SSブログ

「キリエのうた」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
キリエのうた.jpg
岩井俊二さんの新作映画が今公開されています。

岩井さんの映画は、
個人的には「リップヴァンウィンクルの花嫁」が、
何と言っても素晴らしくて、
これはもう僕のオールタイムベストの1本です。

ただ「LOVE LETTER」と「ラストレター」は、
あまり乗らなかったですし、
「スワロウテイル」は公開当時に物凄く期待をして観に行って、
「何だかなあ」という感想でした。

そんな訳で好き嫌いの大きな岩井映画ですが、
今回の作品は「リップヴァンウィンクルの花嫁」ほどではないのですが、
最初のかすれ声のオフコースから、
「いいな、いいな」と思って観ていて、
その後の展開の程よい「おとぎ話」感が心地良く、
ヒロインの歌声が素晴らしいですし、
途中で震災の場面は、
あまりにリアリティのない絵作りで、
ここは「オヤオヤ」という感じはしたのですが、
ラストにオフコースが再現された時には、
結構満足感がありました。

まあ、「リップヴァンウィンクル…」的な世界と、
「ラストレター」的な世界のミックスなのですが、
個人的には「リップヴァンウィンクル…」的部分がとても良くて、
「ラストレター」的な部分もそれほど邪魔にはならなかった、
という作品でした。

アイナ・ジ・エンドさんの個性を巧みに利用していて、
まあ岩井さん的にはCharaさんやCcccoさんの相似形なのですが、
今回アイナさんの歌う小林武史さんの楽曲は、
テーマ曲の1曲だけなんですね。
後は彼女自身の思いつくまま叫んでみた、
みたいな感じのもので、
それを巧みに利用して、
物語自体に何処に行くか分からないという感じの、
不安を孕んだ疾走感のようなものが生まれています。

対峙される広瀬すずさんがまたいいんですよね。
彼女はどんな役をやるときでも、
何か媚びたような計算を感じるのですが、
それを役柄にそのまま映しているのが岩井さんの卓越したセンスで、
その哀しさがラストは心に滲みました。

岩井さんの作品は、
何か禍々しい悪、
それは通常「男」ということなのですが、
そうしたものが登場する作品がいいんですね。
今回は最近の映画で、
男の醜悪さを一手に引き受けているような、
異能の松浦祐也さんが登場し、
北村有起哉さんとハミングの歌しか歌わない石井竜也さんなど、
禍々しさを振りまいているのが、
とても魅力的でした。

物凄く拘って作っている映画の筈なのに、
あの震災の場面の噓臭さと凡庸さは、
一体何なのかなあ、
という感じはどうしても残るのですが、
トータルには心に残るとても素敵な映画で、
最近では一番のお勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(3)  コメント(0) 

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。