SSブログ

ナタリー・デセイ & フィリップ・カサール デュオリサイタル(2022年11月9日) [コロラトゥーラ]

明けましておめでとうございます。
北品川藤クリニックの石原です。

クリニックは年末年始の休診中です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ナタリー・デセイ.jpg
僕の絶対的な歌姫であるデセイ様が、
2017年以来となる来日公演を2022年に行いました。
今回は11月6日に名古屋、9日に東京の2日のみ。
両日とも行きたいなあとは思ったのですが、
結果的には登場の公演のみに足を運びました。

ナタリー・デセイ様は、
フランスのコロラトゥーラソプラノ歌手で、
僕にとっては唯一無二の特別な存在です。
彼女の存在こそが僕にとっての藝術そのもので、
目の前で僕のために歌ってくれたら、
死んでも良いと本気で思いました。

デセイ様の初来日は2004年の9月で、
この時は東京ではオペラシティのコンサートホールで2回の公演を行い、
その2回ともに足を運びました。

この時は本当に素晴らしくて、
未だにこの時を超える感動を、
コンサートにおいて味わったことはありません。

デセイ様の全盛期は、
実際にはそれより数年くらいは前でしたから、
何故こんな素晴らしいものがこの世にあって、
同時代に生きていたにも関わらず、
そのことに気付かずに無為に過ごしてしまったのだろうと思うと、
身もだえのするような後悔を味わったのです。

この時に頑張り過ぎたという訳でもないのでしょうが、
日本公演後すぐに再び咽喉の調子を崩して休養し、
日本にはその数年後に来日しました。
その時は東京で3回のリサイタルを開き、
勿論その全公演に足を運びました。
毎回サイン会にも並びました。
ただ、この時は調子は今一つだったんですよね。
初回のような感動はありませんでした。

2010年に今度はオペラで待望の来日がありました。
「椿姫」で東京で3回の公演があり、
この時も勿論3回とも足を運びました。

2012年にマリインスキー歌劇場管弦楽団のコンサートのゲストで、
サントリーホールで1日のみ、
「ランメルモールのルチア」の演奏会形式の舞台に立ちました。
これも本当に良かったですね。
まさかこの時期に、日本でルチアを歌ってくれるとは、
とても思わなかったので、
本当に感銘を受けましたし、出来も抜群でした。

そしてその翌年の2013年、
デセイ様はオペラからは引退します。

その後は今回と同じように、
ピアニストとペアを組んでの、
歌曲中心のリサイタルのみでの来日となりました。

新型コロナ前に2回の来日があり、
コロナで1回中止になって、
今回は5年ぶりの来日となりました。

今回は前半がモーツァルトで、
コンサートアリアを含むアリア集。
後半はフランスの歌曲と小アリアという感じのプログラムです。

これはね、
デセイ様が最初に有名になって、
ヨーロッパを廻った時のリサイタルが、
モーツァルトのアリア集だったんですね。
そして、コンサートアリア集のCDも、
かなり初期に出しているのです。

つまり、原点回帰という感じのプログラム。

前半が好きか後半が好きかは、
かなり好みが分かれるところがあると思うのですが、
個人的には前半のモーツァルトが最高で、
最初の第一声を聴いただけで、
その深みのある美しさに陶然とする気分になりましたし、
咽喉の調子もこの10年では最も今回が良好で、
2回目の来日以降デセイ様を苦しめてきた、
咽喉が引っ掛かって声がブツ切れになるようなところが、
殆ど見られませんでした。

デセイ様のかつての代名詞は、
超高速のアジリタと超高音ですが、
残念ながら最盛期と比較すれば、
高音は出なくなりましたし、
アジリタのスピードも落ちました。

しかし、その豊饒な音色の繊細さと、
持続するピアニシモの虚空に溶けて行くような感触、
歌のトータルなフォルムの美しさは、
それを補って余り得るもので、
オペラ引退後のデセイ様のリサイタルの中では、
今回が最も完成度が高く、
感銘を受けた一夜でした。

これからも是非来日を重ねて欲しいと思いますし、
何を置いても駆けつけたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い新春をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(2)  コメント(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。