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オンラインと対面の顔認識の差 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ウェブ会議と対面の脳機能.jpg
Imaging Neuroscience誌に2023年10月25日付で掲載された、
対面とモニターを通した場合の、
顔の認識の違いについての論文です。

新型コロナの流行以降、
対面での会議や話し合いは減り、
複数人が仕事などで一堂に会するような時には、
ズームに代表されるようなウェブ会議が主体となりました。

これはそれ以前から、
ウェブ会議の方が効率的という意見はあったものの、
「実際にその場で話さないと微妙なニュアンスは伝わらない」
というような意見も根強くあって、
なかなか導入が難しかったものが、
コロナ禍で一気に進んだ、という側面があります。

2023年5月になって、
ほぼコロナ以前の生活が戻って来たのですが、
対面の会議を減らすという考え方自体は、
オフィスの縮小などの方針とも相俟って、
もう多くの企業などの規定方針となっているようです。

対面の会議では、
直接相手の顔を見てコミュニケーションを取ることが可能ですが、
ウェブの会議ではPCなどのモニターを介して、
相手の顔を見ることになります。

それでは、実際の相手の顔を認識することと、
モニターに映った相手の顔を認識することとの間には、
脳の働きとして何か違いがあるのでしょうか?

今回の研究では28名のボランティアを対象として、
お互いに対面でコミュニケーションを取った場合と、
モニターを介してオンライン会議のようにコミュニケーションを取った場合とで、
脳の反応にどのような違いがあるのかを、
主に機能的近赤外分光法という、
非侵襲的に脳の血流を評価する検査を用いて、
比較検証しています。

その結果、
モニターを介した場合と比較して対面では、
社会性に関わる領域の神経活動が活性化し、
コミュニケーションも協調的に行われることが確認されました。

相手とのコミュニケーションを取る時、
相手の顔を脳は認識して、
その表情などを脳内で再現して模倣することで、
相手を理解しようとするのですが、
そうした活動は対面では活発である一方、
モニターを介した交流では、
そうした部分がやや抑制されてしまうようです。

私は古い人間なので、
こうした知見を読むと、
「やはり人間は直接会って話をした方が、理解が深まるのだな」
などと思うのですが、
科学の進歩は目覚ましいものなので、
そうした脳の認識を取り入れた、
新たなオンラインのコミュニケーションの方法が、
今後は開発されてゆくような気もします。

いずれにしても個人同士の理解と協調、
その先にある寛容さこそが、
今の社会に最も欠けているものであり、
それを十全に発揮出来るようなコミュニケーション手法の開発が、
今最も望まれているものなので、
今回のような研究がそうした進歩に繋がることを、
これはもう切に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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