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ニキビに対するスピロノラクトンの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
スピロノラクトンのニキビへの効果.jpg
British Medical Journal誌に、
2023年5月16日ウェブ掲載された、
抗アンドロゲン作用のある利尿剤を、
ニキビに使用した臨床試験についての論文です。

ニキビ(尋常性挫創)というのは、
非常に一般的な症状ですが、
その治療は現時点でも確立されているとは言えません。

通常過酸化ベンゾイル製剤や抗菌剤などの外用剤が使用され、
それで改善が見られない場合には、
内服の抗菌剤が使用されることが一般的です。
ニキビに対する抗菌剤の使用は、
原則として半年以内に限るとされていますが、
それを超えて継続されることの多いのが実際です。
抗菌剤の長期の使用継続は、
耐性菌の増加などのリスクに繋がることが知られています。

そのため、抗菌剤を使用しないニキビ治療が、
求められているのです。

現状ガイドラインで推奨されているものではありませんが、
臨床で使用されることが多いのが、
スピロノラクトン(商品名アルドステロンなど)の使用です。

スピロノラクトンは利尿剤の一種ですが、
抗アンドロゲン作用を持ち、
それがニキビの改善に繋がると考えられています。

そこで今回の臨床研究では、
イギリスとウェールズの18歳以上でニキビのある女性、
トータル410名をくじ引きで2つの群に分けると、
一方はスピロノラクトンを1日50㎎から開始して、
6週以降は100㎎に増量し24週までの治療を継続。
もう一方は偽薬を使用して、
その有効性を比較検証しています。

その結果、
治療12週の時点ではニキビの自覚的改善率には、
有意な差はありませんでしたが、
治療24週の時点では治療群の改善率が82%に対して、
偽薬群の改善率は63%で、
スピロノラクトンの治療には、
一定の臨床的有効性が認められました。

スピロノラクトンには、
無月経などの副作用があり、
妊娠中や授乳中は原則として使用出来ませんから、
その使用継続には限界がありますが、
抗菌剤のような有害事象はない治療の選択肢として、
今後抗菌剤が使用継続されているようなケースにおいて、
検討に値する治療になると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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