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筋肉内脂肪の増加と認知症との関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
筋肉内脂肪の増加と認知症リスク.jpg
Journal of the American Geriatrics Society誌に、
2023年6月7日付で掲載された、
筋肉内の脂肪の増加と認知症との関連を検証した論文です。

認知症のリスクとしては、
生活習慣病など様々な指摘がありますが、
内臓脂肪の増加や筋肉量の低下も、
そのリスクであることが知られています。

加齢に伴い体力が低下すると、
筋肉量が減少して脂肪変性が起こり、
筋肉内の脂肪量が増加します。
この筋肉内の脂肪の増加は、
筋肉でのインスリン抵抗性を高め、
糖尿病などのリスクになると指摘されています。

加齢に伴う体重減少によって、
内臓脂肪は全体的には減少しますが、
筋肉内の脂肪は増加していて、
それが高齢者の健康に関連している可能性があるのです。

それでは、
筋肉内の脂肪増加と認知症のリスクとの間には、
どのような関連があるのでしょうか?

そこで今回の研究ではアメリカにおいて、
70から79歳の3075名の男女を、
平均で9.0±1.8年経過観察した疫学研究のデータを活用して、
5年をおいて計測した筋肉内脂肪量のデータと、
認知症発症との関連を検証しています。

その結果、
大腿の筋肉内脂肪量の指標であるIMATは、
全体で平均39.0%増加しており、
その間の認知機能の指標である3MSテストの数値の低下との間に、
一定の関連が認められました。
具体的な数値としては、
大腿のIMATが4.85㎠低下すると、
3MSテストが3.6点低下するという相関が認められました。
この相関は他の認知症の関連因子とは無関係に認められました。

これはまだそうした現象を確認しただけのデータですが、
今後そのメカニズムが実証されれば、
筋肉内脂肪量増加は、
認知症の重要な危険因子となるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

(付記)
コメントでご指摘を受け、
表現の誤りを修正しました。
(2023年7月4日20時29分修正)

nice!(4)  コメント(2) 

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コメント 2

でがらし

 本日になってこの記事を拝見しました。有意味な研究のご紹介、ありがとうございます。
 最後のほうの段落にある「筋肉内脂肪量低下」は、ひょっとすると「筋肉内脂肪量増加」ということでしょうか?
by でがらし (2023-07-04 16:03) 

fujiki

でがらしさんへ
ご指摘ありがとうございました。
早速修正しました。
今後ともよろしくお願いします。
by fujiki (2023-07-04 20:31) 

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