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新型コロナ後遺症に対するメトホルミンの予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
特殊健診などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
メトホルミンの新型コロナ後遺症予防効果.jpg
Lancet Infectious Diseases誌に2023年6月8日ウェブ掲載された、
新型コロナ後遺症に複数の薬剤を使用し、
その予防効果を検証した論文です。

これは以前査読前の論文としてご紹介したものですが、
今回査読を受けた上で一流誌に掲載されましたので、
改めてご紹介をしたいと思います。

新型コロナウイルス感染症の罹患時には、
その急性症状が回復した後に、
数か月から経過によっては数年に渡り持続する、
倦怠感や息苦しさ、眩暈や精神症状など、
幅広い症状が見られることが知られています。

この現象には多くの呼び方がありますが、
厚労省は「新型コロナウイルス感染症罹患後症状(いわゆる後遺症)」
という言い方を採用しています。

そのメカニズムにはまだ不明な点が多く、
現時点で有効な予防法や治療法は確立していません。

今回の研究はアメリカの複数施設において、
これまでに新型コロナに対して、
一定の有効性が示唆される報告が存在している、
メトホルミン、イベルメクチン、フルボキサミンの3種類の薬剤を、
疾患の急性期に使用し、
その後の新型コロナ後遺症に対する影響を、
偽薬の使用と比較検証しています。

対象は年齢が30から85歳で過体重か肥満があり、
新型コロナを発症してから1週間未満の1431名で、
そのうちの1126名が長期の観察の対象となっています。
そして、長期観察の結果そのうちの8.3%が後遺症と診断されています。

イベルメクチンとフルボキサミンの急性期の使用は、
その後の後遺症のリスクに有意な影響を与えませんでしたが、
急性期にメトホルミンを継続した群では、
新型コロナ後遺症のリスクは、
41%(95%CI:0.39から0.89)有意に低下していました。
特にメトホルミンが症状出現後3日以内に開始された事例に限ると、
そのリスク低下はより大きく、
63%(95%CI:0.15から0.95)に達していました。

メトホルミンの投与は、
初日500㎎、2から5日目は1日1000㎎、
6日から14日は1日1500㎎となっています。
これは日本の臨床でも充分対応可能な用量です。

今回の臨床データは、
通常臨床で使用されている一般的な薬剤の使用により、
これだけの後遺症予防効果が得られたとする結果は非常に興味深く、
今後の検証を注視したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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