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新型コロナ感染に伴う心電図異常 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は訪問診療やレセプト作業の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
オスボーン波のコロナとの関連.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2023年11月13日付で掲載された、
重症の新型コロナ感染症時に認められた、
心電図異常についての症例報告です。

新型コロナ感染症は一時的より軽症化していますが、
それでも少ないながら重症肺炎を起こして、
命に関わるような事例も存在しています。

そうした重症の事例では、
心筋障害などの心臓の異常を、
併発していることも多く、
それが予後に影響していることが報告されています。

今回の症例報告では、
高血圧と糖尿病の持病のある中年の患者が、
COVID-19に罹患して重症の肺炎を来し、
集中治療室に入室した事例が紹介されています。

病状悪化時に計測された心電図がこちらです。
オスボーン波の心電図.jpg
QRSと呼ばれる大きな波の終わりのところに、
上に尖ったでっぱりのような部分があり、
その後の基線は上昇しています。
ノッチ型のJ波の後にST上昇を伴ったそうした波形を、
Osborn波(オズボーン波)と呼んでいます。

このオズボーン波は、
心室細動という心停止に結び付く重症の不整脈の、
リスクとなることが知られています。
その原因は不明ですが、
低体温症でこの波形が認められやすいと報告されています。

今回のケースは低体温ではなく、
他のオスボーン波の出現が報告されている、
高カルシウム血症、甲状腺機能低下症、心筋症などは否定され、
新型コロナ感染に伴って何等かの機序により発症したものと考えられました。

実際この波形が出現して5日後に、
患者は死亡しています。

このように、通常低体温症などに特徴的な心電図異常が、
新型コロナに伴う肺炎の際に認められることがあり、
重症不整脈を惹起して予後に影響を与える可能性があり、
その後の経過を慎重に観察する必要があると考えられました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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