用しているのもそうですし、
大袈裟な展開や宗教を取り入れている点もそうですね。
雷鳴に白いマリア像と赤い薔薇が浮かぶのは、
明らかにそのトリビュートだと思います。

ただ、「愛のむきだし」のような、
ぶっ飛んだ展開を期待すると、
今回の作品はそこまでではなくて、
ちょっと期待させるだけ期待させておいて、
最後は肩透かしという感じが、
正直少しありました。

ただ、これはこっちの勝手な期待が、
悪かっただけのことで、
これはそうした性質の作品では、
最初からなかったのかも知れません。

キャストは今絶好調の松岡さんが絶妙で、
脇のキャストも充実度が高いので、
まずはその演技の競演を楽しむことが出来ました。

総じて、それほど高い期待を持って観なければ、
まずまず楽しめる映画ではあるのですが、
一部の絶賛に引き摺られて足を運ぶと、
落胆してしまう結果になるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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