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アルコールとの併用にリスクのある薬剤と飲酒習慣 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アルコール関連薬剤のリスク.jpg
JAMA誌に2023年9月14日付で掲載されたレターですが、
アルコールとの併用にリスクのある薬の、
飲酒歴との関連についての内容です。

お酒は多くの薬との間で相互作用のあることが知られています。

有名なところでは、
アセトアミノフェンという非常に安全性の高い解熱鎮痛薬が、
大量もしくは持続的な飲酒により、
肝臓への毒性を生じることが報告されています。
また睡眠剤や抗不安薬、抗けいれん剤などの薬剤は、
その鎮静作用が飲酒により増強して、
危険な場合のあることが知られています。

こうした薬を、
アルコール相互作用薬(Alcohol-Interactive Medications)と呼ぶことがあります。

こうした薬剤は、
常習的な飲酒や大量飲酒時は原則として使用不可ですが、
実際には個々の患者さんにそうした管理をすることは難しく、
アルコールと薬を併用しているようなケースは、
多いことが想定されます。

今回の研究はアメリカにおいて、
大規模な疫学データを解析することで、
アルコール相互作用薬の使用と飲酒習慣との関連を検証しています。
対象となっているアルコール相互作用薬は、
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬、
抗けいれん剤、痛み止めのオピオイドの3種類です。

健康リスクの高い飲酒としては、
一度に女性で4ドリンク以上、男性で5ドリンク以上の飲酒、
もしくは週に女性で8ドリンク以上、男性で15ドリンク以上の飲酒習慣が適応されています。

この1ドリンクはアルコール10グラム程度(国により違いあり)で、
日本酒1合、ビール中瓶1本が、
2ドリンク程度というのは大体の目安です。

1種類以上のアルコール相互作用薬を使用している、
20歳以上の2141名を対象として解析したところ、
前年に健康リスクの高い飲酒習慣があったのは、
ベンゾジアゼピン系作動薬の使用群で28.6%、
オピオイド使用群で17.5%、
抗けいれん剤使用群で20.2%、
2種類以上の併用群で15.3%に及んでいました。

また前月の健康リスクの高い過量飲酒も、
ベンゾジアゼピン系作動薬の使用群で16.9%、
オピオイド使用群で9.2%、
抗けいれん剤使用群で12.3%、
2種類以上の併用群で8.2%に認められました。

このようにアルコールとの併用が危険な薬が、
実際には多くの事例で過度の飲酒習慣のある患者に処方されており、
こうした状況は日本においても同様であると考えられます。

今後どのようにしてこうした事例を減らしてゆくべきなのか、
早急な議論が必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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