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電気自動車の高出力充電器の安全性について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
電気自動車のペースメーカーへの影響について.jpg
Europace誌に2023年掲載された、
電気自動車の高出力充電器の健康影響についての論文です。

新しい機器が生活に登場する度に、
その健康影響が問題となります。

現在生活に欠かせない機器で電磁波を出すものは多く、
その人体への影響については、
まだ明確な結論は出ていません。

その代表格は携帯電話やスマートフォンで、
その登場の時期には、
脳への悪影響などが問題となり、
若干ながら影響を与えるとするデータも発表されています。
ただ、その影響は軽微であることが次第に認知され、
今ではあまりそうした主張は、
それほど大きなものではなくなって来ています。
その背景には安全性への危惧と比較して、
生活への必要性が圧倒的に大きい、
という点にも理由はありそうです。

ただ、現行でも指摘されることがあるのは、
皮下に埋め込み型の心臓ペースメーカーや除細動器への影響です。

その誤作動の可能性はゼロとは言えないので、
ペースメーカー埋め込み部に密着しての携帯電話の使用などは、
原則として控えるべきとされています。

最近進歩が著しいのが電気自動車です。

電気自動車は空気を汚さないなど多くの利点がありますが、
充電をケーブルを介して行うと、
非常に強い電磁波が発生するという危惧があります。
それでは、高出力の充電器を使用した場合、
その周辺への電磁波の影響はないのでしょうか?

今回の研究では、
ペースメーカーもしくは除細動器を皮下に埋め込んでいる、
130名の患者を対象として、
高出力の充電器を用いて電気自動車の充電を行い、
充電ケーブルに埋め込み機器を近づけて、
その影響を検証しています。
トータルで561回の充電を行って検証したところ、
電磁波の干渉によって機器の誤作動などのトラブルは、
一度も発生しませんでした。

つまり、一定の安全性が確認されています。
ただ、理論的には充電ケーブルに近接した状態では、
そうした電磁波の干渉によるリスクはゼロとは言えず、
当面は充電ケーブルとペースメーカーなどの機器が、
直接接触するような状態は、
なるべく避けた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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