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夜型朝型のクロノタイプと生命予後(フィンランドの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
保育園の健診などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
夜型人間は短命?.jpg
Chronobiology International誌に、
2023年6月15日付で掲載された、
夜型朝型のクロノタイプと生命予後との関連についての論文です。

クロノタイプというのは、
1日のうちでどの時間帯が最も活動的か、
ということで日内リズムを分類するもので、
動物ではフクロウなどは夜に主に活動しますから、
種自体が夜型と言うことが出来ますが、
人間の場合には朝早起きで朝から活動的な人がいる一方で、
朝は起きても生気は乏しく、
夕方くらいから徐々に元気が出て来て、
夜が一番活動的という人もいます。
つまり、同じ種の中でもクロノタイプは様々、
という特徴があるのです。

一般に朝型は健康的で夜型は不健康というイメージがあります。

これは満更根拠のないものではなく、
これまでの多くの疫学データにおいて、
睡眠リズム障害や心血管疾患、肥満などの多くの病気が、
朝型より夜型のクロノタイプで多いと報告されています。

また総死亡のリスクについても、
有名なUKバイオバンクの大規模データを活用した、
6.5年の経過観察において、
夜型で若干のリスク増加が報告されています。

ただ、社会的に夜活動するタイプの人は、
喫煙者が多かったり、飲酒量が多く、動物性脂肪の摂取も多いなど、
病気に結び付く悪い生活習慣も多い傾向があり、
そうした生活習慣が影響している可能性も否定出来ません。

今回の研究はフィンランドにおいて、
双子の健康調査のデータを二次利用することにより、
夜型と朝型のクロノタイプの違いが、
長期の生命予後に与える影響を比較検証しています。

対象者は23854名で、
追跡期間は37年という大規模なものです。
アンケートにより分類したクロノタイプは、
朝型29.5%、どちらかと言えば朝型27.7%、
夜型9.9%、どちらかと言えば夜型が33.0%でした。
その結果朝型と比較して夜型では、
総死亡のリスクが9%(95%CI:1.01から1.18)有意に増加していました。
しかし、死亡リスクと関連する因子を検証したところ、
アルコールと喫煙の影響を除外すると、
そのリスク増加は明確なものではなくなっていました。

このように、
夜型で死亡リスクが高い傾向があるのは、
喫煙や飲酒の習慣の影響が大きく、
クロノタイプに独立してリスクがある、
という訳ではなさそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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