劇団鹿殺し「ランドスライドワールド」 [演劇]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
座長の菜月チョビさんが海外留学のため、
一時劇団としては活動を休止していた劇団鹿殺しが、
1年3ヶ月ぶりの本公演を上演しています。
全くの新作ということではないようですが、
丸尾丸一郎さんの戯曲を、
菜月チョビさんが演出し、
劇団鹿殺しのメインキャストが揃い、
客演も個性重視で濃厚な布陣です。
ブラスを入れた生演奏と、
如何にも小劇場の正統の血筋という、
インチキミュージカルテイストで、
所々は劇団300みたいで、
所々は天井桟敷みたいな演出もこれまで通りです。
丸尾さんの世界が、
かなり特殊で閉じた感じなので、
前回の番外公演「山犬」でも感じましたが、
個人的には娯楽として観ることは出来ず、
かなりしんどい思いを感じながらの観劇になりました。
Coccoとのコラボが非常に良かっただけに、
もっと方向性を変えて欲しいな、
というのが僕の偽らざる思いです。
次回からは、
慎重に作品を選んで観たいと思います。
同じような作品を、
もう一度観たいとは思えないからです。
以下ネタバレを含む感想です。
作品世界は、
父親に支配された鬱屈した兄弟が、
暴力的で陰湿でグロテスクな妄想に身を委ねるという、
丸尾さん特有のダークな世界で、
リンチのような暴力的な場面が、
何度も何度も形を変えて反復されるので、
過去と現在、現実と妄想とが複雑に交錯し、
妄想が視覚化されて、
ミュージカル場面も入るので、
もっと舞台に自由度があっても良いように思うのですが、
印象としては、
同じような暴力的な場面が、
エンドレスで続いているようで、
観ていても、嫌な疲労感が蓄積するような感じです。
ちょっと人情話的なオチが付くのですが、
それでそれまでの暴力の連鎖劇が、
帳消しになるということはなく、
厭世的な気分で劇場を後にしました。
妄想が蠅の世界というのも、
死肉に群がる蠅というイメージがおぞましく、
どうも個人的には、
「勘弁してよ」という気分になります。
同じような田舎の家庭の愛憎劇のドロドロと言うと、
三浦大輔さんの作品や、
松尾スズキさんの作品が頭に浮かびますが、
丸尾さんの世界の方が、
もっと深刻に病んでいる、という感じで、
それでいて演劇としては、
一昔前の小劇場のような方法論で、
インチキミュージカルとして上演されるので、
半端に陽性な感じなのが、
却って観ていて辛い思いがします。
こうした娯楽作品に仕立てるのであれば、
もう少し随所に明るさが欲しいと思うのですが、
陽性のキャラクターというのが、
基本的には皆無なので、
ひたすら暗く救いのない、
暴力的な世界を彷徨ったという印象でした。
昨年観た「ぬいぐるみハンター」も、
基本的には同じような世界観だったので、
こうした感覚に共鳴する方もいるのだと思いますし、
ひょっとしたら世代的なものなのかも知れません。
ここまで救いのない、
暴力的で絶望的な世界と、
自分達の周囲を捉えているのだとしたら、
怖いなあ、と思いますが、
世の中は実際にはそこまで来ているのかも知れません。
もう多分同じ匂いのする演目は、
観ないと思いますが、
小劇場演出の正統的な継承者として、
その個々の趣向には捨てがたいものもあるので、
また色々と路線を変え、
もうちょっとのどかな雰囲気の芝居にも、
挑戦して欲しいなあ、と思いました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
座長の菜月チョビさんが海外留学のため、
一時劇団としては活動を休止していた劇団鹿殺しが、
1年3ヶ月ぶりの本公演を上演しています。
全くの新作ということではないようですが、
丸尾丸一郎さんの戯曲を、
菜月チョビさんが演出し、
劇団鹿殺しのメインキャストが揃い、
客演も個性重視で濃厚な布陣です。
ブラスを入れた生演奏と、
如何にも小劇場の正統の血筋という、
インチキミュージカルテイストで、
所々は劇団300みたいで、
所々は天井桟敷みたいな演出もこれまで通りです。
丸尾さんの世界が、
かなり特殊で閉じた感じなので、
前回の番外公演「山犬」でも感じましたが、
個人的には娯楽として観ることは出来ず、
かなりしんどい思いを感じながらの観劇になりました。
Coccoとのコラボが非常に良かっただけに、
もっと方向性を変えて欲しいな、
というのが僕の偽らざる思いです。
次回からは、
慎重に作品を選んで観たいと思います。
同じような作品を、
もう一度観たいとは思えないからです。
以下ネタバレを含む感想です。
作品世界は、
父親に支配された鬱屈した兄弟が、
暴力的で陰湿でグロテスクな妄想に身を委ねるという、
丸尾さん特有のダークな世界で、
リンチのような暴力的な場面が、
何度も何度も形を変えて反復されるので、
過去と現在、現実と妄想とが複雑に交錯し、
妄想が視覚化されて、
ミュージカル場面も入るので、
もっと舞台に自由度があっても良いように思うのですが、
印象としては、
同じような暴力的な場面が、
エンドレスで続いているようで、
観ていても、嫌な疲労感が蓄積するような感じです。
ちょっと人情話的なオチが付くのですが、
それでそれまでの暴力の連鎖劇が、
帳消しになるということはなく、
厭世的な気分で劇場を後にしました。
妄想が蠅の世界というのも、
死肉に群がる蠅というイメージがおぞましく、
どうも個人的には、
「勘弁してよ」という気分になります。
同じような田舎の家庭の愛憎劇のドロドロと言うと、
三浦大輔さんの作品や、
松尾スズキさんの作品が頭に浮かびますが、
丸尾さんの世界の方が、
もっと深刻に病んでいる、という感じで、
それでいて演劇としては、
一昔前の小劇場のような方法論で、
インチキミュージカルとして上演されるので、
半端に陽性な感じなのが、
却って観ていて辛い思いがします。
こうした娯楽作品に仕立てるのであれば、
もう少し随所に明るさが欲しいと思うのですが、
陽性のキャラクターというのが、
基本的には皆無なので、
ひたすら暗く救いのない、
暴力的な世界を彷徨ったという印象でした。
昨年観た「ぬいぐるみハンター」も、
基本的には同じような世界観だったので、
こうした感覚に共鳴する方もいるのだと思いますし、
ひょっとしたら世代的なものなのかも知れません。
ここまで救いのない、
暴力的で絶望的な世界と、
自分達の周囲を捉えているのだとしたら、
怖いなあ、と思いますが、
世の中は実際にはそこまで来ているのかも知れません。
もう多分同じ匂いのする演目は、
観ないと思いますが、
小劇場演出の正統的な継承者として、
その個々の趣向には捨てがたいものもあるので、
また色々と路線を変え、
もうちょっとのどかな雰囲気の芝居にも、
挑戦して欲しいなあ、と思いました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2015-01-17 08:07
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