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早期アルツハイマー病に対するドナネマブの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ドナネマブの有効性.jpg
JAMA誌に2023年7月17日ウェブ掲載された、
認知症の新薬の臨床試験結果についての論文です。

アルツハイマー型認知症の新薬としては、
エーザイとバイオジェン社が開発したレカネマブという新薬が、
こうした薬剤として初めてアメリカのFDAで承認され、
大きな話題となりました。

それについては以前記事にしています。
https://rokushin.blog.ss-blog.jp/2023-01-09-2

今回のドナネマブという薬剤は、
脳のアミロイドプラークのみに発現している、
不溶性のβアミロイド蛋白に対するIgG抗体です。
従って、レカネマブとはターゲットの蛋白質が若干異なりますが、
ほぼ同等の薬という言い方が出来るのです。

今回の第3相臨床試験においては、
世界8か国の277の専門施設において、
軽度の認知機能低下を伴う軽度のアルツハイマー型認知症の患者、
トータル1736名をくじ引きで2つの群に分けると、
本人にも主治医にも分からないように、
一方はドナネマブを4週間に一度静脈注射で使用し、
もう一方は偽の注射を同様に使用して、
72週間の経過を観察としています。

その結果、
認知機能と日常生活機能の両指標において、
ドナネマブの治療は認知症の進行を 
有意に低下させていました。
有害事象については、
これまでのアミロイド除去薬で見られている、
脳浮腫などの異常が治療群の24.0%(偽注射群では1.9%)、
微小出血などの異常が治療群の19.7%(偽注射群では7.4%)で、
認められました。

今回の結果はレカネマブの臨床試験とほぼ同等のもので、
対象がより軽症である点などに少し違いがあり、
脳浮腫などの有害事象はやや多いという印象はあります。

このように、
これまでとは異なるメカニズムで、
脳の異常蛋白の沈着自体を、
改善する可能性のある薬剤が続けて登場したことは、
認知症治療の今後に、
期待を持たせるものであることは間違いがありませんが、
その安全性を含めた患者さんの予後については、
今後も慎重に検証する必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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