ビタミンK2のこむら返り予防効果 [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA Internal Medicine誌に、
2024年10月28日付で掲載された、
夜間のこむら返りに対するビタミンの効果についての論文です。
夜足の筋肉が痙攣を起こして硬直し、
激しい痛みが生じる「こむら返り」は、
多くの方が経験のある、
非常に不快な症状の1つです。
その原因は様々で、
下肢の血行不良や冷えで起こることもありますし、
糖尿病などの代謝障害で起こることや、
筋肉内の疲労物質の蓄積の影響、
電解質の乱れ、脊柱管狭窄症などの脊椎疾患によるものなど、
多くの要因が絡み合っており、
また原因不明のケースも少なからず認められます。
上記文献の記載では、
およそ50から60%の人は一生のうちにこむら返りを経験し、
そのうちの20%は不眠などの生活上の困難が、
その症状のために生じているとされています。
このように非常に多いこむら返りですが、
現状確実に有効とされる治療は見つかっていません。
基礎疾患の治療により改善するものを除いては、
芍薬甘草湯という漢方薬が、
日本では良く使用されていますが、
これもそれほど信頼性のある根拠が、
示されているというものではありません。
ビタミンK2は、
骨の代謝に不可欠な脂溶性ビタミンで、
その製剤は骨粗鬆症の治療にも使用されています。
その筋肉への効果は不明な点も多いのですが、
透析の患者さんでこむら返りを改善した、
というデータがあり、
筋肉細胞へのカルシウムイオン流入を抑制して、
筋弛緩を促す、というメカニズムが推定されています。
今回の研究は中国において、
過去2週間に2回以上のこむら返りを経験している、
65歳以上の一般住民、トータル199名をくじ引きで2つの群に分けると、
一方はビタミンK2のサプリメント(180μg含有)を、
毎日摂取し、
もう一方は偽薬を同じように摂取して、
8週間の経過観察を施行しています。
登録時の段階では、
サプリメント群のこむら返りの頻度は週に2.60回(±0.81)、
偽薬群のこむら返りの頻度は週に2.71回(±0.80)で、
ほぼ同一でしたが、
サプリメント使用期間中では、
サプリメント群のこむら返りの頻度は週に0.96回(±1.41)、
偽薬群のこむら返りの頻度は週に3.63回(±2.20)と、
ビタミンK2の使用により、
週のこむら返りの頻度は2.67回(95%CI:-2.86から-2.49)
有意に低下が認められました。
ビタミンK2使用群では、
偽薬群と比較して、
こむら返りの重症度は低下し、
その持続時間も短くなっていました。
ビタミンK2使用による有害事象は、
特に認められませんでした。
このように、
今回の検証ではビタミンK2のサプリメントとしての使用により、
こむら返りの頻度も重症度も明確な低下が認められました。
このデータのみで、
こむら返りにビタミンK2が効くと、
断定的に言えるものではありませんが、
骨粗鬆症の治療にも使用され、
有害事象も少ないことは確認されている成分なので、
それが有効であることの意義は大きく、
今後も知見が積み重ねられることにより、
その有効性が実証されることを期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA Internal Medicine誌に、
2024年10月28日付で掲載された、
夜間のこむら返りに対するビタミンの効果についての論文です。
夜足の筋肉が痙攣を起こして硬直し、
激しい痛みが生じる「こむら返り」は、
多くの方が経験のある、
非常に不快な症状の1つです。
その原因は様々で、
下肢の血行不良や冷えで起こることもありますし、
糖尿病などの代謝障害で起こることや、
筋肉内の疲労物質の蓄積の影響、
電解質の乱れ、脊柱管狭窄症などの脊椎疾患によるものなど、
多くの要因が絡み合っており、
また原因不明のケースも少なからず認められます。
上記文献の記載では、
およそ50から60%の人は一生のうちにこむら返りを経験し、
そのうちの20%は不眠などの生活上の困難が、
その症状のために生じているとされています。
このように非常に多いこむら返りですが、
現状確実に有効とされる治療は見つかっていません。
基礎疾患の治療により改善するものを除いては、
芍薬甘草湯という漢方薬が、
日本では良く使用されていますが、
これもそれほど信頼性のある根拠が、
示されているというものではありません。
ビタミンK2は、
骨の代謝に不可欠な脂溶性ビタミンで、
その製剤は骨粗鬆症の治療にも使用されています。
その筋肉への効果は不明な点も多いのですが、
透析の患者さんでこむら返りを改善した、
というデータがあり、
筋肉細胞へのカルシウムイオン流入を抑制して、
筋弛緩を促す、というメカニズムが推定されています。
今回の研究は中国において、
過去2週間に2回以上のこむら返りを経験している、
65歳以上の一般住民、トータル199名をくじ引きで2つの群に分けると、
一方はビタミンK2のサプリメント(180μg含有)を、
毎日摂取し、
もう一方は偽薬を同じように摂取して、
8週間の経過観察を施行しています。
登録時の段階では、
サプリメント群のこむら返りの頻度は週に2.60回(±0.81)、
偽薬群のこむら返りの頻度は週に2.71回(±0.80)で、
ほぼ同一でしたが、
サプリメント使用期間中では、
サプリメント群のこむら返りの頻度は週に0.96回(±1.41)、
偽薬群のこむら返りの頻度は週に3.63回(±2.20)と、
ビタミンK2の使用により、
週のこむら返りの頻度は2.67回(95%CI:-2.86から-2.49)
有意に低下が認められました。
ビタミンK2使用群では、
偽薬群と比較して、
こむら返りの重症度は低下し、
その持続時間も短くなっていました。
ビタミンK2使用による有害事象は、
特に認められませんでした。
このように、
今回の検証ではビタミンK2のサプリメントとしての使用により、
こむら返りの頻度も重症度も明確な低下が認められました。
このデータのみで、
こむら返りにビタミンK2が効くと、
断定的に言えるものではありませんが、
骨粗鬆症の治療にも使用され、
有害事象も少ないことは確認されている成分なので、
それが有効であることの意義は大きく、
今後も知見が積み重ねられることにより、
その有効性が実証されることを期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2024-11-12 11:58
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