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「知ったかぶり」の世界 [身辺雑記]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療所は休診です。
朝から駒沢公園まで走りに行って
(帰った直後に雨になったのでラッキーでした)、
ちょっと草取りをして、
洗濯機を1回廻して、
それから今PCに向かっています。

今日は雑談的な話です。

「知ったかぶり」をする人がいますよね。

知らないことを、
あたかも知っているかのように振舞うのです。

正直に言うと、
僕は以前はかなり知ったかぶりをしていた方でした。

小学校の時には、
鉄道模型が趣味の友達がいて、
数人でグループを作っていたのです。
僕はそのグループの仲間に入りたくて、
鉄道模型や国鉄(当時)のことにも、
詳しいようなふりをしたのですが、
実際には大した興味もなく、
知識もなかったのです。

中学生の時には、
釣りが一時期流行っていて、
「釣りキチ三平」という漫画が人気のあった頃です。
僕はこの時も小学校の時に釣りをしていたような話をしたのですが、
それは真っ赤なウソで、
友達には簡単に見破られて赤面する羽目になったのです。

大学では演劇にのめりこんだのですが、
唐先生の芝居を、
「鉛の心臓」から観ているとつい言ってしまったのですが、
これはウソで僕が観たのは以前書いたように、
「新二都物語」が初めてだったのです。
鴻上尚史の第三舞台も、
早稲田のテントで観たと言ってしまったのですが、
これもウソで、
実際には下北沢のスズナリで観たのが最初でした。

僕の知ったかぶりは、
友達になりたい人がいる時に、
なるべくその人に気に入られたい、
と思うところから来ています。

最近知ったかぶりをしなくなったのは、
あまり自分を良く見せたいという気持ちが、
なくなったからかも知れません。

偉い方の知ったかぶりとして、
僕がとても印象に残っているのは、
僕と同じ名字の都知事の方の事例です。

以前クイズミリオネラのスペシャルに、
その方が出演されたことがありました。

その時の問題で、
「足利最後の将軍は誰?」というものがありました。
そのままだと迷うところですが、
4択でその中での答えは、
どう考えても足利義昭でした。
残りの選択肢は義満とか義政であったからです。

これはまあ、ちょっと歴史好きの人なら、
滅多に間違わないような問題です。

ところが、
その方はこの問題に正解することが出来ませんでした。

歴史にはあまり明るくはなかったようです。

ただ、間違いだったことが分かって、
感想を求められたその方は、
「あの信長にしてやられた馬鹿な将軍だろ。
俺は覚える値打ちのない奴の名前は覚えないんだ」
という意味のことを言ったのです。

おやおや…という感じです。

それから別の時にこんなこともありました。

曽野綾子さんとその方が対談をした時に、
「わたしは最近オペラを観始めたばかりなんです」
と言う曽野さんに、その方は、
自分はあらゆるオペラを熟知しているかのような口ぶりで、
「まあ、『カルメン』みたいに名曲ばかりのオペラは、
あまりないからな。初心者には辛いだろう」
という意味のことを言いました。

この一言を聞いただけで、
その方が実際にはオペラなどには、
何の興味もなく、
大した知識もない、ということが分かります。
ビゼーの「カルメン」は、
確かにポピュラーな作品ですが、
オペラ好きの人が、
「カルメン」をオペラの代表のように話すことは、
考え難いことだからです。

オペラと一口に言ってもその範囲は広く、
ドイツオペラが好きでワーグナーが好きとか、
イタリアものが好きでヴェルディが好きとか、
ロッシーニ以外は聴かないとか、
いやいやベルカント以降は聴くに堪えないとか、
バロックオペラが好きとか、
色々な趣味嗜好があるでしょうが、
フランスオペラが好きな人が、
その代表に「カルメン」を持ち出すことはあまりないと思いますし
(あの作品はスペインを舞台にして言語はフランス語です)、
ましてやオペラ全体を「カルメン」で代表させることはありません。
あの作品は馴染みの多いメロディが数曲あることと、
「スペイン趣味」の代表のように扱われ、
その後の多くの映像や文学作品の元ネタになったので有名なので、
勿論悪い作品ではなく、
世界的にも一時期非常に人気のあったことは事実ですが、
ノーカットで上演すると意外に長尺で、
初心者向きとも言えないのです。
初めて聴く人は大抵途中で寝ています。

この2つの事例から、
僕はその方が飛び切りの「知ったかぶり」だ、
ということを知りました。

その方は文化全般に、
知らないことはないような雰囲気をお持ちですが、
実際には多分本当にお好きなのはスポーツだけで、
オペラも歴史も、
あまりお詳しくはないし、
あまり興味もないのです。

別にそれはそれで良いのだと思うのです。
スポーツだけが好きで良いではないですか。
問題はそれを認めずに、
「知ったかぶり」をすることにあります。

僕はその方を決して信用しませんが、
それはこのように些細なことで知ったかぶりをする人は、
本業でも自分が全てを知っているというふりをして、
それが仕事にも反映されているだろうことを、
確信するからです。

今日は知ったかぶりの話でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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コメント 8

永遠の通りすがり

私は現在の都知事の支持者でもファンでもありませんが、クイズ番組での不正解後の知事の発言は「知ったかぶり」というより、どちらかと言えば「負け惜しみ」では。
最近「知ったかぶり」をしなくなった理由を、「あまり自分を良く見せたいという気持ちが、なくなったからからかも」と書いている先生の文を読んで少し笑ってしまいました。
大人になってそれが人間関係の最初の結び方として問題があると気がついたから、とか、後で困ったことになるから、ではないんですね。

出していただいた利尿剤は毎日ではなく、浮腫がひどい時にだけ飲んでいます。
「本当に効いているの?」という感じですが。
by 永遠の通りすがり (2011-07-31 16:14) 

fujiki

永遠の通りすがりさんへ
コメントありがとうございます。
ご指摘の通りで不出来の記事なのですが、
こんなものしかなかったので、
お許し下さい。
実感がなくても、
塩分の排泄という意味では、
一定の効果はあると思います。
by fujiki (2011-08-01 08:24) 

いくみ

今日の先生の記事に万歳!です。もっと鋭い指摘をしてくださるといいのにな、と思ったりします。
今回の選挙でなく、前回の選挙の時に、石原都知事を誰が支持しているかという記事が「世界」に載りました。結果は圧倒的に女性、それも中高年の女性だそうです。マスコミからの批判に(ある程度)さらされながらも、なぜ当選するのか、と不思議に誰しも思うものでしたから、興味深くその記事を読んだ記憶があります。そして今回の駆け込み立候補でも当選。その直後、私の通う英会話のクラスで、なかなか裕福そうな中高年のご婦人曰く、こんな大震災で大変な時こそ石原さんじゃなくてはね、とおっしゃるのです。そうか、と得心いたしました。求められているのは、中身はともかく、強いリーダーシップなんだなと。
先生の記事は不出来なんてことはありません。きちんとした自他への洞察力をもってお書きになっていると思います。またそんな身辺雑記を期待しています。

by いくみ (2011-08-01 10:39) 

yuuri37

知ったかぶりの話、面白く拝見致しました。
知ったかぶりが効くのは、相手が自分より幼い知識の方の前だけ有効ですね(笑)、その見極めを間違えると痛い目に遭いますね。時々やっちまって、アジャーってことに(汗)
まあ、オペラやお芝居では、知ったか振りもできない私ですが・・・トホホ
by yuuri37 (2011-08-01 11:17) 

アミナカ

近頃、思い知るのは自分について自分がいかに知ったかぶりだったかです。
自分は、社会的にはともかく、自分の中での最低限のモラルは守る、守れると考えていたのに、実際は年齢を重ねるごとに誘惑に負ける、負けそうになる事が増えてしまったからです。
後が無いと思うからなのかなんなのか、情けないですね。そのくせ、人に良く思われたいと言うより、せめて普通に見られたいと言うう馬鹿な見栄はなかなか無くなりません、何が普通かなんて無いとわかっていても人の目を気にしないって難しいです。
自分の様な些細な人間の軽率な判断が誰かを何かを傷つけてしまう可能性があるのに、自分という本業で知ったかぶりだから困りものです。
by アミナカ (2011-08-02 03:30) 

fujiki

いくみさんへ
コメントありがとうございます。
励みになります。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2011-08-02 08:19) 

fujiki

yuuri37 さんへ
コメントありがとうございます。
「知らない」と言いたくない気分の時があるんですよね。
よくないと思います。
by fujiki (2011-08-02 08:20) 

fujiki

アミナカさんへ
コメントありがとうございます。
自分を守るための虚飾や嘘というのもあると思いますし、
それは決して悪いばかりではないと思います。
心理的な正当防衛のようなものもあって、
それは免責される性質のものだと思います。
by fujiki (2011-08-02 08:22) 

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