メトホルミンの中止と認知症リスク [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
産業医活動で都内を廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA Network Open誌に、
2023年10月25日付で掲載された、
糖尿病治療薬の認知症予防効果についての論文です。
高齢者の糖尿病は認知症のリスクであることが知られています。
血糖値の上昇やインスリン抵抗性による高インスリン血症は、
血管の炎症や動脈硬化の進行を促進する原因となり、
脳血管の老化が認知症に繋がることは理に適っています。
メトホルミンは2型糖尿病の治療薬として、
広く使用されている薬剤で、
その使用により合併症の予防効果や、
生命予後の改善効果が認められています。
また臨床試験の解析により、
メトホルミンの使用によって認知機能が改善し、
認知症のリスクが低下したとする報告があります。
https://content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad180263
ただ、こうしたデータは、
血糖コントロールが認知症予防に繋がったのか、
それともメトホルミン自体に認知症予防効果があるのか、
という点については明確にすることが出来ません。
そこで今回の研究では、
アメリカの大規模な民間医療保険のデータを活用して、
腎機能低下以外の何等かの理由で、
メトホルミンの使用を中止した患者さん、
トータル12220名の臨床データを、
メトホルミンの使用を継続している患者さんと比較して、
認知症の予防効果を検証しています。
その結果、
メトホルミンの中断は、
その後の認知症発症リスクを、
1.21倍(95%CI:1.12から1.30)有意に増加させていました。
そしてこの認知症リスクの増加は、
血糖コントロールの変動とは独立した現象として認められました。
つまり間接的なデータではありますが、
メトホルミンの使用自体が、
認知症の予防に繋がっている可能性を示唆するデータです。
今後もっと厳密な介入試験などによって、
メトホルミンの認知症予防効果の実態が、
明確になることを期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
産業医活動で都内を廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA Network Open誌に、
2023年10月25日付で掲載された、
糖尿病治療薬の認知症予防効果についての論文です。
高齢者の糖尿病は認知症のリスクであることが知られています。
血糖値の上昇やインスリン抵抗性による高インスリン血症は、
血管の炎症や動脈硬化の進行を促進する原因となり、
脳血管の老化が認知症に繋がることは理に適っています。
メトホルミンは2型糖尿病の治療薬として、
広く使用されている薬剤で、
その使用により合併症の予防効果や、
生命予後の改善効果が認められています。
また臨床試験の解析により、
メトホルミンの使用によって認知機能が改善し、
認知症のリスクが低下したとする報告があります。
https://content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad180263
ただ、こうしたデータは、
血糖コントロールが認知症予防に繋がったのか、
それともメトホルミン自体に認知症予防効果があるのか、
という点については明確にすることが出来ません。
そこで今回の研究では、
アメリカの大規模な民間医療保険のデータを活用して、
腎機能低下以外の何等かの理由で、
メトホルミンの使用を中止した患者さん、
トータル12220名の臨床データを、
メトホルミンの使用を継続している患者さんと比較して、
認知症の予防効果を検証しています。
その結果、
メトホルミンの中断は、
その後の認知症発症リスクを、
1.21倍(95%CI:1.12から1.30)有意に増加させていました。
そしてこの認知症リスクの増加は、
血糖コントロールの変動とは独立した現象として認められました。
つまり間接的なデータではありますが、
メトホルミンの使用自体が、
認知症の予防に繋がっている可能性を示唆するデータです。
今後もっと厳密な介入試験などによって、
メトホルミンの認知症予防効果の実態が、
明確になることを期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2023-11-24 06:28
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