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唐十郎「赤い靴」(2023年唐組若手公演・第70回公演) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
赤い靴.jpg
唐組の若手公演として、
1996年に初演され、
2002年には特別公演的に数日のみ再演された、
「赤い靴」が劇場で上演されました。

これは初演は観ているのですが、
渋谷の映画館で通常の映画の上映が終わってから、
簡易的なセットを組んで上演されたものです。
実質的な上演時間は1時間半強くらいの短い2幕劇です。

初演が上演された渋谷のミニシアターは、
あまり演劇上演に適した環境ではなく、
ムードもあまりありませんでした。
最後唐先生演じる主人公は、
スクリーンを切り裂いてその向こうに消えて行くので、
それを映画館でやりたかったのだろうなあ、
ということは分かるのですが、
実際のスクリーンを切り裂くという訳にはゆきませんし、
正直物足りなく感じたことを覚えています。

今回の上演はその初演に比べると、
遥かに本格的なもので、
セットも簡易的なものではありながら、
なかなか工夫されていましたし、
場面転換も小劇場的な興趣に満ちていました。

従って、間違いなく今回の上演は、
唐組の初演を超えていましたし、
今回の上演を観て、
初めてこの作品の真価に接した、
という思いがありました。

唐先生の作品としては小品ですが、
実際にあった少女誘拐事件を元にして、
赤い靴とビデオテープと1台の車の数奇な運命と、
そこに複数の人間の妄執が絡み合う物語は、
心地良いリズム感があって、
スケール感やまとまりには欠けるのですが、
ジャズのセッションのような自由闊達な雰囲気に満ち、
その良さを再認識させられました。
唐作品の初心者には意味不明のところも多いのですが、
それは初演が基本的には、
唐先生が同じ義眼の探偵を演じる、
シリーズ物の1作なので、
それを別の役者さんが単独で演じている時点で、
分かり難くなることは仕方のないことなのです。

演出も緻密にかつ大胆に仕上がっていて、
久保井研さんが今回監修に廻ったからかも知れませんが、
より昔の唐演出に近いタッチになっていました。

若手主体のキャストの踏ん張りも楽しく、
改めて唐戯曲の魅力に浸りながら、
劇場を後にすることが出来ました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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