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妊娠中の感染と小児白血病リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
産業医面談などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
妊娠中の感染と小児白血病.jpg
JAMA Network Open誌に、
2023年2月20日ウェブ掲載された、
妊娠中の感染症が胎児の健康に与える影響についての論文です。

白血病は小児に最も多い癌です。
その原因は全てが分かっている訳ではありませんが、
胎児期に遺伝子の変異が起こることが、
その要因の1つと考えられています。

妊娠中にウイルスや細菌などの感染症に罹患することは、
非常に一般的なことですが、
そのタイミングや感染症の性質によっては、
その感染が胎児の遺伝子に影響を与え、
それが白血病の原因となることも想定されます。

ただ、それではどのような感染症により、
実際にどの程度の影響が胎児に生じるのかについては、
それほど明確なことが分かっていません。

今回の研究は国民総背番号制が取られているデンマークにおいて、
妊娠中の感染症と、
生まれた子供の小児期の白血病の罹患率との関連を、
大規模な疫学データで検証しているものです。

2222797名の小児を対象として、
平均で12.0年の経過観察を施行したところ、
そのうちの1307名が小児期に白血病に罹患していました。

そして、妊娠中に母体が何等かの感染症に罹患していると、
そうでない場合と比較して、
小児の白血病のリスクが35%(95%CI:1.04から1.77)有意に増加していました。
特にリスクが高かったのは、
外陰部の感染症で2.42倍(95%CI:1.50から3.92)、
次に多かったのは尿路感染症で1.65倍(95%CI:1.15から2.36)でした。

このリスク増加をどう見るかは難しいところですが、
今後こうした感染症の予防や治療の介入により、
小児白血病のリスクの減少に結び付くのかどうか、
慎重な検討が必要となるように思われます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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