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コーヒーとアルツハイマー病リスク(2023年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定で。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと認知症リスク.jpg
Journal of Lifestyle Medicine誌に、
2023年8月31日付で掲載された、
コーヒーと認知症リスクについてのメタ解析の論文です。

コーヒーを1日3から4杯程度までを目安に飲むという習慣が、
糖尿病や肝臓病、心血管疾患などの予防効果があり、
生命予後にも良い影響を与えることは、
そのメカニズムは不明であるものの、
世界規模の多くの疫学データにより、
実証されている事実です。

ただ、病気によってはコーヒーの健康効果に議論のあるものもあり、
その1つが認知症への影響です。

認知症に関しては、
一定の予防効果があったという報告がある一方で、
コーヒーを飲む習慣が認知症のリスクの1つである、
というような疫学データもあって一定していません。

今回の研究は、
これまでの主だった臨床データをまとめて解析した、
システマティックレビューとメタ解析という手法で、
この問題の現時点でも検証を行っているものです。

これまでの精度の高い11の臨床データをまとめて解析したところ、
コーヒーを1日1から2杯飲む習慣は、
その後のアルツハイマー病のリスクを、
32%(95%CI:0.54から0.83)有意に低下させていました。

コーヒーを1日2から4杯飲む習慣も、
その後のアルツハイマー病のリスクを、
21%(95%CI:0.56から1.02)有意ではないものの、
低下させる傾向を示しました。

一方でコーヒーを1日4杯を超えて飲むという習慣は、
アルツハイマー病のリスクに、
有意な影響を与えていませんでした。
(RR1.04; 95%CI:0.91から1.17)

このように、
1日コーヒーを1から2杯飲む習慣は、
アルツハイマー病のリスクを低下させていましたが、
用量依存的な傾向はなく、
それより多い量のコーヒー飲用習慣は、
明確なアルツハイマー病リスクへの影響を示していませんでした。

現状の認識としては、
アルツハイマー病に対するコーヒーの効果は、
良くも悪くもそれほど明確なものではないと、
そう考えて大きな誤りはないようです。

論文においては、
コーヒーを1日4杯まで飲むことは、
アルツハイマー病のリスクを低下させる可能性があり、
それを超える飲用習慣は、
むしろ増加させる危険がある、
というような結論が記載されていますが、
そこまで言い切る根拠はデータからは乏しいように個人的には思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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