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身長が高く足が長いほど糖尿病にならない? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
DMと身長との関係.jpg
2019年のDiabetologia誌に掲載された、
身長と2型糖尿病との関連についての論文です。

身長が低いことが糖尿病のリスクになる、
逆に言えば身長が高いと糖尿病にはなりにくい、
というのは、
主にヨーロッパの信頼のおける疫学データにおいて、
示されている知見です。

しかし、何故低身長だと糖尿病になりやすいのか、
というような点については、
明確なことは殆ど分かっていません。

これは糖尿病ばかりではなく、
心筋梗塞や脳卒中のような心血管疾患のリスクについても、
同じ疫学研究では、
低身長では病気になり易いという結果が得られています。

遺伝子変異によって病気のリスクを解析する、
というタイプの研究が最近は流行りですが、
最近のそうした検証においても、
矢張り身長と糖尿病、そして心血管疾患リスクとの間には、
一定の関連が見られるという結果が出ています。

今回の研究はドイツにおいて、
大規模な一般住民の疫学データから、
無作為に2500名を抽出し、
身長と糖尿病との関連を検証しているものです。

7年の経過観察において、
年齢や他の心血管疾患のリスクなどを補正した結果として、
男女とも高身長は糖尿病発症リスクの低下と関連していました。
身長が10センチ高くなると、
男性の糖尿病発症リスクは41%(95%CI: 0.47から0.75)、
女性の糖尿病発症リスクは33%(95%CI:0.51から0.88)、
それぞれ有意に低下していました。

身長を座高と足の長さで分けて解析すると、
女性では座高も足の長さも同程度に糖尿病リスクの低下と関連していましたが、
男性では主に関連が見られたのは足の長さのみでした。

他の心血管疾患リスク因子や代謝のマーカーとの関連で見ると、
身長の影響は肝脂肪などの内臓脂肪と関連が大きく、
特に女性においては、
低身長では内臓脂肪が多い傾向があることから、
その点が糖尿病リスクの増加と、
関連している可能性が示唆されました。

このように、
今回の検証でも身長と糖尿病リスクには、
一定の関連が見られていて、
これがヨーロッパ人種や地域に限った現象であるのか、
もっと広く関連のあることなのかはまだ不明ですが、
興味深い知見であることは事実で、
今後のメカニズムを含めた検証にも注目したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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