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認知症と統合失調症の間 [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

ホームページ、少し直しました。
自宅のPCでは問題ないんですが、
診療所のPCで見ると、
文字が重なってしまったりして、
どうもいけません。
まあ、少しずつ直していきますので、
長い目で見ていただければ幸いです。

さて、今日の話題です。
何となく、誤解を招くタイトルですかね。
少し前のNHKスペシャルで、
「認知症は何故見落とされるか」とか何とか、
というのがあったんです。

前半で、
実際は認知症だったのに、統合失調症と誤診された、
という話があって、
診断したという精神科医が、
顔を隠した形で出演して、
「僕は認知症はあまり勉強しなかったんで、
分からなかったんです」とか何とかと謝っていたんですね。

僕はこれを見ていて、
かなり難しいな、と思いました。
ご病気だった方は、確かまだお若かったんですね。
中年と言っていいくらい。
それで、幻聴や被害妄想に近いような症状があれば、
まず統合失調症を疑いますよね。
結果的にはレヴィ小体型の認知症だったんでしょうけれど、
それはもう、
非常に難しいですよ。

この辺が、昨日も書いたテレビの詐術ですね。
とても、特殊で微妙な例から、
全体を俯瞰して、
あるイメージを植え付けようとするんです。

多分一般の見ていた方は、
酷い医者だ、やるべき検査もしないで、
と思ったと思うんです。

でも、確かに先入観で見てしまった、
ということはあるんでしょうけれど、
この2つの病気はね、
思っているほど違う概念ではないんですよ。
勿論、この場合の認知症というのは、
ある特殊なタイプのものに限定した場合の話です。

どちらも、前頭葉を中心とした脳の働きが、
壊れていく病気です。
症状も似通っているし、
経過も左程違うものではありません。
一番違うのが、年齢でしょう。
その年齢がこのケースの先入観を生んだのですね。

凄く微妙な問題ですけど、
統合失調症よりも認知症の方を上に見るようなニュアンスが、
その背後に感じられました。

両方とも、差別的に使われて誤解を招く、ということで、
最近名前を変えた言葉です。
それでいて、認知症の方が上に感じられている、
というのが、
とても難しい問題ですね。
勿論病気に上も下もないですよ。
ただ、認知症は言葉を変えることで、
ある程度イメージを変えることに成功したと思うんですが、
統合失調症は、僕の感触では、
そう変わっていない気がします。

統合失調症には、明らかに差別はありますね。
それを口に出して、
落ち着いた状態であるにもかかわらず、
仕事を首になった人を、
僕は複数知っています。

でも、統合失調症の方の大多数は、
クスリを飲むことで、普通以上にまっとうな、
社会生活を送ることが出来るんですよ。
中には重症の方も、
勿論いますが、
全体として言えば、
これくらいクスリの効果のはっきりしている病気も、
あまりないですね。
このことだけは、強調しておきたいと思います。

精神科の医者はね、
普通「統合失調症」という診断書は書かないことが多いんです。
それを非難する意見もありますが、
実際に本人の不利にそれが使われることが多い以上、
僕は止むを得ないじゃないか、と思いますね。

最後に、繰り返しになりますが、
病気に上下はない、
というのが今日の話の眼目ですので、
その点、誤解のないように読んで頂ければ、
と思います。

それではまた。
石原がお送りしました。

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