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新型コロナ感染症後の持続症状と感染との関連(フランスの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Long COVIDの実体.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2021年11月8日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症後の持続する体調不良と、
感染との関連についての論文です。

新型コロナウイルス感染症の罹患後に、
だるさや微熱などの症状が長期間持続することや、
肺疾患や生活習慣病などの全身疾患が、
新たに生じることも多いことは、
これまでにも多くの報告があります。

ただその名称自体も様々で、
以前ご紹介したイギリスの疫学データでは、
COVID-19罹患後症候群という概念で、
初発から12週間以上持続する症状を定義していましたが、
これも以前ご紹介したアメリカの論文では、
より広く発症から21日以上持続する体調不良を、
シンプルに後遺症と表現していました。
また、「long COVID」という表現が今回の論文では使用されていますが、
これも最近比較的多い表現です。

ただ、実際にどれだけの症状が、
新型コロナウイルスの感染それ自体と、
直接的な関連を持つものであるのか、
と言う点については、
必ずしも明らかではありません。

今回の検証はフランスにおいて、
新型コロナウイルス感染症の流行期に、
35852名の住民をインターネットで募集して登録し、
郵送による新型コロナウイルスの抗体検査を施行。
ネットを介したアンケートによる、
持続する身体症状と抗体との関連を比較検証しています。

その結果、
アンケートで新型コロナウイルス感染症に罹患した、
と答えたことと、
その後8週間持続する体調不良の多くとの間には、
有意な関連が認められ、
筋肉痛や全身倦怠感、頭痛、胸部痛、息切れなどの症状について、
1.39から16.37倍というリスク増加が認められました。

しかし、
これを新型コロナウイルス抗体陽性との関連でみると、
臭いが分からなくなる無嗅覚症のリスクが、
2.72倍(95%CI:1.66から4.46)有意に増加していた以外は、
症状と抗体陽性との間に有意な関連は認められませんでした。

これはネットのアンケートが主体のデータですし、
郵送で送られた検査キットの結果が、
確実に本人のものとは確認出来ないなど、
問題もあるデータなので注意が必要ですが、
本人の申し出と抗体価による確認とで、
新型コロナ感染症の後遺症のリスクに、
大きな差があるという結果は興味深く、
今後新型コロナ後遺症の明確な診断基準については、
より実証的な検証が必要であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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