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新型コロナ後遺症に対する睡眠の影響 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後産業医面談などの予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナ後遺症に対する睡眠の影響.jpg
JAMA Network Open誌に、
2023年5月30日ウェブ掲載された、
新型コロナ後遺症に対する、
睡眠の影響についての論文です。

新型コロナウイルス感染症の罹患時には、
その急性症状が回復した後に、
数か月から経過によっては数年に渡り持続する、
倦怠感や息苦しさ、眩暈や精神症状など、
幅広い症状が見られることが知られています。

この現象には多くの呼び方がありますが、
厚労省は「新型コロナウイルス感染症罹患後症状(いわゆる後遺症)」
という言い方を採用しています。

これはWHOが提唱している、
Post-COVID-19 Conditionを翻訳したものと思います。

そのメカニズムにはまだ不明な点が多く、
現時点で有効な予防法や治療法は確立していません。

最近抗ウイルス剤を使用した方が、
その後の後遺症の発症が少なかった、というようなデータが、
幾つか発表されていますが、
そもそも重症の事例や重症化リスクの高い事例に、
そうした薬剤は使用されているので、
抗ウイルス剤の臨床試験などのデータから、
後遺症の予防効果を正確に評価することは、
実際には困難であるように思います。

今回の研究では、
睡眠の質が重要な健康のバロメーターであることに着目して、
新型コロナに罹患する前の睡眠の質が、
罹患後の後遺症の発症にどのように影響するのかを検証しています。

女性の医療従事者を対象とした、
大規模な疫学研究のデータを活用して、
新型コロナに感染した1979名の睡眠状態を解析したところ、
睡眠時間や昼の眠気など、
睡眠の質を0から5点で評価した指標において、
睡眠の質が最も良い5点の人は、
睡眠の質が悪い0から1点の人と比較して、
新型コロナ後遺症の発症リスクが、
30%(95%CI:0.52から0.94)有意に低下していました。

これだけのデータで断定的なことは言えませんが、
良い睡眠が病気への抵抗力を高め、
その予後の改善にも繋がるという、
昔からある一般的な健康理解は、
意外に新型コロナなどの新規感染症においても、
真理であるのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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