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新型コロナに感染した乳児の細菌感染合併リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
COVID-19の新生児の細菌感染症合併は?.jpg
JAMA Network Open誌に、
2023年5月12日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の新生児の合併症についての論文です。

乳児期、特に生後3か月くらいまでの時期の感染症は、
重症化し易いことで知られています。
アメリカの統計では、
生後60日以内の発熱で救急受診した乳児のうち、
7から10%は尿路感染症で、2から3%が敗血症、
0.5から1%が細菌性髄膜炎で、
敗血症と髄膜炎は特に命に関わるリスクの高い細菌感染症です。

ただ、実際にはこの時期の発熱の多くはウイルス感染で、
所謂風邪ウイルスによる感染症です。
しかし原因はウイルスであっても、
細菌感染を合併して重症化する可能性はあります。

従って、高熱の乳児を診察する場合、
重症の細菌感染症でないかどうかの鑑別が、
非常に重要なものとなる訳です。

新型コロナウイルスも乳児に感染する風邪ウイルスの一種です。

それでは通常の他の風邪ウイルスと比較して、
新型コロナウイルスの細菌感染症の合併は、
どの程度の比率で見られるのでしょうか?

今回の研究はアメリカとカナダの106の病院を対象とした医療データを二次活用して、
この問題の検証を行っています。

対象となった生後8から60日の14402名の発熱した乳児のうち、
新型コロナウイルスの検査で陽性となったのは、
26.1%に当たる3753名でした。
新型コロナウイルス以外の発熱者では、
尿路感染が7.6%、髄膜炎以外の敗血症が2.1%、
髄膜炎が0.5%認められたのに対して、
新型コロナウイルス感染症での発熱者では、
尿路感染が0.8%、髄膜炎以外の敗血症が0.2%、
髄膜炎は0.1%未満しか確認されませんでした。
特に新生児期を除外した生後29から60日では。
尿路感染が0.4%、敗血症と髄膜炎はいずれも0.1%未満という低率でした。

つまり、
他の風邪ウイルスと比較して、
新型コロナウイルスによる感染では、
生後60日以内の重症細菌感染の合併率は極めて低い、
という言い方をして問題はないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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アカツキ

もう起きてはったんですね。
by アカツキ (2023-05-15 06:37) 

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