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新国立劇場「愛の妙薬」 [オペラ]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療所は休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
愛の妙薬.jpg
新国立劇場のレパートリーとして、
ドニゼッティの「愛の妙薬」が上演中です。
公演はこの後12日に残っているだけですが、
今回の公演は、
アントニーノ・シラグーザが、
久しぶりに好調で、
素晴らしい歌唱を聴かせてくれているので、
個人的には非常にお奨めです。

シラグーザは、
現在のイタリアを代表する、
「軽い声」のテノールの1人で、
ロッシーニなどの技巧的な歌唱を、
得意にしています。

日本にも何度も来てくれていて、
その度に非常なサービス精神で、
聴衆を湧かせています。

特に印象に残っているのは、
前回新国立劇場に出演した時の、
「チェネレントラ」の舞台で、
その技巧を駆使した伸びやかな歌唱と、
軽妙な演技とのバランスは、
今思い出してもワクワクします。

ただ、
2年前の秋の来日は、
風邪も併発して調子が悪く、
丁度震災の原発事故の影響で、
海外の歌劇場のドタキャンキャストの穴埋めまで引き受けた、
その苦しそうな舞台姿は、
心の中でありがとうと言いながらも、
辛い思いを感じざるを得ませんでした。

今回の公演での歌唱は、
少なくとも僕の聴いた2日目に関しては、
2年前の不調を吹き飛ばすような快調なもので、
第一声を聴いただけで、
心が浮き立つような感じがありましたし、
コミカルでかつ自然な感情の流れがある、
オペラ歌手としては一級品の演技とも併せて、
最後まで楽しく舞台を見守ることが出来ました。

作品はベルカントオペラを代表する1人である、
ドニゼッティの作品ですが、
現行上演される作品の中では比較的珍しい喜劇で、
テノールの技巧的な聴きどころは少ないのが、
やや物足りなくは感じるのですが、
それだけにシラグーザの歌唱は非常に繊細で、
細部まで神経が行き届き、
少なくともシラグーザが出演している場面では、
ただ一瞬も、
退屈な時間はありませんでした。

シラグーザの相手役のエディーナには、
アメリカの若手ソプラノ、
ニコル・キャベルがキャスティングされていて、
声も出てコロラトゥーラもこなせるのですが、
やや安定感には欠ける歌唱で、
シラグーザとの相性も、
それほど良いとは言えない感じでしたが、
後半に掛けてはシラグーザに引き摺られるように調子を上げ、
ラストの締め括りのアリアは、
彼女としては120%の出来でした。

ただ、
それでもこれでシラグーザの相手役が、
エヴァ・メイだったら、
それはもう最高の舞台になっただろうなあ、
などと考えると、
ちょっと残念な思いはありました。

舞台面もポップで楽しいものですし、
アンサンブルも良く、
オペラ喜劇の楽しさを、
十全に味合わせてくれる舞台であることは、
間違いがないと断言出来ます。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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