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肉を含まない食事の消化器癌予防効果(2023年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ベジタリアンダイエットと胃癌リスク.jpg
European Journal of Gastroenterology誌に、
2023年9月18日付で掲載された、
消化器癌と食事との関連についてのレビューです。

胃癌や大腸癌などの消化管由来の癌は、
食生活との関連が強いことで知られています。

特に関連が強いとされているのは、
赤身の肉やソーセージなどの加工肉の摂取量で、
こうした食品を多く摂ることが、
胃癌や大腸癌のリスクを高めることは、
多くの疫学データで確認されています。

それでは、
通常に肉を食べる生活をしている人と比較して、
ベジタリアンのように肉を一切摂らないと、
どの程度胃癌や大腸癌の予防に繋がるのでしょうか?

今回のメタ解析では、
そうした肉を一切摂らないという食事が、
消化管由来の癌のリスクに与える影響を、
これまでの主だった臨床データをまとめて解析する手法で、
検証しています。

ベジタリアンダイエットにも、
色々な制限の種類がありますが、
今回の研究では、
肉とその加工品のみを摂らない食事を、
その対象としています。

これまでの8つの臨床研究に含まれる、
686691人の臨床データをまとめて解析し、
他の癌リスクに繋がる喫煙、飲酒などの因子を補正した結果、
肉を一切摂らない食生活は、
普通に肉を食べる生活と比較して、
消化管由来の癌のリスクを23%(95%CI:0.65から0.90)、
有意に低下させていました。
このリスク低下は胃癌で最も顕著で、
59%(95%CI:0.28から0.61)のリスク低下に結び付き、
大腸癌でも15%(95%CI:0.76から0.95)の有意なリスク低下を示していました。

このリスク低下には、
興味深いことに性差と地域差とがあり、
男性では顕著に見られた一方、
女性のみでは有意な差はなく、
アジアと北米のデータでは認められた一方で、
ヨーロッパでのデータでは有意な差は検出されませんでした。

このように、
肉食は消化管由来の癌、特に胃癌との関連が深く、
その制限はリスク低下に結び付く可能性があります。
ただ、その効果には性差は地域差があり、
今後どのような因子がその違いを生んでいるのが、
より詳細な検証が必要と考えられます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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