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「ロストケア」(葉真中顕原作 映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ロストケア.jpg
葉真中顕さんによるミステリー小説が、
前田哲監督のメガホンの元、
長澤まさみさんと松山ケンイチさんの主演で映画化されました。

これは原作を先に読んでいたのですが、
大幅にリライトされていて、
原作の一部の要素のみを、
フィーチャーする形で映像化した、
ほぼ別物と言って良い作品になっていました。

勿論こうした形の映像化も当然ありだとは思います。
ただ、原作はミステリーで、
犯人捜しの要素もあるのにも拘らず、
映画はその予告の時点から、
明確に犯人の正体を明かしているので、
その点はちょっと問題に感じました。

これ、せめて犯人の名前は変えて欲しいですよね。
主人公の検事は性別も女性に変えて、
当然名前も変えているのですから、
犯人のみ原作と同じ名前で丸分かりというのは、
原作を後から読もうと思う人にとっては致命的で、
これはどうにかして欲しかったと思いました。

その代わり映画版は、
高齢家族の介護に関わる問題に、
真剣に取り組んだ、と言って良い骨太の内容になっていて、
その点は評価に値すると思います。

ただ、個人的にはかなり苦手な映画で、
特に監督の演出手法や編集のセンスは合いませんでした。

かなりまったりしていて抽象的なんですね。
1時間で済みそうな内容を無理矢理2時間に引き延ばしている、
という感じで、
1つ1つの場面のお尻が異常に長いんですね。
松山ケンイチさんが父親を殺す場面など、
殺した後で、その苦悩の表情を、
延々と描写しているんですね。
一事が万事そうした感じで、
その場面で起こるべき出来事は全てもう済んでいるのに、
主人公をアップにして、
その表情を延々と映し続けるのです。

これが良いと思う方もおそらくいるのだと思いますが、
個人的には「ダラダラやるなよ」という感想しか持ちませんでした。

原作はミステリーとして、
もっと色々な要素が入っているんですね。
それをスパッと切った訳ですが、
それならばもっと残された部分を、
膨らませないといけないと思うのですね。
高齢者の介護にまつわる人間ドラマが、
もっと多層的にあるべきではなかったのかしら。
そうした膨らみを用意することが出来なかったので、
結果として長澤さんと松山さんのアップを、
延々と見ているだけ、という映画に、
なってしまったように思います。

そんな訳であまり乗り切れなかった作品でしたが、
配信で見ると、
また違う印象になるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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